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魔王になったら領地が無人島だった  作者: 昼寝する亡霊
無人島開拓三年目

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第195話 罰について考えた時の事

 一週間後、俺は第四村に通いつつ書類仕事もこなし、ある程度の開墾は終わらせた。

 北川は丸太を運び、村人達は枝を落としたりして、畑の広さを確保しつつ、女性達はコーヒーの実を収穫したり、料理をしていた。

 フォルマさんは魔法が得意らしく、俺が数回教えたら根起こししたり、地面を耕す事は出来るみたいなのでかなり助かった。

 それと後一人ほど魔族に攻撃魔法が使える人がいたので、魔力切れになるまでは、根起こしをしてくれた。火を出すとか、単純な物だけなら出来る人は多いんだけどなー。

 けど、科学技術の固まりのチェーンソーもどきは二人とも無理だった、刃の角度とか高さとか、強度とか回転数とか……。それっぽい物を回せばいいってわけじゃないし。

 ってかフォルマさん、服というか、下着というか……毎回色が違うんだよな……。怖くて服か下着か聞けねぇ……。

「思ったより早く終わったなぁ……」

「早く終わったら駄目なのか?」

「予定ではあと二十日見てた。これも北川の怪力がよかった。第一村の開墾は、数人で丸太引っ張ったり、ぶつ切りにしたりしてたし、それで薪は余ったけど、木材が不足気味だった。けど丸太は積んであるし、好きに使える。俺が毎回地味に運んでた煉瓦で、作業終了後に作ってた炭焼き窯も完成してるから炭も焼ける」

「お前って地味に何でも出来るよな」

 北川は感心してるような顔で俺を見ている。こういうのは正直うれしくなる。

「まぁな、まだ若かった頃は、故郷の隣町で日雇いの仕事で煉瓦作りとか、防壁修理してたし。家の前で、自分たちで食べる分くらいの麦は育ててるし、ある程度の作物関係や雑用は故郷で教わったりしてた。ただ細工や工作はできるけど、三次元の彫刻が出来ないくらいだなー。あ、焼き入れの温度や、焼き戻しは無理だったなぁ。アレは長年の勘が必要だ。雑用で覚えられる系じゃねぇな」

「おいおい……万能じゃねぇかよ」

 この一週間の間に、日本のネタや中身の年齢の事は極力なしって事にした。たまにある悪ノリはある程度いいけど。

「まぁ、寒村だったから生きるのに必死だっただけだ。あと技術系の知識が必須だったからなぁ」

 俺は少し空を見て答える。

「けど、ある程度は()の知識は使ってたんだろ? ベリル酒とかお前の故郷の名前だろ?」

「まぁな。ほかの勇者もやってそうだったが、本格的に広めたのは、村に住んでた竜族のおかげかな? 本腰入れて故郷に広めて、ドワーフと交流して、かなりの場所まで広まってる。故郷から結構離れてる、最寄りの魔族の港町でも飲んだことがあるって奴がいたくらいだし」

「そしてこの島で、日本酒と味噌醤油……か」

 まぁ、それは榎本さんと織田さんのガチな情熱だからなぁ。

「それは島にいる植物系の人達のおかげかな? 榎本さんがパルマさんとフルールさんと話し合って日本米に近づけて、ピルツさんが菌の管理。俺も知識だけで、何となくで少量の米麹を作って味噌仕込んだけど、それ以降は個人では作ろうとしなかった。豆腐も難しくて止めた」

「街か、大きい町にたまに売ってるからな。味噌醤油……」

「あれは榎本さん達みたいに、城から抜けた勇者の一人がどこかの村の特産品として広めてたのが、何となくで今でもどっかの村の生産として残ってるだけだろ。だって俺が生まれた頃には色々な農作物とか香辛料が村にもあったし。誰かが世界中に広めただけだろ。おかげで色々助かったけど」

 ジャガイモのおかげで、幼少期に飢えないで済んでたし。

「確かに……。種芋とかは広めないと、本当に増えないからな。落花生は別だけど」

「まぁ、お前が勇者で助かった、重い丸太運びが楽だったし、フォルマさんも、攻撃魔法の応用も使えたし」

 俺は笑顔で北川の二の腕を叩き、素直に褒める。

「ふふん、感謝しろよ」

 北川はニヤニヤとしながら、腰に手を当てている。

「夢魔族はそれとなく魔法適正高いからな。お前の性癖にも感謝だ」

 けどにやけ顔が癪だったので、性癖も褒めておいた。

 ある意味うれしい誤算だからな、明日からはさっさと麦畑でも作るか。


 翌日に朝食後には第四村に行き、ある程度島内共通の大きさの畑を試しに一枚作る。

「これが、この島で基準となってる大きさの畑です。大体一辺が百歩ですね。この方が、色々と整備や管理がしやすいです」

「管理がしやすいってなんだ? 大きい方がいいんじゃねぇの?」

 魔族の男が疑問に思ったのか、そんな事を言ってきた。

「そうですね……。この一枚で、大体の作物の採れる量が計算しやすくなります。それと、同じ場所で同じ物を作ると、病気になったり、採れる量が少なくなりますので、次はジャガイモ、次は豆、休み、麦という感じにした方が、どれも病気になりにくかったりします。なので色々と管理がしやすいんですよね。だから四枚一組と言う感じで回しています」

 こういうのは、面倒くさがらずに教えないと駄目だ。町のスラムや、劣悪すぎる寒村に住んでたならなおさら知らないだろうからな。もしかしたら二圃式農法かもしれなかったし。

「そう言ってくれれば、俺でもなんとなくわかる」

「理解してくれてありがとうございます。そのうちどんどん大きくして、余った麦は酒とかにしますのでご心配なく。じゃぁ、残りもやっちゃいましょうか」

 俺はそう言って、残りの区画もどんどん畑にしていく。フォルマさんも俺のやってるのを見て、まねしてくれている。けど根起こしを手伝ってくれた、もう一人の魔族は駄目みたいだ。単純系ならいけるんだろうか?

 まぁ、根起こしが出来るだけで、かなりの人が楽になるから貴重だな。伐採は北川にやらせればいいし。俺がいなくてもどうにかなるな。


 しばらく作業をしていると、俺の後ろの方でなんか喧噪がする。振り向いたら、人族と魔族が殴り合いの喧嘩をしており、人族が殴り飛ばされた先にあったスコップを握ったので、二人の間に【石壁】を作り出した。

「はいはいはい、とりあえず落ち着きましょうか……。何が原因かは大体予想できますが、一応訳を聞いておきましょうか……」

 石壁を引っ込めて、冷めた目つきで二人を見て一応聞いてみる。

「あいつがろくに作業してないから、俺が注意したんだ」

「少し休んでただけだよ。最近動いてねぇから体力が落ちてただけだ」

「んー、まぁ。一応朝食と昼食、昼食と作業終わりの合間に、休憩を今までも挟んでて、それまでは持つと思ってたんですが……。けど、注意されたくらいで怒るのが悪い、あと殴り合いの喧嘩に武器を持ち出すのも悪い。戦争じゃねぇんだから殺し合いにすんなよ……。何か罰を与えないと示しがつかねぇな……。北川、ちょっと来てくれ」

 俺は北川を呼び、近くに来たら肩を組み、大声でなーかよーし! と数回大声で言い、左右に体を揺らした。

「コレができなければ、別な罰を与えます」

「おいごるぁ! クソ恥ずかしいぞボケ!」

「恥ずかしくないと罰にならないだろ! 俺だって恥ずかしいわ。魔王と勇者が仲良くしてるところを見せれば、皆が納得できるだろ! けど俺達は!」

「すごく仲良しです!」

 北川が見事にあわせてくれた。

「まぁ、魔王と勇者でもこれくらいできるので、普通の魔族と人族なのでできますよね?」

 俺はものすごい笑顔で言った。

「いや、その――」

「けどなぁ……」

 喧嘩していた二人は、お互いを見て嫌そうにしている。ならあれしかあるまい……。

「なら二人とも海岸線を歩き、椰子の木の数を数えながら第二村と第三村まで行って、食事を食べて、帰りの保存食と村長のサインもらってきてください、もちろん魔族は人族の第二村、人族は魔族の第三村です」

 それはそういって、メモ帳の紙と木炭、倉庫からナイフ、食堂から干し肉とパンを二組持ってきた。

「まだ罰を与える施設を作っていないので、これで我慢してください。どうしても向かった村で一緒に食事をしたり、保存食をもらうのが嫌なら、サインだけでもいいですよ、そのかわり飢えと戦ってください。水はパルマさんに言えば椰子の実を落としてくれますので、頼んで落としてもらってください。ナイフはその為の物です。はい、どうぞ」

 そういって二人に道具と食料を渡した。

「どうぞ? 行ってきていいんですよ? あ、森に入らないでくださいね。魔物や熊がでるかもしれませんので」

 二人に道具を渡したら、かなり狼狽えている。

「えげつねぇ……」

 北川がそう漏らしているが、俺は手を叩き、二人に早く行くように促し、無理矢理出発させようとする。

「あの、ほかに罰はないんでしょうか?」

 騒ぎを聞きつけて、あわてて来た村長が別な意見を出してきた。

「殺し合いに発展しそうになった喧嘩ですからね……、濡れてない砂浜を、自分が埋まるくらい掘ったら埋め戻す。それを三日ですかね? まだ明確な罰を決めてませんし、懲罰房もないですからねぇ。過去に喧嘩騒ぎがあったときは、朝になったら戻って来ていい事にしましたが……最悪殺し合いでしたし……。コレを期に決めておくか――」

 顎に手を当て、少し考えるような仕草をした。

「あの、おれは殺されそうになったんだが……」

「喧嘩両成敗ですよ、なんか言われた時点で手を出さなければ、こんな事にはなってませんでした。平気です。トローさんも経験してますので」

 両手を軽く広げ、笑顔で言っておいた。

「どっちがいいですか? 木を数えるのと、穴を掘るの? どっちも嫌なら、もう準備しちゃったので木を数えてきてください。あそこの椰子の木をゼロとして背中合わせで行ってきてくださいね。はいはーい、皆は作業に戻りましょうか。もう少しで休憩ですよー」

 そういって俺は作業に戻る。見せつけるのも必要だけど、本当に罰を考えておかないと……。


 夕方になり、執務室に戻ってから第四村の出来事を一応書いておく。

 村長や北川の話では、俺がいない時に小さな言い争いは多かったそうだが、殺し合いになりそうになったのは初めてらしい。

 留置場や刑務所、更生施設的な物もいずれ必要だが、そういうのには全く持って疎い。どうしよう……。いつも通り心を折りつつ、二度と悪さをしないと思わせる方法……。

 マンガの知識しかないけど、ベトナム戦争時、捕虜を縦穴に入れて蓋をしてたとか読んだな。ほかのマンガでも似たような事してたし。堅牢な施設を作る必要もない……。とりあえずコレで行くか。

 人道的? 先にルールというか、規律を乱したならまぁ仕方ないと思おう。

 狭い方がいいけど、かなりの身体能力だと、手と足を突っ張って壁を上る人とか、学校とかの狭い廊下や教室の角でやってた奴がいるからな。俺だってフリークライミングできるし。

 直径三メートルの深さ六メートルでいいか、掘りすぎても水涌くし……。

 底には藁と毛布、トイレは壷でいいか。そして三食昼寝付き、子供が入ると危ないから、地上部分には簡素な小屋でいいな。

 あとは拘束期間だな。十日単位? 発狂寸前で衰弱? 迷うな。けど映画で見た、檻に入れて沼に胸くらいまで沈めるよりはかなり衛生的だしな……。

 ってかその映画の影響で、学生の頃おでこにネクタイ巻いて、大きな三角定規もって変な顔して銃を撃つマネしてたし。

 よし、計画書にまとめたし、各村に通達するか? けどその前にルッシュさんと会田さんに相談だ。主に王都の犯罪者の扱いだけだけど。


「……確かに安く済みますが、精神的苦痛を伴うものは少しだけ酷では?」

 あるぇ?



 翌日王都にて。

「コレは軽い拷問……ですかねぇ? 一応こちらには留置場みたいな施設はありますが、日本みたいな更生プログラムはまだ出来てないのが現状です。一応重い罪を犯した人は、炭坑のような強制労働に行くことになっています。島にまだそういうところないんでしたっけ?」

 えー。駄目だった? さりげなく遠回しで止めとけって言われてる気がする。

「幹線道路を作るのに強制労働でもいいんですが、見張りも必要ですし、二人三人では人数が足りませんよ」

「ふむ……。まぁ国によって刑務所にも違いがありましたからね。アクアマリンで犯罪を犯したら、こんな刑罰があるって噂が流れれば、犯罪抑止にも繋がりますからね」

「いや、目を見て言って欲しいんですけど」

「そういえば、北川さんはどうです?」

 あ、話を逸らされた。

「えぇ、生き生きしてますよ。俺と話もノリも合いますし」

 俺は昨日起こった事を話し、フォルマさんの事も言った。

「良い傾向ですね。では二人をよろしくお願いします」

 そして会話が終わってしまった。この罰はいけないんだろうか? んー、何もない空間だと人は七十二時間くらいで発狂ってマンガでも書いてあったし、最長で五日、最低で一日から二日としておくか。殺人に関しても、決めておかないとまずいか? 一人島で殺してる俺が言えたもんじゃないけど……。

 けどあいつは産業スパイ的な者だったしなぁ……。仕方ないよね? 俺は執務室に戻り、一応魔王って事で、コレで行かせてもらうことにした。

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作者が書いている別作品です。


おっさんがゲーム中に異世界に行く話です。
強化外骨格を体に纏い、ライオットシールドを装備し、銃で色々倒していく話です。


FPSで盾使いのおっさんが異世界に迷い込んだら(案)

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