第309話 俺の笑顔で人が殺せると知った時の事
リンゴが傷んで腐り始める頃。第一村では全て消費したから問題ないけど、他の村じゃわからない。
ちなみに第四村の教会で、子供達にって事で下準備だけしてリンゴは第四村のを使った、花の形をしたアップルパイを焼いてあげたらヴァネッサさんが感心していた。
しかも切り方を見て、速攻でマネしていたので材料があれば子供達に振る舞うだろう。アドレアさんにもちょっとだけ見習ってもらいたいもんだ。
北川? 美味そうに食べてただけだったよ。ロックとジャクソンさんは驚いてくれたし、食べるのがもったいないって感想をくれたので、次の機会があったら多めに取り分けてやるつもりだ。
「カーム。仮に植えたこんにゃく芋だけどよ……」
アストの訓練が終わり、北川が急に切り出してきたがなんか歯切れが悪い。
「あーアレな。どうした?」
「芽が伸びて花が咲きそうなんだよ……。もう冬だぞ? こんにゃくって何月頃に花が咲くんだ?」
「はぁ? 確か日本だと梅雨頃だったと思うが……。花が咲く頃に植えて、収穫は十一月頃だったなぁ。知り合いがコンニャク芋農家出身だからそれは覚えてる」
「そうか……。常夏だし、いじくっちゃったから仕方ないと思っておくわ」
「だな。花が終わったら、頃合いを見て掘り起こしてみろ。そうして調理してみて固まればこんにゃくだ」
俺はコメカミの辺りを人差し指で押さえ、少し下の方に目線を下げて答えた。
「そうか。フォルマのこんにゃくなしの筑前煮も、良い感じで作ってくれるようになったから煮込むだけだな」
「だなぁ。こんにゃく入れて煮込むだけで良いと思うぞ? ただなぁ……。花が咲いたら終わりで、子芋とか孫芋みたいな増やし方だった気がするけど、なんで花が咲きそうなんだ? もしかしてもう増えてるかもしれないけど、掘り返せないよなぁ……まぁー……帰るわ。考えすぎると禿げるし、品種改良の結果って事にしておけ。んじゃおつかれ」
「だな。俺も禿げたくねぇわ。おつかれー」
そして俺は転移をしてして家に帰った。
「カーム! セレナイトの蒸留所で火が出てる!」
夕食が終わり、一家団欒中だったが俺はフルールさんの言葉を速攻で理解し、抱いていたコルキスをスズランに預けて転移魔法を発動して蒸留所のロフトに出た。
「明るい場所は……。燃料小屋!」
俺は蒸留所内を見回し、オレンジ色の光が漏れている方を確認し、体当たりする様にして鍵とドアを開け、走って裏手に回って燃料小屋の上に【水球】を作り出して火元に落とした。
「火事だぁ! 火事だ……ぞ……おぉ?」
そしてなんかビゾンが叫んで近所の家から出てきた。
「……すまねぇ。俺がいたのにこんな事になっちまって」
ビゾンが申し訳なさそうに謝ってきた。うん、まぁそれはいい。なんでお前がその家から出てくるんだ?
「気にすんな。で、なんでお前そこの家から出てきたんだ?」
どうしても気になって聞いてしまった。あの屋根裏部屋はどうしたん?
「あ? 何かあると俺のせいだから、あの家を借りて住んでる。今日はいねぇが、俺が酒飲む時は交代で仲間が泊まりに来て夜通し見張ってんだ」
「……そうか。詳しい事は後で聞く。だってなー……消火しましたー。消火したんでもう大丈夫です! お騒がせしました!」
ビゾンと話をしようと思ったが、近隣の家からゾロゾロと人が薄着で出てきてるし、なんか杖みたいなのを持ってるウサ耳のおっさんとかもいる。魔法で消火しようとしてくれました?
「詳しい話は明日にでもしますので、ご安心ください!」
そう叫ぶと安心したのか、皆が家の中に戻っていった。
「まぁ、詳しく話がしてぇから家に来てくれ」
「あ、あぁ……」
ビゾンが親指で住んでいる家の方を指したので、とりあえずついて行く。
「本当にすまなかった」
家の中に入ると椅子を勧めてくれたので、座るとビゾンも座ってまず謝ってきた。
「頭を上げてください。ビゾンは悪くないから!」
そして急いで頭を上げさせ、姿勢を正したので俺はビゾンの出方を待つ。ってか丁寧語になっちゃったよ。
「いつも通り仕事が終わってから火が消えたのを目で見て、鍵が全部閉まってるかも見て回って、夕飯を食い終わった後にもう一度蒸留所の竈の中を確認して家に戻ってベッドの上に座ってしばらくしてからだ。なんか明るいな? って思って外に出たら燃えてた。火事って叫びながら急いで鍵を取りに戻って、鉢植えの花を使ってお前に連絡取ろうとしたらもう消えてた」
「そう……ですか。ビゾンに落ち度はないです。毎日の見回りありがとうございます。……で、いつからここに住んでます?」
「は? あー、一人目の死体が転がってた頃だ。あの時、何か裏で動いてるか? って聞いたよな? 何かあると嫌だから、直ぐに動けるここに引っ越したんだよ。ってか丁寧に話すな。調子が狂う」
うーん。まぁ、いいか。個人的に見直して格が上がったけど、そう言うなら仕方ない。
「わかった。そう言うなら普段通りにさせてもらう。ってか、人で態度を変えるのは良くないが、そもそもこっちもちょっと作ってんだけどな。普段から誰にでも丁寧に話してんだよ。で、話を戻すが……。対応としてはある程度理想だし、日雇い労働として働いてるのに時間外で動いてくれてるのには驚いた。しかも自費で家まで借りて住んでるのは知らなかった。その事には感謝するし、仲間に声をかけて見張りをさせてるのに、給金を払っていない事を問題にしたい」
「いやいやいや、今はそこじゃねぇだろ。どう見ても火が出る場所じゃねぇぞ? いったいなにが起こってやがる。説明くらいしろよ」
「んー。すまないが言えない。言える内容だけ言うと、恨まれてるから火を付けられたって事だ。じゃなきゃ火なんか付けられねぇよ」
言えるはずないんだよなぁ。貴族同士の、ドロドロのやりとりに巻き込まれてるって。しかも尋問とか人質とか、二十数人? もっとか? 死んでるしな。
「そりゃそうだけどよ……。俺は裏で動いてる事がらみって事で納得するけど、皆には最近儲かってて気にくわねぇ。で良いか?」
ビゾンは俺を睨む様にして言ったが、まぁ納得はしてないんだろうな。けど言えるはずがないのは確かだ。
「あぁ、助かる。ある程度落ち着いたら必ず話すし、今はそれで納得してくれ。本当にすまない。それじゃまた明日来るから今まで通り頼む」
俺はビゾンに頭を下げ、立ち上がってドアに向かう。
「あ、もう一回鍵の確認頼むわ」
「締まらねぇなおい……。最後くらい俺達のボスとして格好良く立ち去れよ。そのくらい気がついてるよ」
「そうか、悪かった。今度こそ帰るわ」
俺は蒸留所に戻り、フルールさんの鉢植えにたっぷり【水】をあげるが、後ろの方でドアがガチャガチャする音が聞こえたので、ビゾンがもう一度確認してくれたみたいだ。
「ただいまー。小火だったよ。ごめんねー」
「おかえり」「おかえりー」
俺はため息を吐きながら椅子に座り、冷めた麦茶を飲み干した。
「絶対にただの小火じゃないと思うけど。ラッテはどう思う?」
「うーん。例のクリームがらみの貴族様辺りだと思う」
子供達は寝ているので、平気でこういう話題を出してきた。うちの妻達が、なんだかんだでこういう情報を一番知っているのでは?
「貴族絡みなのは多分ね。話では蒸留所の竈の火は完全に消えていたし、出火したのは薪が置いてある燃料小屋だし。放火なのは確かかな?」
なんか変な凄みとかないから、怒ってはないけど不満そうにしている。確かに面白くないのは確かだ。
「どうするの? 殺りに行くの?」
「警告でいいんじゃない? こう、わかりやすい奴。家とか魔法で吹き飛ばしたら? カーム君なら簡単でしょ?」
スズランさん? 物騒過ぎじゃないですかね? ラッテさん? 簡単に言ってくれますけどね、下準備とか証拠とか色々必要なんですよ? 報復はするけどさ。
「ま、これ以上は止めよう。姐さんに聞かれたら、もっと大変な事になるかもしれないし」
マジで姐さんの耳にだけは入れない様にしないと、どうなるかわかったもんじゃない。あぁ、あとヴァンさん。蒸留酒大好き種族に知れたら、火付け貴族一派と種族の全面戦争になる可能性が……。むしろ蹂躙だ。
箝口令とか絶対に無理だよな。数本後の船で確実に情報が商人や船員から入る。それまでにけりを付けたい。
「確かにお姉ちゃんに知れたら、気がついたら滅んでそうだし」
「そうそう、おねーちゃんに知られたら、周りの人も危ないからもう止めよう」
ラッテはおねーちゃんですか。もう俺の知り合いの殆どが姉扱いだよ……。
「そうそう。もう寝よう。明日から俺は忙しくなるからさっさと寝たい」
そう言ってカップを流しに持って行き、洗ってから寝室に入った。夜は気を使ってなかったから良かったよ。
◇
「おい北川、ちょっとこれを読んでくれ」
「あん? 日本語?」
俺はウルレさんに事情を話し、少し動くから交易所の仕事は最低限しかできない事を伝えると、少し目を据わらせた状態で短く返事をしただけだった。
多分あの目は、放火した奴に報復に行くと思ってる目だ。まぁ、なにも言わない方が良いよな。
ちなみにセレナイトの近隣住民には、ただの小火だと説明はしてある。
「わかった。とりあえず何かあったら手助けだけはする。これ以上はこの話題は極力出すな」
俺は日本語で、放火された事、姐さんに知られると何するかわからない事、ヴァンさんに知られたらドワーフ族が決起するかもしれない事を書き、この事でアストは動かせない事、船が来るまでに勝負を付けたい事を書いた。
「この件はやべぇだろ?」
「あぁ、やべぇな」
北川は腕を組み、かなり深刻そうな顔をしながら頷いている。だいたい俺と同じ考えだと思う。
「個人的には、二十人で貴族の屋敷を制圧とかさせてみたかったけどな。んじゃ、何かあったら声かけるから、普段通りにしててくれ」
俺はそれだけを伝えると、北川から紙を返してもらって【火】で燃やして灰になったのを確認してから第一村に転移した。
「キース。ちょっと来てくれ」
「あ? なんだよ」
畑でニコニコしながら野菜を収穫していたキースに話しかけると、なんか睨まれた。お前はいつから進んで畑仕事するようになったんだよ……。パトロナちゃんの為に、何か育ててたんか?
「とりあえず、今は何も聞かずに付いて来てくれ」
俺は真剣な顔で言うと、何かいつもと雰囲気が違うから何も言わずに籠に道具をまとめて俺の側に歩いてきた。
「弓はいらねぇのか?」
「あぁ、まだいらない。むしろ使わせない。ヴォルフー、ちょっと来てくれー」
そしてヴォルフも呼び、体感で一分くらいで俺の自宅の方から走ってきた。もしかして家にいた?
「ま、入ってくれ」
そして蒸留所のロフトに転移し、ヴォルフを抱いて階段を下りた。転移後に暴れないでくれて助かった。
「で……だ。昨日小火があってな?」
そして外に出て燃料小屋の前に移動してからキースに訳を話すが、怒っていた顔が姐さんとヴァンさんの話題になると能面の様な表情になった。
その気持ち良くわかるよ。どこまで噂が広まってるか知らないが、キースの故郷にもベリル酒とアクアマリン産のラムがあったんだから、かなりの場所まで酒の影響があると思うとマジで洒落にならない。
「で、そのためのヴォルフか」
「そうだ。この事は秘密裏に処理しないと、俺の胃が死ぬ。人的被害はなかったからそこまで怒ってはいないが、こんなスラムだった場所で火事になったら被害なんか想像もしたくない。そしてそういう場所に平気で火を付ける奴には、お仕置きが必要だろ?」
「はん。お仕置きで済めばいいけどな。で、俺はヴォルフの言葉をお前に言えばいい訳だな?」
「そうだ。ヴォルフ、この辺にある人か油の匂いを追えるかい?」
水球で火を消化した時に水面に油が浮いていたから、この辺に立って油を撒いてから火を付けたのは確かなんだよ。だからその辺を指した。
そしてヴォルフがスンスンと鼻を動かし、下を向いたまま歩き出したので後をついて行くことにした。
「わふん!」
「この辺りで消えてる。ってよ」
貴族の部下二十人をさらった家の、ご近所さんまで来たらヴォルフが反応してくれた。通りが二本くらいしか違わないけど、この辺はアジトにしやすいんか?
「そうかそうか。どう見てもこの家なんだよなぁ……。ま、今日はもう良いや。何も準備してないし。よし、何か買って帰ろう。何か食べたい物はあるかい?」
俺は首だけを家の方に向け、何気なく二階の窓を見たら顔を半分だけ出してる奴と目が合い、急に引っ込めたので自然と笑顔になった。
「きゅーん……」
「モコモコした毛の奴……羊の肉だってよ。あと、その顔と殺気が怖いから止めてほしいってさ。ってかあいつ本当にそっち系の奴か? あんな動きしたら素人でもわかるだろ」
キースも気が付いていたのか、ため息混じりにだるそうに言った。
「そうかそうか。可愛いし賢いから一頭あげちゃおう。キースも助かったよ。何か要望はあるか? 弓とかさ? ヴァンさんに話とか通すぞ?」
「あ? んじゃパトロナになにかお菓子でも作ってくれ。花の形したリンゴのパイとか有名だぞ?」
「マジかよ。むしろお礼としては安いだろ」
「実際そうだろ。太陽が一個傾く事すらないのに、ヴォルフの言葉を伝えただけでそんなにもらえるかよ。俺は働きに合った報酬しか極力受け取りたくねぇんだよ」
俺達は家の前からダラダラ移動しつつ、町で買い物してる腐れ縁みたいなノリで転移するのに町の外に出た。
ヴォルフには一番歳をとってる羊を与えたら速攻で首に噛みついて窒息させ、森に引きずっていった。
「やっぱり狼って怖いわ」
「だな……。普段あんなんだけど、狼は狼だわ」
そんな事を言いながら、羊さんごめんなさいと心で思っておいた。
「単刀直入に聞きます。とある貴族一派に報復したら、自分はどの様な罰を受けるのでしょうか?」
島に戻ってから、大魔王様の部下さんに気になった事を確認するために転移し、小さな部屋に通してもらって面談させてもらっている。
「カーム君だから言うけど……。事の経緯は不明だけど、バレない様にやれば問題ないよ」
「……そうですか。ありがとうございました」
「軽い! 早い! ちょっと、もう少し話してみてよ」
俺は立ち上がり、帰ろうとしたら引き留められたので、もう一度座って事の詳細を説明した。話したくなかったけど。
「んー。そいつ等だけなら問題はないと思う。裏付けはまだなんでしょ?」
「はい。気が向いたら喋ってくれるでしょうけど、今回は早めにどうにかしたいので貴族の一派と言いました……」
「ふーん。カーム君なら、大本の暗殺くらいしそうだけど……。早めにどうにかしたいなら仕方ないね。で、時間があったらどうするつもりだったの?」
言いにくい事を聞いてくるなー。
「実行犯の確保。情報収集をして確実性を上げる。命令した奴の行動パターンの収集および、三十日先までの予定を確保。そして誘拐しカルツァに引き渡し。ってところです」
「うわ……。めんどくさい事するねー。もう堂々と殺っちゃえば?」
「悪評が立つのは避けたいので。一応俺は優しい魔王で通ってて、会社を経営していて売り上げとかに関わるかもしれない。って事を考えないといけないので。やるなら確実に証拠を手に入れてから、向こうが悪いんなら仕方ないな。って状況を作り出してからじゃないと動きたくないので」
「本当面倒くさい性格してるねー。で、なんでさっさと終わらせたいの?」
俺はドワーフの事を言い、そんな事になると周りに迷惑がかかりそうだから。むしろ大魔王様の耳に入ると動いちゃう可能性がある事をその場で思いついたので付け足しておいた。
「んー。種族が動いて蹂躙の可能性かぁ。ならさっさと終わらせちゃってよ。確かにさっさと終わらせたい状況だ」
「えぇ。そのつもりで動いてて、だから問題がないかを聞きに来ました。問題がないようなので良かったです」
俺は微笑み、今度こそ帰るために立ち上がった。
「うーん。本当に怒ってないの? 説明しにくい変な殺気が漏れてるけど? 強いて言うなら、ネットリとしてて肌に張り付く黒くて嫌らしい殺気なんだけど」
酷い言われ様だなぁ。確かに暴力で即発散っていうより、追いつめて疲弊させる様な方が個人的には良く使ってるけど、殺気にまで出ちゃってるか。
「怒ってないと言ったら嘘になりますが、今直ぐにでもぶっ殺してやりてぇ。って物でもないので?」
「ふーん。ま、落とし所は決めてあるんだろうから、やりすぎないようにね」
「わかりました。では、失礼します」
夜になり、俺は戦闘用の服を着てバールとマチェット、大振りのナイフだけを装備し、蒸留所のロフトに転移をして昼間の家に向かった。
「どうもー。昨日の小火の件でお話に来ましたー」
明かりはついていないが、多分最小限にしているだけで数人詰めていると思っているので、危険だが乗り込ませてもらった。二階の窓から! 最悪窓から飛び降りる事もできるし、そのまま裏通りやら人の家の庭を通って逃げられるし。
襲撃だと思って反撃に来ると思ったが、人の動きがない……。仕方ないので月明かりを頼りに廊下に移動し、階段を警戒しながら下りると出入り口……、というより玄関を開けたところに椅子があり、縛り付けられてグッタリしてる昼間に目の合った男がいた。
狸みたいな耳が特徴的だから覚えてるし、月明かりだけで判別もできる。
んー。なになに? こいつが蒸留所に火を付けた犯人です。
正面に回るとそんな紙が床に置いてあり、大量の血を吸ってかなり読み辛くなっていたが、なんとかそれだけは確認できるくらい黒くなっていた。
他の文字? 何か書いてあるけど血で汚れて読めない。って奴だ。
「……こいつに罪をすべて擦り付けて逃げたか?」
俺は残りのドアを警戒しながら開けるが、なんか急いで必要な物やバレたらまずい物だけを取って逃げました。感が凄い。食料や家具、衣類なんかもそのままだし。
他に誰もいない事を確認して死体やメモをそのままにし、その場で転移して島に戻った。
◇
「いやー早計でした。参った参った……。次から気を付けないと駄目ですねー」
俺はウルレさんに愚痴り、ため息を吐きながら結果を言った。
「当人達はヘマした一人を切り捨てて、自分達と上を守った。カームさん用に犯人として殺しておいたと……。それって確実にカームさんのヤバさが、裏で共有されてるって事ですよね?」
ウルレさんは眉間に皺を寄せ、始業前の朝茶を飲んで首を傾げている。
「そうだろうね。やっぱり一味を一夜で消したのは不気味がられてるかぁ……」
ウルレさんに言われたとおり、派手に殺った方がよかったか?
「確実に、報復するのに下見に来た。全員殺される。早く逃げないと。って流れでしょうね。で、ヘマしたそいつが責任をとって殺されたと。ヘマしてなくてもカームさんなら見つけだして、全員殺してたでしょうし。実際に次の日には見つけてますし」
ウルレさん? なんか俺への評価酷くないですか?
「いやいや、話し合いで解決するつもりでしたよ?」
「カームさんの話し合いは、半分以上が話し合いじゃないですからね? あのニコニコした笑顔をされるなら、素直に怒りの表情で怒鳴られた方がマシです」
「えー? そんなに俺の笑顔って怖い? 今後気をつけます? まぁ、お前等バレてんだから、二度とこんな事すんじゃねぇぞ。上にも他の奴にも言っておけ。を丁寧に言ってソレで済ませるつもりだったんですけど。出方次第では縛って動けない様にしますが」
「夜中に忍び込む事自体が、居場所はわかってる、夜中に忍び込める、そのまま全員寝首をかける。って事ですからね? 多分抵抗するでしょうから、話し合いの前に戦闘が始まると思いますので、やっぱり穏便にはいかないかと」
うーん。やっぱり酷い。昼間に行くべきだったかな?
「そうですね。次からは気をつけます。うーん、嫌がらせを止めさせるって難しいなぁー」
そんな事を言ったら、ウルレさんが凄く冷たい目をしてきた。最初から昼間に行ってくれないかなー。って目だな。
「とりあえず表向きは解決って事で良いんですかね?」
「多分? 次があったらカルツァに話をして、初犯でも命令した奴の所に菓子折りを持って話し合いに行ってきますよ」
俺は微笑んで含みのある事を言ったら、盛大にため息を吐かれた。さっきのも笑顔に含まれていたっぽい。
「そうですね。まずは話し合いで解決できるなら、話し合いで解決したいですね」
なんか投げやり気味に言われた。
「最近俺の扱いに慣れてきてくれて嬉しいよ。あ、ビゾンの給金……。増やすとなんだかんだ言って受けとらなそうだから、どうにかして渡す手段考えないと」
俺は怖くない方の自然な笑顔で頭を掻き、どうすれば受け取るかを考えはじめた。
「ヴォルフを使って、服とかから別な居場所を突き止めないんですか?」
「やっても良いけど、あまり追い詰めると予想外の行動とか自棄になって最悪に近い結果になる事もあるから、今回はここで終わり。名目上は犯人は死んでるし。逃げた奴は情報も持ち帰ってるし報告もするだろうから、抑止って意味じゃこれが落としどころだよ。さて、仕事すっかー!」
ウルレさんに、貴族の手先を壊滅させましょうとか言われる前に俺は逃げ出した。
ウルレさんも敵になった人には容赦しないタイプだから、ここは俺が逃げておかないと不味いし。
家族の団欒は文字数的にカットしました。
コンニャク芋(仮)ですので、花が咲きそうとなっておりますが、品種改良で別物になってると思ってください。




