第17話 初めて町へ行った時の事 中編
細々と続けてます。
相変わらず不定期です。
相変わらず主人公が魔王クラスになっていく要素が少なすぎる。
目標は完走ですかね?
20150531 本編に影響が無い程度に修正しました
いつも通りの時間に目を覚ますと、三馬鹿は寝ているので書置きを残しさっさと食事を取り町の探索でもしてくる。
『探索してくる、昼頃と夜には戻る』っと。
これで良し。
宿屋のおばちゃんに挨拶をし、朝食を出してもらい出かける事にする。
朝日は昇ったばかりだがもう露店は開き、店の方も早ければやっているみたいだ、流石に太陽を無駄にしない生き方をしてるな。
昨日の探索でなんとなく解ったが町は円形で東西南北に門が有り町を8等分する様にメイン通りが存在し、門から門までがゆっくり歩いて60分だから時速3kmだとしても直径3km。それをレンガみたいなのを積んで有る城郭都市と言ったらいいのか解らないが、囲まれてる時点で小さいけど城郭都市になるのか?と思いながら主にメイン通りの探索を開始する。
村には無い冒険者ギルドや、鍛冶屋や武器や防具を専門に扱う店、品数が多い雑貨屋。嫌でも目に付く薬瓶みたいなマークの看板、「ポーション安いよー」とか言っている。あーこの世界ってやっぱりポーションも存在してたんだ。
「すいません、ちょっと聞きたいんですが。田舎から出てきたんで解らないんですがそれって飲むんですか?傷口に塗るんですか?」と薬屋っぽい店主に話しかける。
「基本傷口にぶっ掛けるな、飲めば疲れが取れるし傷の治りも早いぜ」
「色々種類が有りますけど何か違いは?」
「高けりゃ高いほど効果が高い。あと解毒剤とかだな、幻覚とか見えたらこっち、痺れたらこっち、噛まれたり刺されたりしたらこっちだな」
と言って色分けされた瓶を指差していく。まぁ毒にも色々あるからな。
「丁寧にありがとうおじさん、お礼にこの一番安いの1本買うよ」
「やってるやつは少ないけど、水で薄めて売ってる奴も居るから気を付けろよ、大銅貨2枚ね」
ちょっと高いな、高い栄養剤と思えば良いか。
「おじさんの所は?」と冗談で聞いて見るが「無いから安心しろ」と笑いながら言われたのでとりあえず信じておく。
「おじさん、ここで試していいかい?まだ使った時がないから、どれくらい効くのか解らないんだおっちゃん、ナイフ貸して、武器類は全部宿屋なんだ」
好奇心には勝てなかった。
「おいおい、店先を血で汚すなよ?」
そう言われたが、血が出るまで浅く指を斬る。
まずは掛けて見ようかね、と言って傷口を洗う様に少し垂らすと傷は塞がらないが血は止まった。傷口を指で開いて見たらまた血が出てきた。「おいおい治ったのにまた自分で開くのかよ」と突っ込まれたが意外に治りが遅い。こんな傷舐めとけば治るが一応もう一回かけておく。
今度は味だ、一口含むが物凄く不味い。なんて言えばいいか解らないが苦しょっぱ甘い。まぁこんなもんか程度に思っておくかな。小物入れを背嚢から外してベルトに付けておいたのでそこに入れ、おっちゃんに冒険者ギルドの場所を聞きつつ探索を再開する。
いやー出るわ出るわ、中世っぽい異世界なのに地球の料理やお菓子や調味料が、お好み焼きっぽい物にソースやマヨネーズ、タルタルソース、アイス、カステラ、金平糖、餡子、クレープ、サーターアンダーギー、味噌、醤油。肉まん餡まんまで有りやがる。なんで今まで村で見なかった! こりゃ勇者召喚説は当たりだな。確実に地球人が居るな。
菓子類は簡単な物なら結構そろってるんじゃないか?ってくらいそろってる、味噌や醤油が有るのはびっくりしたが、菓子類は手間がかからない物が多かった、昼は戻って皆と一緒に食べるとして、その後だよな。絶対スズランが絡んで来るに違いない。まぁその前に冒険者ギルド支社にでも行って来よう。
町にある建物の中でも大きい方に部類される建物の中に入るとそれなりに人が居て賑わっていた。
壁を見て討伐依頼や雑用事の書いて有る紙を見てみる。
ランク1・無期限・町の近くの魔物や野生生物の討伐・報酬:討伐部位と金銭の交換
ランク1・無期限・町の防壁修理・報酬:現場で日払いで大銅貨8枚前後
ランク1・無期限・町の清掃活動・報酬:日払いで大銅貨5枚
ランク1・無期限・商店の日雇い労働・報酬:日払い現場で変動、詳しくは受付まで
ランク1・無期限・薬草の採取・報酬:量や質により変動
んー気になった内容はこんなもんか、出来そうな討伐依頼が圧倒的に少ないし俺にできるのは町の便利屋さんってのがしっくり来る。まぁやろうと思えば出来るんだろうと思うけど。やらないだけだ。
あと、本当に父さん達は冒険者してたのか?
「すみません、ギルドに登録するのに少々聞きたいのですが?」
受付の綺麗系のウサ耳のお姉さんに声をかける。むしろ受付が1ヶ所しか無い。
「どのような事でしょうか?」
「ギルドに登録するのにどの様な手続きが有るのか聞きたいのですが。」
「ギルドに登録するのには、銀貨5枚が必要になります、その際に名前や特技、前衛か後衛かを書いていただきます。
ある一定の特技を持った人を、指名したい依頼が有った場合、大まかな目安となります。
ランクに関しては上になればなるほど数字が大きくなります、最大で10、最低で1ですね。ランクアップに関してですが自分と同じランクを10回、1つ上のランクを5回、1つ下では20回の依頼成功となっております。自分のランクより前後1までしか受注できませんのでお気を付けください。
なお失敗によるランクダウンは有りませんが、金銭によるペナルティが発生する場合が有りますので、そちらの方もお気を付けください。以上で簡単な説明を終わりにしますがよろしいでしょうか?」
「はい、大丈夫です、ありがとうございます。ギルドに登録すればどこでも利用可能なんでしょうか?」
「基本的に問題ありません。ですが人族側のギルドに成ると多少の違いが出てきますが基本は同じです。まぁ魔族を嫌ってる人族も居て、とある魔族の討伐依頼とかも有るので、私達魔族は魔族側のギルド支社に入った方が間違いないと思います。この町はかなり魔族側に位置してますので、人族用のギルドはこの町に有りません。魔族にも人族を嫌ってる方も居ますし人族側に近い町に近づかない方が賢明ですね。それで登録しますか?」
「いえ、今日はベリル村から学校の授業で来てるので、登録はまた今度卒業してからって事にしておきます。説明ありがとうございました」
「いえ。この町にもベリル村出身の方も多いので、もしこの町に住むのなら直ぐに馴染めると思いますよ」
とにっこりと笑いながら説明を終わらせた。
んー意外に日雇い仕事が多いな。日雇い労働者の仲介屋みたいな感じになってるな、職安に近いなこりゃ。と考えながら外に出るとクレープを食べ歩きしてるシンケンとミールにばったり会う。デートっすか?
「あら、カームじゃないこんな所で何してたの?」と気まずそうな顔をしているシンケンを無視するかのように話しかけて来る。
「よう、ちょっと冒険者ギルドの下見と、どんな仕事が有ったのか調べてただけ。そんな事よりそれ美味そうだな。甘そうだし、俺甘いの好きなんだよ」と当たり障りの無い会話をして気を利かせて去りますか。
「そうそう、すごく美味しいのよ。向こうに売ってたんだけど良かったら案内するわよ? 甘いの好きなんでしょ?」とこっちが気を利かせようとしてるのに一緒に行かないか?と誘ってくる。シンケンに恨まれそうだ。実際少し絶妙な表情をしながらこっちを見ている。
「あー、大丈夫だ、俺も買いたい物とか有るし別方向だからな。歩いてればすぐ見つかるだろ?」と逃げる様に歩き出しながら手を振りミールが指差した方に向かうが。
「スズランが探してたわよ? 少し位相手にしてあげたら?」
「あー昼には一回宿に戻るからそん時にでも」と言って早々に立ち去る。
あー危ねぇ、あのままだったら多分シンケンに背中から矢で射られてたぜ、ミールは少し空気を読んでほしい。
昼前なので、間食するかしないかで迷ってたがやめておいた、そして武器屋に入りお目当ての物を探す。
「おっちゃん、マチェットって無い?」
「ねぇな、そりゃ雑貨屋か道具屋だ、うちにはククリしかねぇよ、東門近くの道具屋になら有るかもしれねぇな」
「あーそうっすか、おっちゃん情報ありがとう。お礼にこの砥石買うよ」
「あいよ、ありがとなあんちゃん大銅貨2枚だ」
マチェットはこっちの世界じゃ農具扱いになってるからな、丈夫で折れにくい過酷な使用にも耐えるのに。もったいないなぁ。
しばらく歩き出店の食べ物の位置を覚えつつメモを取りどこが安いか簡単な絵図面で書いておき、言われた道具屋に行きマチェットを買いつつ、なんとか昼前には宿屋に戻れた。そして昼間から先生が酒を飲んでいた。引率でしょ?一応仕事じゃねぇの?これ?と思いつつ買った物を背嚢にしまいつつ、1階の食堂スペースで先生に絡まれながら暇をつぶす。
「カームくぅん? スズランちゃんとは一緒じゃないんですかぁ?」
フィグ先生は物凄く面倒なタイプの絡み酒だった。
「え・・・えぇ・・・まぁ、朝早く起きたので探索に、メモを残しておいたので昼に戻るって事は誰かが言ってると思いますよ?」
「ふぅん・・・じゃぁ午後からはでぇとですか!いいですねぇ若いって!」
うわ!めんどくせぇ!超めんどくせぇ!
「まぁ、昼にスズランが帰ってくればですけどね。」
と言いながら、俺等のやり取りを下品な目で見て来る他の宿の客、先生露出高いからなぁ。
昼を少し過ぎたらスズランが宿に戻ってきて俺の所に駆け寄って来る。
「一緒に回ろうと思ったけど起きたら居なかった。酷い」
少し不満を漏らすが「おまえ朝に弱いだろ? お前が起きるだいぶ前に起きて町に行ってたぜ? 時間は無駄に出来ないよ。ってか女子部屋に男一人で入れないよ」
と言うと少し脹れる。
「まぁ昼でも一緒に食べに行こうぜ」
「うん」
と言うと先生がヒューヒューと口で言ってくる、あの村の大人は駄目な奴が多いのか?それともこの世界基準でおかしいのか?俺には解らねぇよ・・・
「じゃぁ行ってきますので先生も色々と程々に」
「あーん?大丈夫大丈夫、後ろの方ですけべな目で私を見てる奴が手出して来たら糸で簀巻きにしてボコボコにしてやるわ」
先生糸出せたんですね、流石アラクネ、下半身の蜘蛛は蜘蛛として機能するんですね。あと後ろの人がいやらしい目で見てるって良く解りましたね。魔族怖いわー俺この世界でやっていけるかな?
前回のヴルストとの探索の時は夕方近くで露店や店が結構閉まってて薬屋を発見できなかったと言う事で。




