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第302話 今後の事を話し合った時の事

長々と休んでしまい申し訳りませんでした。

八月に入り、気分を強制的に入れ替えて、リハビリと思いつつ書いたので1000文字ほど短いです。

 キースが帰って来てから十日。第三村で蒸留所の蒸留器を乗せる窯を作っていた青年が第一村に来たので、俺の家を作ってくれた大工の頭領さんと一緒に打ち合わせをしている。

「島内で作った出荷用の荷物を保管する倉庫や、必要物資を買った物を入れる倉庫を作ろうと思っています。とりあえずこれが草案です。二人で見て下さい」

 そう言って俺は頭領に草案を渡し、青年も覗き込む様にそれを見ている。


「まぁ、確かに最初期にあった、前任の魔王が奴隷を住まわせてた家に、荷物を入れるのにはそろそろ手狭か……」

「えぇ、そうなんです。先日見かけた、レンガ積みの上手いこちらの青年がいます。これを機に、大きいレンガ作りの倉庫を作ろうかなと思いまして」

 そう言って草案の上の方から指をさし、三人で確認をしている。


「着工予定は年を越してからですが、それを頭の隅に入れておいてもらおうかな? と思いまして。着工までの手順としては、今のレンガ作りの窯では生産力が足りないので、少し大き目の物を作り、建設予定地にある程度小分けにして積んでおこうかと思っております」

「確かにありゃ小せぇよな」

 頭領は何回か見ているのか、そんな事を言った。

「レンガが足りないのは、生産力の問題でしたか」

「はい。まだそこまで多くは使わないだろうって事で、俺が暇を見て作った小さい物しかないので、最低でもそれの四倍の大きさの物を近くに作り、必要に応じて使い分けようかなと。こっちです」

 そう言って俺は、今レンガ作りをしている場所に歩き出す。


「一応石材の枯渇が目に見えてたので間に合わせですが、こんな感じで赤土を採掘して、濁った水が海に流れださない様にはしてあるので、大きい窯の作成をしてもまだ十分に間に合うかと」

 そして赤土を掘って、水で練ってから型に詰めている職人さんを見ながら簡単に説明をした。

「これじゃ一回で作れる数も決まっちまうよなぁ」

「確かに。これじゃレンガがどこでも足りないはずだ」

「窯の作成は、頭領さん達に任せます。図面は第二村の勇者(おだ)さんが作ってくれたので、問題はないかと。じゃ、建設予定地に行きますか」

 簡単にレンガの生産現場を説明し、このままじゃ足りない事を見せ、海岸近くまで移動した。



「湾から近く、大雨や嵐でも波が高くないので、この辺りに出荷用と一時的な保管所を二つ並びで作ろうかと思ってるんですよ。もう俺が魔法で地ならしをして、杭とロープが張ってあるので大体の規模はわかると思います。そしてこれが壁の高さで、ここに屋根ですね。ロープで引っ張って高く積むのには、手間も技術も必要ですし、それはその時に考えるとして、高さを拡張できる作りに図面ではなってます」

 そう言って俺は魔法で大体の高さも出し、大体三メートルくらいの壁を作り出す。

「……ちょっと高くねえか?」「高いですね」

「一応島の人口が増えた場合に備え、少し大きめや高めにとってあります。なんだかんだで人口は減少はしていませんので、将来性? ですかね?」

「疑問形で言われてもな……。もう少し堂々と言ってくれよ」

「んー。なんだかんだで、島外の商人さんが、ここを中継地点として、倉庫を建てたいって方が、一定数いて、予算が貯まったら着手したいって事で、保留中がそろそろ十件ほどあります。ですので倉庫番として滞在する方も増えるので、人口は増えます」

 仕方がないので、今度はハッキリと言い切った。最近じゃ村単位での移住とか募集かけてないし、一気にドカンと増える予定はないからなぁ。


「商人の利用が増えれば噂が広がり、どんどん商人が増え、その人達を相手にする方も増えるのが自然ですので、長い目で見ればこのくらいは欲しいですね」

「商人が増えりゃその船乗りが増え、それを相手にする娼館やら酒場、宿屋ができるって奴だな。折角地面に足が付けられるのに、船の中で寝泊まりはしたくはねぇか」

「そういう事です。予定は未定ですが、なんだかんだで栄えてる港街って言うのは、そうやってどんどん大きくなっていきますから」

 俺は頭を縦に振り、大工さんが言った事を肯定した。

「ではそんな感じですので、先ほども言った通り頭の隅にでも置いておいてください。朝早くから話し合いの時間を作っていただきありがとうございます」

 俺はそう笑顔で言い、今日の所は解散となった。



「そろそろアストを各村に配属し、特殊部隊的な物ではなく、兵士兼憲兵っぽい物を教育すべきだと思うんだが」

 午後になり、俺は第四村に行って、アストの訓練風景を見ながら、なんとなくで北川がそんな事を言った。

「そうだな。なんだかんだで見ない顔……って言うより、船から下りて休憩したり、歩き回ったりしてる船員もいるからな。良いとは思うぞ。この間の時に四つに分けた部隊を、そのまま村に配属か?」

「……そうだな。なんだかんだで前衛や後衛、遊撃が良い感じで振り分けてあるし、各自教官になるのには丁度いいと思う」

 北川は、キルハウスで訓練していたアストの人達を見て、そんな事を言った。


「まぁ、俺は第一第四村は魔族と人族の混合編成のままで良いと思うが、第二は人族だけ、第三は魔族だけの方が良いと思う。なんだかんだで種族の垣根は低いが、自分とは違う種族に何か言われても面白くはないだろ。まぁ、殴り掛かっても負ける様な育て方はしてないけど」

 俺は少しだけ種族の事を言い、問題は少ない方が良いと指摘をした。


「なら少し部隊編成して、そうなる様にこっちで考えておくわ」

「あぁ、頼んだ。五人一組で一人が二人育て、各村十人な。治安維持のマニュアルはそれらしく作っておくから。それ以上でも生産力とか働き手がな……」

 俺は前にも話したと思う、人口の数パーセントが兵士云々を思い出しながら言った。各村に五十人いたとして、十名で二十パーセントになっちゃうけど、半分衛兵っぽい事を日替わりでやらせれば問題はないか? もう少し人口が増えたら専属でも良いと思うけど。


「話は変わるが、こんにゃくってどう作るんだ?」

 アストの訓練風景を見ながら、こちらを見ずに北川がそんな事を聞いてきた。本当に話が変わったな。

「こんにゃく芋を摩り下ろして、大量の水で灰汁抜きして、なんかアルカリっぽい物を混ぜて……。昔は灰だった気がする。そして加熱だったような……。なんでそんな事を聞くんだ?」

 俺もアストの訓練風景を見ながら、北川の方を見ずに聞き返した。

「榎本さんがさ。今年はシイタケの栽培に成功したから、そろそろ筑前煮をだな……」

「あぁ……。そういや去年の秋にもそんな事を言ってたな。去年は手あたり次第菌床作って、数撃ちゃ作戦だったな。成功したのか……シイタケ……。良い出汁が取れるな」

「あぁ、今までなんか違う気がしてたんだよ。干しシイタケを水で戻した奴がうま味の塊なんだろ? ばーちゃんのとまではいかないが、それらしくなりゃ最高だな」

 北川を見なくてもわかるが、なんか声が上ずっているのがわかる。


「そうか。こっちも後で榎本さんの所に行って、話は聞いてみる。今まで和食風だったが、シイタケがあるだけで結構変わるからな。そうなると鰹節とか欲しくなるよなぁ……。昆布はあるけど」

「そん時はまたフォルマに教えてやってくれ。頼む」

「あぁ。わかった。榎本さんは戦後直ぐの産まれっぽいから、もしかしたらこんにゃくの作り方も知ってるかもな。収穫は栄養のない土で三年くらいかかるらしいけど」

 そう言った瞬間、北川は手すりにもたれかかり、頭を抱えていた。かなりショックだったらしい。


「そもそもあんなの食おうって考えになるのは、日本人だけだぞ? ってか、食えない物でもどうにかして食おうって考えるのが日本人だからな。こっちでこんにゃく芋を見かければいいな」

「俺は……もう一度旅に出るわ……」

「お前の筑前煮に対する情熱は良くわかった。アレはサトイモ科だから、品種改良で似た様なのは行けるかもしれないから落ち着け。フルールさんやパルマさんに頼めばいい。ただ……。島は森が多くて、肥沃な土壌が多いからなぁ。本当なら水はけの良い山の斜面とかだから、島中央の山近くに畑を作るしかねぇな」

 俺はそう言いながら、頭を抱えていた北川の肩を軽く叩いた。好物がこっちじゃ食えないって大変だなぁ。好きすぎて禁断症状が出る食べ物がなくて助かったわ。まぁ、転生後は俺も、少し米とか滅茶苦茶食いたかったのは確かだけどな。

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作者が書いている別作品です。


おっさんがゲーム中に異世界に行く話です。
強化外骨格を体に纏い、ライオットシールドを装備し、銃で色々倒していく話です。


FPSで盾使いのおっさんが異世界に迷い込んだら(案)

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