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第219話 夏祭りを決めた時の事

注意:魔法を子供達に教えないようにと、釘を差しておかないと魔王量産されてしまうのではないかとご指摘がありましたので、前話に一文を書き足しました。

 休日を終わらせ島に戻って来て、書類を処理する。事務が二人になると、文字を見比べて、癖を探すのも少し楽しいな。まぁ、二人とも綺麗な文字だから良いけどね。

 そろそろ、夏祭りの大会の話し合いもしないと。場所は第二村でいいか。ボクシング優勝してるし。優勝者のいる村の特権って事で……。

 とりあえず、午前中にフルールさんに伝達をしてもらい、明日の午後に第二村集合って事にしておいた。



 翌日、いつも通り書類仕事を済ませるが、昼食が終わったらパーラーさんのキッチンを借りて作業を開始する。

「あ、カームさんだ。どうしたんですか?」

「んー。夏のお祭りの準備っていうか、使う物を作るんですよ。今日のお昼過ぎに資料として使うので」

 キッチンで洗い物の手伝いをしていた、島民初期組の女の子達にも伝え、キッチンの隅を借りることにした。

 ジャガイモを一個、雑っぽいが一応大きさが均一になるように芽が出そうなくぼみを取ってから長細く切り、小降りの白身魚も鱗を取って三枚に下ろす。

 そして余っていたタマネギと、キュウリのピクルスをみじん切りにして、潰したゆで卵とあえて、マヨネーズを入れて混ぜる、これで準備は終わった。

 小麦粉に香辛料を入れて混ぜ、軽く皮の方に切り込みを入れた白身魚にまぶし、ジャガイモを先に揚げてから魚を揚げる。生臭くなるし。

 十分に油を切って、それを皿に盛り、先ほど作ったタルタルソースを添えて完成。俺流フィッシュアンドチップスだ。

「うーん、少し薄味に作って最悪各自で調味料だな」

「あ、カームさん。それ美味しそうですね。なんて言う料理なんですか?」

「第二村でよく作られてる、質素な料理ですね。俺はフィッシュアンドチップスって言ってますが……」

「質素? もの凄く美味しそうですけど?」

 パーラーさんが少し首を傾げ、眉間に皺を寄せている。

「第二村ではもう少し豪快に揚げ、ソースもないです。塩で食べてました。なんでここまで差が出るのか、不思議で仕方ないんですけどね……。しかも生臭いし。生臭い油で芋も揚げるからそっちも生臭い。調味料はケチらずに、油は高温で揚げろって言ったんですけどねぇ……」

 でき上がった物を前に腕を組み、頭をひねりながら唸る。

「まぁ、内陸の寒村出身ってのは、もう理由にならないですので、まずかったらもう一回指導入れたい……。コレにパン粉を付けて揚げればフライなので、パンに挟んで食べてもらった事もありますよね?」

 前に食べさせてもらった時のまずさは、生臭いとしか言えなかった。

「まぁ、これを大食い大会に使おうって感じです。とりあえず春の祭りみたくバカ騒ぎする予定です」

「お祭りが増えるのは歓迎です」

「私もです。楽しいのは好きです。春のお祭りは少し野蛮でしたけど、皆楽しそうでしたし」

 年頃の女の子には、ボクシングはやっぱり受けは悪いよなぁ……。

「俺も楽しいのは増えた方がいいので、盛り上げようとがんばってますよ。もう少し子供も多ければなー。活躍させてあげられるのを考えるんだけどなぁ……」

 パーラーさんや女の子達と会話し、苦笑いをしながら自分で使った物の後片づけをして、フィッシュアンドチップスを持って第二村の村長のいる教会に、各村の村長を拾いながら転移した。


「お疲れさまです。さっさと始めちゃいましょうか」

 俺はフィッシュアンドチップスをテーブルに置き、さっさと本題に入る事にした。

「前にも話していましたが、夏の祭りは大食い大会を予定したいと思っていました。そして、食べる物はコレです。一応重さを量り、だいたい同じ重さにして、一定時間で何皿食べられるか――ってのをやりたいと思います」

 世界でも、一定時間内にホットドックがどれくらい食べられるか、って大会があるし、死者さえ出さなければ問題はないと思う。

「また、代表を各村で決めるのか?」

「そうですね、上位三人くらい決めて、今回は春の大会で優勝した第二村で決勝を考えています」

「あの、なんでコレなんですか?」

「周りが海で魚が豊富に獲れる。冬に植えたジャガイモが収穫できる。豊富な油。理由は簡単ですよ。それに、油さえ暖まってれば、手軽に食べられますからね」

 トローさんや、第四村の村長が聞いてくるが、とりあえずそれっぽく答える。そして、ボクシングの時に使ったような、小さな穴の開いたボウルを四つ取り出した。

「コレが沈むまでに、何皿食べられるか早食いも兼ねてます。ダラダラやったら、いつまでも食べられますからね。トローさん、やってみます? 冷めてますけど」

「いや、いい。昼飯を食ったばかりだ」

「まぁ、短時間で詰め込む勝負ですから、そんな事言ってられませんけどね。あ、水はカップ一杯です、喉に詰まらせないように注意して下さいね」

 俺は誰も手を着けないので、残った白身魚のフライをいきなり口に放り込み、冷めたフライドポテトを鷲掴みで食べ、用意してあった水で水分を含ませて無理矢理飲み込んだ。

「まぁ下品ですが、こんな感じでボウルが沈むまでに何皿食べられるかの競争です。優勝商品は春の大会と同様に、優勝カップと何か賞金的な物と名誉ですかね?」

「コレは、若い者の祭りじゃな……」

「ですね……」

 第二、第四村の村長は、溜め息を付きながら首を横に振っていた。すみません、お年を召した方の、のんびりとした祭りって、ペタンクくらいしか思いつきません。


 祭りの話し合いは取り合えず終わり、開催時期も決めた。そして俺は第四村が最後になるように村長を送り届け、そのまま開拓を手伝う。

 そして北川に祭りの詳細を、木を伐採しながら話し、夕方になったらついでに、相談事もする事にした。


「なぁ北川、改めてお願いがあるんだが」

「なんだ改まって」

 北川は頭に撒いていたタオルを外し、汗を拭きながら聞き返してきた。

「子供達に稽古で負けた。これから先は手の抜けない殺し合いになる。だから頼む、この通りだ。俺の実力じゃ確実に大怪我に繋がるんだ。子供達に稽古をつけてくれ!」

 俺は拝み倒すように、北川にお願いしてみた。

「……どういう風に戦って、どんな感じで負けたか言ってみろ」

 俺は森の中で、ギリースーツを着て擬態してからのゲリラ戦で、今まで勝っていた事を話し、この間負けた事と祖父二人の事も話した。

「……それさ、もう稽古いらねぇんじゃねぇ? 手を抜いてる魔王に、得意のゲリラ戦で勝つ、有名だった祖父達の稽古に勝つ。どんな教育してんだよ」

「死なない教育」

 俺は、くそ真面目に答えた。

「俺は冒険者になるの反対派だけど、こんな世界だから本人の意思も尊重したい。なら、死なないように稽古つけるしかないだろ?」

「はぁーーーっ」

 北川が、もの凄い溜め息を吐きながら、頭をボリボリと掻いている。

「一回、お前が子供達にやってる稽古ってのを俺にやれ」

 北川が立ち上がり、頭にタオルを巻き始めたので、俺も立ち上がり森の方に向かう。


「俺が先に森に入り、それを追うようにして子供達が追ってくる、そこに簡単な罠を仕掛け、タイミングを見て奇襲だな」

 森に少し入り、北川に向かって説明をした。そうしたら、なんとも言い難い変な顔をしていた。

「まんま対ゲリラ戦だろ……これ」

「父さん達は、平地での戦いを仕込んでる」

「英才教育しすぎだろ……」

「俺は死なれたくない。父さん達は、昔を思い出して熱くなっている。まぁ、自然とこうなるな」

 俺は溜め息を出しながら、首を横に振る。

「行動と表情を一致させろ馬鹿」

 俺は木の枝を適当な長さに折って、削って尖らせていたのが問題だったらしい。ただの準備だよ……。

「んじゃ、俺は先に行くから五分後に追ってこい」

 そう言ってから森に入り、その辺の草を【ウインドカッター】で切ってから【粘液】をまとっていつも通りギリースーツになるが、普段着でやるもんじゃないな。

 後は適当に隠れて、北川が来たら尖らせた木の枝を真横から投げつけ、襲いかかってから、動脈を狙って木の枝を突きつけるが簡単に払われ、足払いを受けて転ばされた。地力が違うなコレ。

「いつもこんな感じなのか? まぁギリーの性能はマジでやばいって改めて知ったわ。馬鹿にできねぇなコレ」

「あぁ、いつもこんな感じで奇襲だ」

 北川が手を出してきたので、俺はそれを掴んで立ち上がった。

「魔法は使ってないんだろ?」

攻撃魔法(・・・・)はな。防御に使ったりはしていた。けど、装備品のみで奇襲かけてたら、勝てなくなった」

「んー……この奇襲を毎回。しかも魔法系魔王が近接だけで勝てないのか……。対策は?」

 北川が腕を組みながら二の腕を指でトントンと叩き、首を傾げて聞いてきた。

「近接攻撃を仕掛けないで、殺す気で攻撃魔法を当てる。一回似たような感じで勇者を撃退してる」

「……ほう。ジャスティス事件前か?」

「岩本君ってのが、王の命令で俺を殺しに来た」

「あー……全ての始まりはそこか……」

 北川は、頭を掻きながら一人で納得したような感じでうなずいている。

「会田さんから聞いた。一人を撃って放置して、仲間にストレスを与えて、結局最後まで森に入ってから見られる事なく、ほぼ全滅させたらしいじゃねぇか。サバゲ経験者なら、確かにそうなるわな。クロスボウならうまく扱える、そして近代化。実際襲われるまで気配もなかったが、その辺どうなんだ?」

「スキルで隠遁って奴が付いてる」

「はぁーーー。本物の暗殺者向けじゃねぇかよ。で、子供達に攻撃を色んな意味で当てられるのか? 実の父親だろ?」

「だから北川に頼んでる。非致死性の魔法でも限度がある。多少怪我させるぐらいの覚悟はできてるが……。多分胃と心に来る」

「メンタルは弱いんだな、なんか自信満々にやってる癖して」

 北川があきれた目でこっちを見てきた。

「肉親ならなおさらだよ。お前に子供ができたとして、稽古するとしたら? それが娘だったら?」

 北川が上を向き、目をつぶりながらしばらく考えている。自分に娘ができた事を考えているんだろうか?

「できないかも……」

「だろ? 道場開いてる父親とかマジですげぇよ」

「だな。んじゃ貸しで。俺に子供ができたら頼むわ」

「マジかよ……」

 俺は頭を抱えどうするか悩んだが、魔王と勇者が稽古つけるならあり? それに、産まれたとしても五年後くらいは……。けど問題は先延ばしだろ? んー……。

「あぁ、わかった。それで頼む」

 すごくいい笑顔でそれを了承し、とりあえず肉親じゃないから多分いけるんじゃね? と思いつつ北川の子供の稽古を請け負った。

 もしかしたら稽古させないかもしれないからね。

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作者が書いている別作品です。


おっさんがゲーム中に異世界に行く話です。
強化外骨格を体に纏い、ライオットシールドを装備し、銃で色々倒していく話です。


FPSで盾使いのおっさんが異世界に迷い込んだら(案)

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