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第192話 頭痛に襲われた時の事

文字数が少なかったので、最後に入れたのが完全に下になりました。

苦手な方はご注意ください。

 あれから半月、第四村の建設を任せていた大工達が、ガウリさんの引っ張る船で戻ってきた。

 そろそろ本格的に受け入れの準備が必要だな……。

「フルールさん。会田さんに午後一時頃に会いに行きますと伝えてください」

「わかったわ、ゴゴイチジ頃ね」

 俺は、妊娠している女性への対応を書いた書類をもって、色々と準備をする。

「ちょっとセレナイトと、人族の王都に行って受け入れの話をしてきます」

 俺は執務室に行って、ルッシュさんに一言言ってから、出かけることにする。

 あー、あの倉庫は色々作業中だったな。屋根裏部屋作ってもらって、そこに転移できるようにしてもらうか……。

 少しだけ面倒くさいが、ポケットに通行料を余計に持ち、門の外に転移してから酒場に向かう。

 カウンターに座り、いつものと言うとベリル酒が出てきた。昼前から……、しかもこれから会田さんの所にも行くのになぁ……。

「おう、今日はどうしたんだ?」

 もう忙しい時間は過ぎてるのか、人はあまりいないので、マスターは俺の前に来て長話をする気満々だった。

「例の件が終わりましたので、島民の受け入れ準備が出来ました。規模は前回と同じか、少し少ないくらいで」

「ならこの紙はそのまま張れるな」

 マスターが、カウンターの中から前回島民を募集した紙を出してきた。

「今回は人族も呼びます。しかも同じ村で生活です。なのでそれが平気な方のみですね。今ちょうど空いてるので、テーブルで書き足しますね。ペンとインク壷を貸してください」

 俺はテーブルに移り注意事項を増やした。

「それにしてもよ、暇な時間に倉庫を見に行ったが、ありゃすげぇな。あんなに銅を使うんだな」

「えぇ、大きくないと効率的に悪いですからね」

 マスターは、ついにカウンターから出てきて、カップに麦酒をもって正面に座った。

 元々倉庫にも顔を出すつもりだったが、今どうなってるのかすげぇ気になる。

「で、完成の目処はどうなんだ?」

「わかりませんねー。現場次第です。特に急がせてる訳でもないですし、上が現場に口出しするのもやる気に関わってきますので……。中には見られてた方が、手抜きしてないのがわかるからいてほしいって人もいるみたいですが、俺は全面的に信用していますので」

 俺は一文を付け足し、後日詳しい日程を張り出す事をマスターに伝えた。

「んじゃごちそうさまでした」

 お金を払い、俺は倉庫に移動する事にした。


 倉庫前につくと外壁の補修は終わっており、後は屋根だけってなかんじだった。中にも入るが、ヴァンさんが指揮を取りつつ、雇った鍛冶屋に丁寧に色々と教えていた。

 門外不出でもないので、どんどん増えてほしいもんだ。まだこの辺じゃ、蒸留施設はアクアマリンでしか見てない。この町にもどっかの金持ちが事業展開してくれれば、お互い意識しあって品質のいい物が出来るんだけどな。

「お疲れさまです!」

「「「うーーっす!」」」

 うん、いかにも現場って感じだ。差し入れとかしたかったが、瓶詰めのお茶とか売ってないし。軽食の持ち帰りもこの辺にはないしなー。

 ペットボトルのお茶と、コンビニの存在は偉大だわー。

「おう、どうしたカーム。急変更か?」

「ちょいと住人募集の張り紙を頼みに行きつつ、寄っただけです」

 ヴァンさんは手を動かしつつ、顔だけを俺の方に向けて何か急な変更かと心配していた。

 織田さんが殆どやってくれたから、変に口出すこともないし。

 そして隅の方を見たら、ヤカンとイスみたいなのがあったので、各自準備はしているみたいだ。

「急な変更は大工の方ですね。転移魔法の行き先が門の外なので、倉庫の隅に梯子作ってもらって、俺が乗れるくらいの空間を所望です」

「通行料けちんなよ」

「いやー。歩くのがちょっと面倒だったりしますし。どちらかというとずぼら? ですかね」

「っかー若いのに嫌だねー」

 それでも手を止めないヴァンさんはすごいな。まぁ俺は俺で少し注文を増やすだけだから、図面と睨めっこして、邪魔にならない場所に作ってもらうだけだ。

「んじゃ親方? 棟梁(とうりょう)? に話付けて、俺は帰りますね。よろしくお願いします」

「おう、お疲れさん」

 さて、まずはどうやって屋根まで上るかだよなぁ。まだ梯子かかってないし、フリークライミングでいいか。

 俺は倉庫内の梁に手をかけ、どんどん上っていき、穴のあいてるところから顔を出す。意外に上りやすいな……。

「やっぱり高いから足場が必要だろう。梯子より安全だ」

「そうっすねぇ。多少手間賃が増えますが、儲けは出てるからいいんじゃねぇっすか?」

「ならその足場をかける、代金上乗せでいいですよ」

「「うお!」」

「なんだ、雇い主じゃねぇか! いきなりどうした」

「ちょっとそこの酒場に用事が出来たので、ついでに寄っただけです。ですがいいところに出くわしました。足場を組んで安全第一でよろしくお願いします」

「うれしい事いってくれるね。みんなお前みたいな雇い主なら、気持ちよく仕事が出来るってもんだ!」

「そうですねぇ。あ、ついでに相談です」

 俺は訳を話し、梯子とロフトみたいな小さな空間を追加注文した。

「そんなもんか、問題ねぇぞ? 図面見ても邪魔にならねぇ場所ならあるからよ」

「ならよろしくお願いします。それも料金上乗せでいいですので」

「おうよ、こんなの片手間で出来る。それと足場の件は助かったぜ」

「いえいえー。お互いわだかまりなく行きましょう。んじゃ俺は失礼しますね。あとはよろしくお願いします」

「気をつけて下りろよ」

 俺は穴の空いていた部分から、上ってきたように下りる。

 んー、時間余った……。門近くの食堂かどこかで昼食でも食べるか。


 俺は太陽を見て、十五分前になったので門の外に出て、王都の地下に転移するが、相変わらず小さな机で作業している勇者がいる。この間の赤土の人だ。

「あ、どうも。この間はどうもありがとうございました」

「いえいえ、日本酒もありがとうございました。今日はどのようなお話で?」

「まぁ、戦友の相方が妊娠したので、本格的に乗り出そうと思いましてね」

 そう言って書類をテーブルの上に出す。

「あー。必要ですよね……これ。この王都でも多少働いてる女性がいるみたいですが、全然支援制度なかったですし……」

「やっぱりですか……。どうしても地球基準で考えるなら必要ですよね」

「そうですねぇ」

 しばらく立ち話をしていたら、会田さんがやってきた。

「時間ぴったりですよね?」

「えぇ、かなり遅れても問題はないですし、俺が早かっただけですのでお気になさらず」

「で、お話というのはコレですか……」

 会田さんはイスに座り、ペラペラと資料をめくっている。

「詳しい方っています?」

「えぇ、コレで問題はないですね。妊婦への労働基準法ですよね? 本来はもう少し細かいですが、これくらいでも問題ないでしょう。保証の方もアクアマリン基準でやっていただければ、問題もないでしょう。国が違えば法律も違うように……。こっちも手を着けたいんですが、人口が掌握仕切れてないんですよ」

 なんかすごく大変そうだ……。

「ありがとうございます。それとですね、人員の受け入れ体制整いました。午前中に魔族側の方にも告知に行ってきましたので」

「わかりました。ではこちらも動きますね。あと、とある問題で勇者一人を派遣しますが、いいですか?」

 勇者か……。理解力のある防衛力って思えば万々歳だ。

「えぇ、問題ありませんが……いきなりですね」

「本当にいきなりですよ……」

 会田さんは、こめかみの辺りをを手で押さえ、渋い顔をしている。どうしたんだろうか?

「北川さんの事。覚えてます?」

「えぇ、俺に何で女じゃないんだって慟哭し、嫁探しに魔族大陸を旅してた」

 ついでに言うと、夢魔族しかいない娼館を一回紹介したけど。

「やっと戻って来ましたが、ここは王都で、魔族への理解がまだ低いんですよね。女性の方が精神的に参ってるらしく……。そちらの人族と魔族が上手く暮らせてるアクアマリンへの移動を、双方が強く希望してまして」

「あ、はい……」

 んー、大変なんだろうなぁ。俺だって移動だけで石とか投げられてたし、城内はまだ砂漠の民風装備だし。

「村人枠での入島でお願いしたいんです」

「そのくらいならかまいませんよ? 村長でもいいくらいです」

「それは年齢的な問題で、本人が嫌がってますので……」

「アッハイ……」

 能力があれば、問題ないと思うんだけどなぁ。第一村の村長を、そこにいただけって理由で決めた俺が言えたもんでもないけど。

「では、北川さんは既にコランダムに入ってますので、金田さんに連絡して、準備が整い次第に船で向かわせます」

「わかりました。特に問題はないです」

「あと、北川さんの嫁に驚くと思うので、覚悟しておいてくださいね」

「えぇ、覚悟しておきます――」

 どんな嫁なんだろうか……。まぁ楽しみに待っておきますか……。

 それから俺は少し雑談をして、執務室に戻った。

 ってか、日本酒の製造量とか、味噌醤油の生産見込み量を聞かれるとは思わなかったわ……。


 俺は草案を清書し、綴り終わらせ夕食を食べるが、珍しくアドレアさんが目の前に座った、何だろうか?

「カームさんできました。勇者様の持ち込んだ知識を、本にした物をアピスさんが持っていたので、参考に描いたんですよ」

 アドレアさんは、いきなり板に貼った紙を見せて来た。

 うわ、グロ! リアルすぎ! 医学書かよ! ってか絵うま! お茶吹きそうになったわ。

「すみません。それ……、子供の教育に不向きです」

「えぇ! 一生懸命模写したのに……」

「正確に模写すればいいって訳じゃないんですよ……」

 こう、もうすこしオブラートに包んで、絵にもデフォルメを入れてだな……。ってか男性性器なんか発禁物だぞこれ! モザイク入れろ!

 あんた船に乗ってきた時に、男性のこと知らなそうだったじゃないかよ! あー……図説だから大きさがよくわからないのか……?

 知識は多少あるが、男の思考とかもわからなそうだな……。

「あの……、絵に関してはとある筋に外注しますので、それはアントニオさんに渡してください。それは大人に説明するための図説ですので……」

 頭痛い……、無垢なのか無知なのかよくわからないけど。この人の暴走は大事故になる……。男の真横からの断面図とか久しぶりに見たわ。

「えぇっとですね……説明はできるんですよね?」

「はい」

 その後は、当たる日、当たらない日、愛し合う。そんな単語と共に、上手くぼかして説明はされたし、月一の女性の日の説明も上手かった。これなら子供の教育にも問題はない。

 けど、あ、ありのまま今起こった事を話すぜ? 

 俺はアドレアさんの前で、子供の為の講習を試しに聞いてたら、なんか違和感に気がついた。男とか女とか言っていたが、言ってる事が理解できなかった。何を言ってるかわからねぇと思うが、俺もわからなかった。そしてその違和感に気がついた。

 見たことのあるのは、孤児院の男の子くらい? しかないんじゃないか……と――

 男はそんなチャチなもんじゃあ断じてねぇ。ただ単に見たことがないだけだ。こいつは確信だ!

 ってか教会の孤児院で育って、そのままシスターなら無理か……。

「……あの。明日の昼過ぎでいいので、執務室に来てください……。アドレアさんにこのまま任せると、大変な事になると確信しました……」

「へ? なにか間違えてました?」

「根本的なところで間違えてますので、全てがズレてます――」

 明日は、勇者に保健体育の教科書風の絵の発注と、アドレアさんにセクハラにならない程度の説明をしないと……。

 はぁ……頭痛が痛いって言いたい……。だって発禁物の模写が子供サイズだと思ってるんだから……。

 ラッテをつれてきた方が早いか? それともコーンフラワー孤児院に連れて行くか? バナナか粘土での説明でいいか。粘土はもちろんだいたいの大きさで、フランクフルトみたいな凹凸の一切ないもので!

 はぁ、明日も頭痛に襲われるんだろうか? あ、船長にセレナイトに行ってくださいって伝えないと……。会田さんの話では直ぐにでも出航できるって話だし。酒場にも行って日程も貼ってこないと……。

ポル〇レフの台詞を参照しました

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作者が書いている別作品です。


おっさんがゲーム中に異世界に行く話です。
強化外骨格を体に纏い、ライオットシールドを装備し、銃で色々倒していく話です。


FPSで盾使いのおっさんが異世界に迷い込んだら(案)

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