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魔王になったら領地が無人島だった  作者: 昼寝する亡霊
無人島開拓四年目

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第277話 やっぱりこうなるよなと思った時の事

先週は休んでしまい申し訳りませんでした。

スパイの名前をご指摘があり、スミスからフィーに変えました。

 収穫祭が終わり二週間、スズランの出産がそろそろかな? という頃、俺がいつもの時間に執務室に入り、イスに座るとフルールさんが変化した。

「セレナイトの蒸留所から、カームに伝言よ。出入り口前に変死体、一応報告だけしておきます。だって。家では言わないであげたわよ」

「……はい。ありがとうございます。ウルレさーん、セレナイトの蒸留所前に死体が転がってたみたいなので、一応事件性とかがあると嫌なので行ってきますね」

「あ、はい。かなりそういうのは減っていると聞いていますが、まだあるんですね。お気をつけ下さい」

「んー。まぁ責任者として、事情とか兵士に話すだけになると思いますけどね」

 俺は立ち上がり、執務室のドアを開けて、事務室にいるウルレさんに一声かけて転移した。


「お疲れ様です。死体はどこに?」

 俺はロフトに転移し、梯子を下りて走って出入り口に向かい、一番近い従業員に声をかけた。

「あぁ、道の真ん中だよ。少し前に行けば見えると思うぞ」

「ありがとうございます。すみません、ちょっとどいて下さい」

 俺は早速教えてくれた男を横に退かし、あと二人ほど搔き分けて一番前に出ると、拷問された苦悶の表情のフィーの死体があった。

 んー。なるべくしてなっちゃった感が強いな。あの後色々バレたんだろうけど、本人は知らないしなー。

「うちの従業員ですか?」

 俺はフィーの手首を持ち、爪や指の関節、骨とかを軽く確認するが、やっぱり……。としか言えない。

「いや、知らねぇ奴だ」

 なんか聞き覚えのある声に振り向くと、ビゾンが腕を組んでフィーを見ていた。そして囲んでいた皆を見ると、首を縦に振っている。知ってる奴がいたら逆に怖いわ。

「従業員でなければ問題はありません。兵士に言って引き取ってもらいましょう、確実に誰かに殺された死体ですので」

「もう呼んでる。直に来ると思うぞ」

 ってかビゾンさぁ、朝一で出社しちゃってさー、最初の頃の尖ってたお前はどこに行ったんだよ。なんか出社記録とか見ると、休日以外は毎日来てるっぽいじゃん。もうお前ここの社員になっちゃえよ……。

「あぁ、助かる。第一発見者だけ残って、作業に入って下さい。自分は兵士に状況を説明しますので。こんな物を見て、朝一から気が滅入るかと思いますが、事故のない様に気を付けて下さい」

 俺が笑顔で言うと、ビゾンが残り、フィーを囲んでいた従業員がゾロゾロと蒸留所に入って行った。お前が第一発見者かよ!

「通報を受け来ました! あーこいつは酷い。体中こんなにパンパンに腫れて、歯が全部ないじゃないか、どんだけ恨みを買ってたんだ?」

 兵士が二人来て、フィーを見てそんな事を言った。普通の人ならそう言うよな。ちなみに普通の人じゃないから、こうなって死んでるんだけどな。

 そして俺とビゾンが、発見時からどんな状況だった事、一応責任者として報告を受けて来た事を言い、従業員にこんな奴はいない事、見た事もない事を伝え、血痕がないから、死んでからここに運ばれてる事だけを言った。

「わかりました。猟奇殺人者か、快楽殺人者がいる可能性があると報告します。死体はこちらで調べますので、血の清掃だけお願いします」

 そうして兵士さんは、雑にフィーを担架に乗せ、布をかぶせて運んでいった。裏仕事してる奴のヘマってこうなるんだなぁ……。ってか殺されたって事は、カルツァが動いたって事だろ? 早計過ぎじゃね? クリームで俺もやっちまったけどな。

 俺は【水球】を出して、大雑把に血溜まりを洗い流し、少しだけ色の違う石畳になったけど、仕方ないと思いつつ、雨風でシミが早く薄くなる事を祈っておく。

「おいお前。今裏で何か動いてるのか?」

 ホースの先を絞ったイメージで出した【水】で血を洗い流していたら、後ろからビゾンに話しかけられた。

「動いてねぇよ。動いてても教えると思うか? 知ってると危険な事もあるし、関わらせない事の方が安全だ。まぁ安心しろ。従業員に何かあったら、やった奴が後悔するくらい、全力で報復させてもらう」

「……そうか。何かあったら言ってくれ。一応俺は荒事用ってなってんだろ?」

「あぁ、タダ(・・)の荒事だったらな。チンピラだったら任せてるさ。見てわかってんだろ? 普通の奴の仕業じゃねぇよ。だから俺は、お前達に何か裏であっても教えない。これは聞かなかった事にしろ」

「あいよ。今のは聞かなかった事にする。んじゃ上司に怒られっから、俺は仕事始めるぜ」

「あぁ、怪我のない様にな」

 俺はビゾンの方を一回も見ずに、血の処理を済ませ、このまま蒸留所のロフトで転移すると、なんか締まらないので、防壁の外に出てから転移をしようと歩き始め、一応尾行がないかを確認する為に、曲がり角を曲がったら数分待ってを繰り返して、進行方向や来た道に、何回も見た顔がない事を確認しながら、一応転移前も、俺を見ている奴がいないかを確認しておく。

 防壁沿いだったら確実にわかるし、上をみて人がいれば転移はしなければいい。まぁ、杞憂だったけどね。


「ただいま戻りました」

「あ、お疲れ様です。どうでした?」

 一応帰って来た事をウルレさんに言うと、興味があるのか、情報を求めて聞いてきた。言っちゃっていいんだろうか? 一応関係者だしなぁ……

 とりあえずどういう状況事なのかを言い、今はこうなっていると教えた。

「……そうですか。ついに祭りに乗り込んで来ましたか。で、どうするつもりですか? 潰しに行くんですか?」

 ウルレさんが今まで聞いた事のない、冷たい声で言った。商売敵とか潰す時は、全力でやりそうだ……。

「何もしません。しばらくはどんと来い状態です。多くの情報を手に入れつつ上に報告、そして政争にはあまりかかわらない。ドロドロとした腹の探り合いとか後ろで暗躍とか、あまり好きではないんですよ。やるならわかりやすく、屋敷全てを粉砕するような物か、暗殺が好ましいです。なのでそういうのは全てやり慣れてる人に丸投げ。多分収穫祭後に速攻で動いた結果が今日ですから、向こうでどうなってるかくらいは、連携を取った方が良いでしょうね。この後また少しだけ席を外しますけど、いない間はよろしくおねがいします」

「わかりました。カームさんがそう言うならそれでいいです。さっさと生産量増やして、争い事をなくせ。って言われそうですね」

「ですねー。本当平和が一番です。しばらくこんな事が起こったら、直接見学させろって乗り込んできそうですよ。堂々としてれば逆にいいんじゃね? 的な感じで」

「あー。実家にも来ましたね、質の良い鉄作りを見たいって。見てわかるもんならどうぞどうぞって感じで、父が見せてましたけどね」

「ふむ。なら何かしらの偽物を用意して、こんな材料で作ってるのか……と思わせるか。見学に来たらですけど」

「どっちがマシかわかりませんけどね。まぁ、よそ者は直ぐにわかりますし、クリーム作りに関わらせる人数が決まってれば、外に漏れる事は少ないでしょう。奴隷だった子達は、ある意味適任ですね。今後も増やすんですか?」

「あまり買いたくはないですけどね。けどそろそろ買わないと生産量が増えません。ガラス工房の拡張工事も、そろそろ終わりそうですし、少し考えないと不味いですね。また買うしかないのか……。やだなぁ……。けど今買っておかないと、体調を戻す期間とかがなー」

 俺は乾いた笑いを出しながら無理矢理笑顔を作り、執務室に戻って簡単な報告書を作り、フルールさんに話しかけ、今カルツァが在宅中かを聞き、いいからさっさと来いと言われたので転移をした。


「最近来る頻度が高いなー」

 転移をし終え、開口一番で愚痴を言い、既に開いていた門を通って、メイドさんに案内され、いつもの部屋に入る。今日は旦那がいるんだな。

「さっき言ってた報告書をちょうだい」

 ソファーに座ったら、開口一番でそんな事を言ってきた。焦り過ぎじゃないか?

「まずは俺からです。ある程度フルールさんからは聞いたと思いますが、こうなった理由に心当たりはありますか?」

 一枚しかない報告書の裏面を向け、目の前でヒラヒラとしながら、少しだけ睨むように言った。

「えぇ、貴方の所の犬が、随分と深い所まで嗅ぎまわってたから、ちょっとお話を聞かせてもらったわ。って手紙を。本人宛に送ったから警告のつもりだけれど、報復というより、何を喋ったかを吐かないから、こっちに対して更に警告のつもりだったんじゃないかしら? 殺された奴は何も知らないのにね」

 特に表情を変えることなく言い、手を出してきて来たので、直接渡さずにテーブルの上に報告書を置いて前に出すと、カルツァが取って読んでいる。

「別に何をしようと構いませんけどね。面倒なのでこっちを政争に巻き込む事は止めて下さい。何かされたら、一応代表として、何かをしないといけなくなりますので。ちなみに紙が余ったので、苦情とか今後の方針を書いておきました。何かしら汲み取って動いてくれると嬉しいです」

 情報が欲しいから、あまり早く動きすぎるなって事とか。面倒事が増えるから、この事に対しての報復はするなとか。そろそろガラス工房の拡張工事が終わるから、人員を増やせそうとか。その他細かい事もちょっと混ざっている。

 因みに直接渡さなかったのは、ちょっとした不満をぶつけただけだ。

「クリーム作りはそっちに任せるわ。情報の件については申し訳なかったわ。確かに早過ぎたわね」

「こちらも、まさかこんなに早く動くとは思いませんでしたので……。では、今後捕らえて、情報が手に入っても、少しは留まる様お願いします」

 俺はそれだけを言い、少し冷めたお茶を一口飲み、大きなため息を吐いた。

「なにか不満そうね」

「まぁ、不満っちゃ不満ですけどね。貴族のゴタゴタに巻き込まれないならいいです。けど、死体が毎回蒸留所前に転がるのは勘弁です。そして捨て値で売られている、少女の奴隷を買い、常食が食べられる状態まで戻し、弱った筋肉を元に戻すまでの過程を見る心苦しさとかですね。どうしても秘密保持や、スパイ警戒の為に一般からの募集や、酒を飲んで喋りそうな島民を充てる訳にもいきませんので。ある程度軌道に乗って、大量生産が可能になったらその辺の一般人から募集をして、島民を増やすんですけどねー。んじゃ失礼します」

 俺はもう一度盛大にため息を吐いてから、立ち上がって退室をした。

「ただいま戻りました」

 一声だけウルレさんに声をかけ、一応どんな事があったのかの報告だけはしておき、奴隷の購入プランを考え、草案を書きつつ、予算やクリーム製作所の拡張か、引っ越しも視野に入れておく。


「ってな事があってさ」

「ふーん」

「たまにそういうのは見かけた事はあるね」

 仕事が終わり、家に戻って二人に愚痴ったら、結構乾いた反応をされた。ラッテに関しては、見た事があるとか言った。

「だから文句は言ってきたけどさー。本当、俺も少し動くのが早かったのが悪いんだけど、こんなに人気が出るとは思ってなかったし、こうなるとは思わないじゃん?」

 俺がテーブルに突っ伏し、ぐでーっとしながら更に愚痴を言うと、隣に座っていたスズランが頭を撫でて来た。

「あまり知らない人が殺されただけなんだし、これ以上は気にしちゃ駄目。悪いのは送り込んできた貴族と、手紙を送ったあの女貴族。少しでもかかわった男が無残に殺されて、ちょっとだけ気に病んでるんでしょ? カームは悪くないよ」

「そーそー。気にしちゃ駄目だよー。はーい私も頭なでなでしてあげるねー」

 そう言って、ラッテも手を伸ばして頭を撫でてくれた。

 言ってる事が、少しだけ当たってるのが凄いよなー。確かに間接的に俺が殺したようなもんだし、ある意味俺が引き金になっている様な気もするんだよなぁ。

「んー。ありがとう。少し元気が出た。あと少ししたら秘密保持の為に仕方なく奴隷を買うけど、今度はアクアマリン商会として買うから、この間の五人みたいな事にはならないと思う。何かあったらまた頭撫でて」

 頭を撫でられながら言うと、更に優しく撫でられた。

「カームなら平気。多分死なせるような事はさせないし。蜂が良い薬を作ってくれるし、それを使う人間の医者は腕は悪くない。しかも惜しげもなく薬を使えって言えるいい人なんだから。だから自信をもって」

「んふふー。なんならベッドで慰めてあげようかー? もうすぐ赤ちゃんが産まれそうでも、慰める方法は沢山あるんだよー? 死にそうな子を今みたいに元気にしたんだから、もっと自信持たなきゃダメだよ。カーム君は弱気になったら、失敗が増えるんだから、自信をもってやらないと!」

 ラッテが指を絡めながら言い、少しだけ獲物を見る目で笑っている。まぁ、最近ご無沙汰だからなぁ。ラッテの方は仕方ないか。

「そうだね。俺が弱気になってたら駄目だな! よし! ありがとう。少し元気が出たよ」

 俺は体を起こし、笑顔で言ったら、スズランが頭に手を置き、そのまま俺の顔を胸に押し付ける様に動かし、抵抗しても無駄なのは知っているので、されるがままに胸に顔を埋める。

「けど、私達や赤ちゃん達の事も忘れちゃ駄目」

「んー、わふぁっふぁー」

 とりあえず胸に顔を埋めたまま返事だけはしておいた。そして胸から顔を離すと、ラッテが俺の隣にいて、頭を抱え込むようにして胸に抱え込まれた。

「私のおっぱいもないと治らないんだよねー」

 本当理解力があって、俺の慰め方を知っている良い嫁達だわー。けど片手を尻に持って行き、いやらしく撫でるのだけは勘弁して下さい。オッサン化されたらたまったもんじゃないんで……。

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作者が書いている別作品です。


おっさんがゲーム中に異世界に行く話です。
強化外骨格を体に纏い、ライオットシールドを装備し、銃で色々倒していく話です。


FPSで盾使いのおっさんが異世界に迷い込んだら(案)

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