表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王になったら領地が無人島だった  作者: 昼寝する亡霊
無人島開拓四年目

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

283/324

第274話 前夜祭でなんか愚痴られたっぽい時の事

 稲刈りを手伝わされたから麦もそろそろかなーと思っていたら、雨が降って湿ってしまったので数日だけ収穫が伸びた。まぁ、こんな事もあるよな。

 そして第一村の人族のおっさんが、おもむろに生えていた麦を引き抜き、生でカリカリと噛みはじめ、これなら問題ないという事で収穫が始まり、最低限の執務をして手伝う事になった。

 全く動かないのも駄目という事で、スズランもラッテも負荷のかかりにくい簡単な事を手伝うが、俺の方が気が気じゃない。妊娠何週目まで運動が良かったのか詳しくないし。

 それでもあの有名なお〇んの話を知っているので、動かない事の方が妊娠時に辛いっていうのはわかっている。

「無理しないでね?」

「わかってる」「はいはーい」

 スズランは頭にタオルを巻き、島に来て丸太を運んでいた時の様な恰好になっているので、安心はできない。なんか進んで重い物を持ちそうで本当に怖い。多分周りが気を遣うと思うけど、目を離したら何かを持ってそうってのがスズランだからな。

 そして刈り入れが始まり、俺が魔法で切っていくと他の人達が拾っていき、纏めてから布の方に持って行き、広げた布の上で脱穀している。米と違って簡単に脱穀できるのは良い事だ。

 そして何気なく見ていたら、スズランがゴミ袋をゴミステーションに持って行くような感じで、麦袋を持って運び出した。

「待って! 何やってるの!?」

 俺は急いで止めて聞いてみた。

「麦を倉庫に運ぼうとしていたところだけど?」

 一体カームは何を言っているの? みたいな目で見ないで欲しいんだけれど?

「いや、力があって軽く感じるけど、一応普通では重いに部類される奴だよ? 二袋でラッテくらいの重さなんだよ?」

「ん? だから?」

「いやいやいや、世間一般では重いに入るの。だからお願いだからそれだけは止めて! 持たないで。お腹に力入れないで、腕だけでもてるかもしれないけど本当に止めて!」

 俺は必死に懇願した。もう子供はある程度形になっているかもしれないけど、流産のリスクだけは絶対に避けたい。

「あ、うん。ごめん。いい訳かもしれないけど、二回目の妊娠で少し気が緩んでた」

「あー。うん。こっちもきつく言い過ぎた。ごめん」

 そんな事があったが収穫は終わり、第一村でも収穫祭の前夜祭みたいな感じにはなる。

 ラッテ? 別な場所で大人しく脱穀した麦を袋に詰めてたよ。だから注意できなかったんだね。



「ノーラさん、他の子供達の事を頼んでいいですか? こんな雰囲気ですので、はしゃいじゃう可能性もあります。なので極力目を離さないようにお願いします」

「はい、わかりました」

 多分だけど、こういう事はほぼ経験がなさそうなので、一応女の子達に注意だけはしておく。経験はしてても、多分小規模な感じか、家族だけで少し良い食事だけだと思う。だって……ねぇ? 第二村の最初期なんかそんな感じだったし。

 そして今日は家族で食事せずに、村の広場で、ほぼ(・・)全員集まってとる事が多い。まぁ、いない奴は森にでもいるんじゃないんですかねぇ? 子供は近づけさせないつもりだけどさ。覗かれる可能性もあるんだよなぁ……。

 そして俺達家族は、キース一家と一緒に食事をしている。

「パトロナ。あーん」

「あー」

 キースがパトロナちゃんに離乳食を与えているのを見て、俺はホッコリとする。年を越せば一歳だから十ヶ月くらいだろうか? 一定期間までは普通の乳児と変わらないけど、二歳くらいからの成長が魔族は早すぎるからなぁ……。

 リリーなんか三歳頃には、家の前をこれでもかと言うくらい駆けまわってたしなぁ。

 俺の記憶もそのくらいから物凄くはっきりしてるし。

「んだよ。そんな顔で見んなよ」

 そして恥ずかしそうにしているキースに、睨まれながら麦茶を飲む。

「いやー。いい父親になりそうだ。なんだかんだで面倒見も良いみたいだし、料理も少し覚えた。本当、最前線でツンツンしてた頃からは想像できないなぁ」

「うっせ。親父になれば多少は変わるわ。ってかお前は本当変わんねぇよなぁ」

「まぁな。誰かさんと違って精神的に大人ですから」

 嫌味っぽく言いながら、ベーコンを敷き詰めた上に薄切りカボチャと、マヨネーズを乗せて焼いただけの、名前のない料理をつまむ。

 うん、カリカリベーコンもたまにはいいな。

「このカボチャのポタージュ。キースが作ったんですよ」

「ほー。よかったでちゅねーパトロナちゃん。パパの手作りでちゅよー」

 キースに抱かれていたパトロナちゃんに言うと、テーブルに置いてあった布巾が顔に飛んで来た。もちろんキースからだ。

「なんだ、家じゃ赤ちゃん言葉で話しかけないのか? 話しかけるのは発育に良いんだぞ?」

「知ってるわ。人前じゃできねぇだけだよ! お前も代表なんだから、人前じゃ気を付けろ!」

「怖いパパでちゅねー。もしかしたらパパが原因で、結婚できないかもしれないでちゅよー」

 今度は木製の皿が飛んで来たので、とりあえず避けておく。

「ちょっとカーム君。皆が人前でソレができる訳じゃないんだから、あまりからかっちゃ駄目だよ」

 俺はラッテに怒られ、スズランはベーコンだけを取って、モグモグと噛みながら首を縦に振っていた。

「知ってる。まぁ、これくらいできる仲って事で。で、故郷にはいつ頃挨拶に行くんだ? 大陸に春が来た頃か?」

 俺は前々から聞いていた、帰郷の話を出してみる。折角の浮かれた雰囲気だからこそだ。

「あぁ、そうだな。俺の故郷は結構雪が降るからその頃だな。お前の子供が産まれ、父親してるのを見てからだ」

 キースが悪い顔で笑っているが、多分それは無駄な事だ。俺はよその子供にもできる男だぞ? 自分の子供にだったら、三割増しだぞ?

「悪いが今パトロナちゃんにしたみたいに、上の子にもしてたから、からかっても無駄だぞ? 俺は人前でも平気で子供をあやす事のできる男だ」

 そして真面目な顔で返す。俺はお前じゃないんだよ。

「うんうん。カーム君はベリル村でも平気でやってたからねー。キース君も気にしないでやればいいのにー」

「これは本当。子供が産まれたその日から、人目を気にせず良い父親をしていた。それこそ祭りの時とかでも」

「いいですねー。変に羞恥心があるから、キースは人前でできないんです。家ではやるんですけどね」

 ラッテとスズランが言っている事が本当だというと、ルッシュさんもキースの事を話し始め、奥様的な会話を始めた。もう家族同士の付き合いになっているので、会えばこんな話題にもなる。

「なんだ。後で行くから、お前の赤ちゃん言葉を聞かせてくれよ」

 そう言った瞬間、顔を真っ赤にしながら空のカップを投げてきた。怒りというより恥ずかしさからだろうな。

「おいおい、パトロナちゃんが泣くぞ?」

 俺は顔面に飛んで来たカップを受け止め、それだけを言う。

「うっせ。とりあえずハーデさんに狼達の引継ぎはさせるから安心しろ」

 ……ハーデ? あぁ、犬耳のおっさんか。

「そういや、犬耳のおっさんとパーラーさんが見えないな。あー聞くだけ無粋だな」

 猫耳のおっさんも、狐耳のおっさんも見ないしな。向こうは向こうで話し合って、俺と三馬鹿みたいに家庭でも持つんだろうか?

「はぁい、飲んでるー?」

 そして姐さんが俺達家族のテーブルに来て、キースの隣に座って絡みだした。止めて下さい、妻子がいるんですよ! まぁ、俺もいるけどさ。

「いいわねー赤ちゃん。私も欲しいわー」

「姉ちゃんはもういい加減妥協しろよ。私より強い人が良いとか言ってると、後何回季節が廻るまで結婚できないと思ってんだよ。ってかその辺の幼い竜族でも拾ってきて、自分で鍛え上げろよ」

「あーダメダメ。長く子供の頃から一緒に住んでると、私の中では家族って括りになっちゃうのよ。長寿種はそういうの多いわよ? プラクスちゃんも母親が違うし。ってか父が別に弱くても良いや派だから、どんどん兄弟姉妹が増えちゃって増えちゃって」

「へ、へぇ……」

 キースは(ねえ)ちゃんなんだ。家族に姉でもいるんだろうか? とりあえず後半の言葉は無視しておく。

「なら、家を分けたらどうです? クラーテルさんはこっち。育ててる子はあっちとか」

 ルッシュさんがなんか真面目に答えている。確かに家を分けてれば問題はないだろうけど、一日の大半を、姐さんと一緒にいたら同じじゃないのか?

「んー食事の世話とか面倒なのよねー。メイドでも雇おうかしら?」

 お? なんか乗り気だぞ?

「相手を散々鍛えて、お姉ちゃんより強くなっても、女性として見てもらえなかったら?」

 そしてスズランがもしもの可能性を叩きつける。現実は非常である。そしてお姉ちゃんすか……

「そうよねー。頑張って育てても、相手がその気じゃなかったら駄目よねぇ。その分無駄になるし」

「私に勝てたらエッチさせてあげる。ってな風に、良い感じで性欲をコントロールとかどうです?」

 何そのエロゲ的な発想。流石夢魔族だな。

「多分早々と無理と悟って、他の女に鞍替えするんじゃないかしら?」

「「「あー」」」

 ルッシュさんの答えに、俺とキースとラッテがハモった。

「姐さんが強すぎるのが悪い。これが結論だと俺は思う……。そしてやっぱり妥協も必要ですよ」

「んー。ま、別にいいか。その内その辺で異常体の出現とかあるでしょ」

 かなりのんびり構えてるけど、この人の寿命はどのくらいなんだろうか? 

「そんな畑から、偶然生えるみたいに言わないで下さいよ」

 俺は鼻で笑いながら言い、空になった姐さんのカップにかなり強いモヒートを作ってやった。

「あの時に、いい線行ってたオスがいたんだけどなぁー。討伐されちゃったのよねー」

 なんか一気に場がしんみりし始めた。なんかこんな姐さんは珍しい。

「まぁ、その後怒り狂った私がそいつ等を焼き殺して、拠点にしてた街を焼き払ったから気がすんだけど。その後が大変だったのよー。もう人族の大陸で、共通の敵になっちゃってね。今まで戦争してた国同士の猛者達が手を組んじゃって、当時お気に入りだった山まで、百人くらい集めて討伐に来るのよ? 本当人間って面白いわよねー」

 そして一気に喜劇的な内容になり、一気にモヒートを飲み切った。

「大体さー、なんで魔族大陸の国王が竜族じゃないのよー。そうしたら少しくらい妥協してたのに。強くても竜族じゃないと」

「姉ちゃんみたいな性格だと、多分国が崩れるからだろ? 姉ちゃんが強くても国王に指名されない理由ってそれだと思う。もしくは形だけで、他の偉い奴が国を仕切る事になると思うぞ? そういうのを宰相(さいしょう)って言ったっけ。それに酒で国が傾きそうだから、放置なんだろ」

 キースがそう言うと、俺を含む四人が頭を縦に振り、姐さんが何か少しだけ考え事をしているのか、口元に手を当てて左の方を見て黙ってしまった。

 むしろ俺は、キースから宰相って単語が出てくる事の方が、驚きだけどな。

「確かに気にくわない事があると、手が出るわね。それにそう言う面倒な事はやりたくない」

「ほらな? だから強すぎる竜族は国王になれないんだよ。だから地道に探すしかないって!」

 キースが空になった姐さんのカップに酒を注ぐと、それを飲まずに放置して、何か考え事をしているみたいだ。

「……そうね。長寿種と結ばれる異種族は多いし、もう少し気長に待ってみるわ」

「兄弟姉妹の子供はどうなんです? 禁忌にも触れませんよ?」

 三親等的な考えか。もしかしたら可能性があるかもしれない。ナイスだルッシュさん!

「カームちゃん達なら知ってると思うけど、プラクスちゃんを見ればわかる通り、成長が遅いのよー。今生きてて、一番早く子供を産んだ妹でもプラクスちゃんと同じくらいよ? やっぱり同じくらい待つ様なら、血縁が殆どない方がいいわね」

 どんな大家族よ。確か孫と一番下の子供が同級生ってのをテレビで見たな。

「はいはーい。この話しは終わり終わり。かなり不毛だし、俺達が生きてる間には多分無理っぽいから。姐さん、カップ開けちゃって。俺が酒を注げない」

「そうねー、珍しくしんみりしちゃったわね。んあー、はいお代わり!」

 姐さんはキースの注いだ酒を一息で飲み切り、俺の方にカップを出してきたので、モヒートを作るが、パトロナちゃんをあやすのを見て、菩薩の様なアルカイックスマイルを作っておく。

 姐さんもなんだかんだで、あんな事もできるんだなー。

「まぁ最悪、子供が欲しくなったらその時一番強い、異種族でも無理矢理にでも襲ってやるわよ」

 姐さんが笑顔でそう言ったので、俺とキースはポカーンとした表情で止まり、スズランが微笑みながら、ラッテが超笑顔で、ルッシュさんは真顔で首を縦に振った。

 ってかここの女性陣四人、力業の肉食系じゃねぇかよ。

 姐さんってどっちも肉食系かよ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

作者が書いている別作品です。


おっさんがゲーム中に異世界に行く話です。
強化外骨格を体に纏い、ライオットシールドを装備し、銃で色々倒していく話です。


FPSで盾使いのおっさんが異世界に迷い込んだら(案)

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ