第175話 偉すぎる人から呼び出しを食らった時の事
二話連続更新の二話目です。1月1日は更新しません。
しばらく故郷で過ごし、アクアマリンに帰るとルッシュさんの表情が、少しだけ柔らかくなっている気がした。
「一人だけ故郷に帰ってしまい申し訳ありませんでした。何か変わったことはありませんでしたか?」
「えぇ、特にありませんでした。それと、私は最初からこちらに永住するつもりで来ましたので、御心配なく」
「そうでしたか、では執務室の方にいますね」
キースとの関係が気になるが、プライベートだから聞くわけにはいかないな。まぁ、聞かなくてもキースがベラベラ吐いてくれると思うけどね。
執務室で作業中、床に転移魔法陣みたいな模様が出来て、前に見た事がある人物がいきなり現れた。俺もこんな感じで転移してるんだろうか?
「やあ、カーム君。久しいね」
「あー……、俺を魔王城に連れて行った! お久しぶりです」
名乗られてもいないし、かなり身長が低い事くらいしか記憶にないからな。今はこれしか情報がない。
「なんか、すげぇ嫌な予感しかしねぇんですけど」
「まぁまぁ、ちょーっと着いてきてくれるかな? とある噂が流れててね。そのことについて、とある方が色々聞きたいと言ってるんだよね」
「あの、何か自分が知らないうちに粗相でもしたんでしょうか?」
「あぁ、裏の方ではないよ」
「……裏?」
どういうことだ?
「とりあえず来れば全てわかるよ。おいで」
笑顔でそう言い、転移魔法陣を足下に発動させている。俺は急いでメモに走り書きを残し、言われるがままに、陣に入った。
転移すると、前回の鉄の扉があった倉庫のような小部屋ではなく。大きな城の城門の前に出た。
中に入ると、見た感じシンメトリーになっていて、木や植え込みも綺麗に選定されており、なんか真っ先に維持費とか気にしちゃう系の庭だ。
「どこですか? ここ」
「とある王都のお城。国王様がちょっとカーム君に用事があるみたいなんだよね」
「……ん? なんで俺が王都に、しかも国王様に呼ばれるような事はし……てないかもしれない……ですよね?」
してないはずだ、多分、恐らく、メイビー、きっと。
「そうだね、けど話があるから呼ばれた。それだけだよ」
「はは……。帰って良いですかね?」
「させると思う?」
「……でしょうね」
笑顔で却下された。
「とりあえず、話を聞かないと話しにならないからねー」
言ってることがさっぱりだ……。
「魔王様と国王様の、二人の補佐をしてるなんて疲れませんか?」
「全然疲れないね」
「すごいですね……」
腹括るしかないな。最悪殺してでも逃げよう。この隣の小さい奴に勝てればだけどな……。
「カーム君優先で、謁見待ちの要人後回しで即謁見だから」
マジかよ……。なんでこんなことになってるの?
「胃がいてぇ……」
「はは、緊張しないでいいよ」
無理に決まってる。いきなり国王とか……。見知らぬ貴族との会話でも緊張するのに。
城内に入るが、かなり広い廊下や広間、至る所に多種多様な鎧を着込み武装している魔族がいて、あらゆる状況を想定してると思われる感じだな。
そして、城の奥まで案内され、無駄に大きすぎる両開きのドアが、屈強なサイクロプスの男二人がそれぞれの扉を押して開けてくれた。
なんだろう、突き出てる四本の丸太を、奴隷数人でクルクル押してる光景が頭に浮かんでしまった。ってか毎回人が来る度に開けるんだろうか?
「魔王カームを連れてきました」
「ご苦労、下がれ」
フード付きのマントを着込み、顔が見えない国王様がそう言うと、魔王部下が下がった。
意図的に顔を見せないようにしているんだろうか? 昔の日本でもそんな感じのをテレビとかで観たことあるし。
改めて、魔王とか呼ばれると違和感しかない。自覚がないからな。
「カーム個人に話しがある、他の者には聞かせられない内容だ。俺は先に別室に行くが、カームはしばらく待機してから側近に着いて来い」
そう言うと玉座から立ち上がり、階段を下りて謁見の間の脇にあるドアを、部下がタイミング良く開けたので、そこから出て行った。なんだこれ、急展開すぎる。そして国王様がフリーダムすぎる。
穴開けた簡易的なボウルの水時計を、王様が出て行った扉を開けた人が設置し、完全に沈むと、
「着いてこい」
片目に切り傷があってアイパッチをしている、父さんみたいな見た目の、緑色の肌のリザードマンが、先ほど王様が出て行ったドアの前で俺を待っている。
「あ、はい!」
しばらく、側近と呼ばれた人の裏を歩くが、違和感に気が付いた。俺、武器のチェックをされてないな。
「あの……少々よろしいでしょうか?」
「なんだ」
「武器を持ってるかの検査をされてませんが? もしかして、何か危害を加える可能性とかは――」
「国王様は武闘派だ、なんだかんだ言って俺等より強い、しかもお前は魔法型だ、検査の意味がない。それに報告書では、黒い妙な武器を作り出せるから注意と書かれてた」
途中まで言ったら、言葉を遮られた。この屈強そうな側近より強いってどんな国王だよ。数万の兵をまとめ上げるこの私が、弱いはずなかろう! とかを地で行くタイプなのか?
「確かにそうですが、手枷付けておくとか、足枷付けておくとかしないんですか?」
「そんな物なくても、貴様如きなんの障害にもならない。俺等を纏める国王様が弱いはずないだろう? 弱かったらこの城の大半の兵が国王様とは認めぬ」
俺の考えが当たってた。国王は魔族大陸最強でした? ってかそんなに強いのかよ……、どうやって逃げるかを考えとくか……。
軽く話しをしながら歩き、突き当たりのドアが見えてきた頃。
「変な気は起こすなよ? まぁ起こしても国王様を殺すのは無理だと思うがな」
それだけ言われて、ドアが開けられる。不敬罪とかないの?
緊張して中に入るが、王様がすでに座っていて、両肘を付いて口の前で手を組んでこちらをにらんでいた。どこの有名なサングラスかけた父親だよ。こえぇよ。
「ほう、怖じ気ぬか。まぁいい、普段通りに話せ。そして久しいな」
「は?」
久しい? 初めましてですが?
「魔族語が喋れぬ。目立ちたくないからと言って、足の甲に魔王の刻印を刻んだ変わり者よ。まぁいい、座れ」
「……はい」
魔王部下が国王様側にいる時点で、こっちの情報はダダ漏れだろうな。どうするかな……。
「まだ気が付かぬのか?」
逃げる算段をしていたら、国王様が独り言のように呟きフードを脱いだ。
「魔王様!? え? 副業!?」
「馬鹿者、兼務だ」
「両方……ですか……」
ちょっとまて……どう言う事だ? 国王様イコール大魔王様って事は、目の前の本人が今言った。あれ? ってことは、んー? どう言う事だ?
「まだ混乱しているのか? 貴様は賢いと思っていたのだが」
「まぁ、確かに変な学はあると思いますが、貴族とかそっち関係を纏める頭の国王様。俺達のような魔王を纏める頭の大魔王様。統率する系統が別なので、二人いると思ってたのですが……。どう考えても、王様が管理してる貴族達の土地に勝手に割り振られて、好きにして良いってのがずっとおかしいと思ってましたし、引っかかってたんですよね」
「ちょうど年越祭も終わり節目が過ぎた、丁度よいのでその辺も踏まえての呼び出しだ」
「はぁ、わかりました……」
正直聞きたくない。なんで俺なんだよ……。
「話を聞けば納得できる、まぁ聞け……。季節が数百回も巡る前の事だ。魔族側の国王や貴族とは違う、ただの強い男がこの大陸を周り、あらかた強い奴と戦い、勝ち上がり、大陸で一番強いと自負して何を思ったのか、魔族の王、魔王と名乗る。その後に、とある人族の大陸の大きな街を乗っ取り、暴れ回っていた……」
大魔王様は、テーブルにあった果実酒の入ったピッチャーから手酌でグラスに注ぎ、一息で飲み干して続けた。
「そして、何人もの腕利きの人族や軍が挑戦をしたが結局倒す事が出来ず、最後の手段として異世界から選ばれし者を数人、何らかの加護付きで召喚し、その者達だけでその魔王を名乗る者を倒し、たった数名で挑んだ事から勇気がある者として扱われ、勇者と名乗るようになった」
大魔王様は、俺の前にもグラスを置いて果実酒を注いでくれ、更に続けた。
「その後に魔族側の国王が、一人の魔族とその部下の暴走を謝罪をしたが、人族の軍まで出て、兵士が一万以上も死んでる。かなり遺恨が残っていたらしく、人族側の大陸で宗教家は、魔族は野蛮で魔物と一緒だと流布した。そしていつしか大陸間で戦争が起こり、今でこそ戦線は縮小したが、その頃の名残として魔王と言う名前だけが残り、各地で強い者を魔王に任命し、いつでも戦線に行けるようにしてある。そして、そいつ等は大魔王と呼ばれる者が管理している。つまり今は俺だ」
話が急すぎて何も言えない。ってかこの雰囲気で折角果実酒を注いでくれたのに飲めるはずがねぇよ。
「貴族との領地との住み分けは、実は裏で管理されている。それは魔族側の国王と大魔王は当時から管理がしやすいように同一人物になり、一部の貴族はソレを知っている。魔王が与えられた領地で好き勝手やっても特に何も言われないのは、何も知らない貴族でも、代々親から教えられてるからだ。問題を起こす事が多い奴は、事情を知る者達に秘密裏に処理され、新しい魔王が就任という形になっている」
もう何がなんだかわからねぇよ。
「それと、お前は知っておかないといけない情報がある。それは、人族の王数名と、俺と側近数名は秘密裏に定期的に密会を重ねており、お互いの国の情勢を話し合い、問題の多い魔王は、今でも召喚され続けていた勇者に討伐という形で殺されてる。逆に勇者が殺される事もあるがな。そんな事をするのは、もちろんお互いの戦力の均衡を保つ為だ、それが崩れると片方の種族が滅びるからな」
んなもん知りたくなかったわ……。これも神のテコ入れですか? おい、見てるんだろ? 今夜辺り出てきてくれよ。
「何か聞きたい事はあるか? あるなら言ってみろ」
「えーっと、まずは魔王からです……。初代自称魔王が人族の街で暴れ、ソレが原因で異世界から勇者を召喚する。そして戦争が起きてから、そんな体系が出来上がったと」
「そうだ。領地を与え、好きにして良いと言うのは、ある程度の権力を与えれば、そいつの本性が見える。つまり倫理的な面での試験みたいなものだ」
確かに、金か権力を与えるとある程度本性が見えるって言うしな。
「次です。一部の貴族と言いましたが、基準は何でしょうか?」
「位の高い者。戦線近くで、魔王と勇者の体系を知っておかないとまずい者だ」
「えぇっと、ぶっちゃけると、倫理的で強い者を領地内で野放しで飼っているって認識が早いですかね? そして何かあったら直ぐに駆けつけるような良い奴を育ててると」
「あぁ、ぶっちゃけるとそうだな。各地に散ってる精鋭だと思えばいい」
なんか軽いなー。だから最前線基地でも、筋肉魔王が仲間を引き連れて来たんだな。
「秘密裏に密会と言いましたが、俺、人族の王と何回か会ってて、勇者と協力し、どうしようもないくらい駄目な、人族の一つの国を良くしようと動きましたけど?」
「あぁ、あの国王か。海岸線に国があるから他国から防衛費をもらい、こちらの大陸に兵士を送り込んできてる奴だったな。あいつは国民を蔑ろにし、協定を無視して勇者召喚をしていたから、密会している国王数名のうちに入っていない。むしろ何も知らされていない。娘の方が優秀だから、本来は排除される予定だったが、お前と勇者が手を組み、国の体制を変え、どんどん良くなっているから不思議な事にまだ生きてる。もちろん勇者自体も攻め込む意志がなく、内政に力を向けてるから、処理される事はないだろうな。だからお前には、秘密裏に会っている事を教えたのだ」
話がでかくなってきたな。あの国王は省られてたのか……。ってか子供の頃から王族連中の監視かよ、恐ろしいな。
「では、俺が間借りしてる無人島だった場所を所有してる貴族の女性ですが、この事を知っているのでしょうか? 港町で大陸間の交易があるみたいですが、もしかして昔戦争があったのでは?」
「知らぬな。確かに先々代の時はあの辺りも戦地だったから、魔王は攻め込まれた時の為に存在しているって事だけは知らせていた。だが、密会の件は知らせてなかったな。そもそも、特にそいつ自身が何か功績を遺した訳でもないし、特別な事をした訳でもない。昔領地が戦場になってた頃の子孫ってなだけだ」
先々代に教えていた? 大魔王様って何歳だ?
「えぇっと、他に戦場があるかわかりませんが、俺が動いた結果、一部の戦場がとりあえず停戦しました。勝手に動いて、停戦させて良かったんでしょうか?」
「長年にわたる小競り合いで、お互いの国で疲弊がすさまじいからな。こちらが動く前に処理してくれて感謝している。ソレなのに、その女は今回の多大な功労者に対し、膨大な税の取り立てという嫌がらせと、とある条件を飲む為に靴を舐めろと言ったそうではないか」
「あの、何で知ってるんでしょうか? カルツァ様が言ってました?」
「いや、とある筋からの情報だ、この女は一切喋っておらぬ」
この女? ここにいるのか?
「あの、先ほどこの女と言いましたが、カルツァ様がいるのでしょうか?」
「あぁ、とりあえず俺のイスになってる」
「はぁ!?」
今なんて言った? 俺のイス?
「そろそろいいか……。最重要機密とカームの功績の事は十分に説明したからな?」
大魔王様は、果実酒の乗ったテーブルを横に蹴り飛ばすと、四つん這いで苦悶の表情を浮かべながら、カルツァが歯を食いしばってイスになっていた。
あ、果実酒の入ったピッチャーやグラスごとテーブルが粉砕した、もったいない。蹴り強すぎ……。ってか現実逃避したい。目の前の光景を見たくない。
「もう口を利いてもいいぞ」
「は、はい……温情感謝いたします……国王様」
「……」
止めてくれ、いくら気にくわない奴でも、そんな光景を見て喜ぶような性格してないぞ……。
「どうした。お前に靴を舐めさせ、恥辱と屈辱を与えた女が似たような目に遭っているのだぞ? 汚い言葉で罵ったらどうだ? 少しは溜飲が下がるかもしれんぞ?」
「あ、いえ。別にあんなのどうとも思ってませんし、むしろあの程度で小さな争いが避けられ、どんな小さな遺恨も残らないなら個人的に問題ありませんでしたが? それに、性格が悪すぎる奴と割り切ってますし」
「そうか、お前は心が広いな。良かったな女、カームからの仕返しはないと思って良いぞ? だが俺が気にくわん。何の功績も貢献もしていない奴が、今回国に多大な貢献した奴にとんでもない事をしたからな。知らなかったでは済まされんぞ? カーム、コレは命令だ。靴を脱いで刻印を晒せ」
え、これって……、かなりやばくね? 嘘だろ!? 絶対刻印にキスフラグだよね? 俺を使って趣意返しさせるのか? 勘弁してくれよ。
「晒せ」
どこから出したかは知らないが、少しだけ目を反らして考えてたら、喉元に軽く反りのある、片刃の剣が突きつけられていた。早すぎる。
「は、はい――」
返事するしかねぇよな……これ。絶対に敵わないわ。大魔王強すぎじゃないっすか?
俺は靴を脱ぎ、靴下代わりに巻いていた布を解き、刻印をさらけ出した。
「女。このまま犬のように這って近づき、刻印に口づけをしろ。そうすれば、今回の件は国王と魔王の両方に忠誠を誓ったと言う事で、なかった事にしてやる」
「寛大なお心遣いに感謝いたします……」
カルツァは、俺が来る前に何を言われて、どういう経緯でこうなったのだろうか? セリフが棒読みだし、ってか目が死んでる。ハイライトが消えてるよ。俺の目からもハイライトが消えてると思うわ。
まぁ、気の強い感じの女性だからな。お仕置きは屈辱的な事のオンパレードなのだろうか?
「そう言えば、足の甲に口づけは隷属を意味するんだったな。これを見越して足の甲に刻印を刻んだのか? お前もなかなかやるなぁ……。嫁達にも刻印に口づけをさせているのか? この好き者め」
大魔王様はニタニタしている。大魔王様でもジョークを言うんですね、貴重ですね。ってか褒めないで下さい。俺は本当に目立ちたくないだけですし、誰にでもそんな事をさせるつもりはありませんでしたし、そんな趣味ねぇっす。
「いえ、本当に目立ちたくないだけですよ……。それに、刻印を刻む前から夫婦してますので……」
「まぁいい。これからも変わらず国や俺に忠誠を誓いたいのなら、カームの刻印にさっさと口づけをしろ。殺しをしていいのは、殺される覚悟のある奴だけだ。それと同じだ。お前はこいつに靴を舐めさせたんだろう? だからこういう事になる覚悟も当然していたわけだよな?」
「……」
カルツァは無言で、悔しそうな表情をしていた。
「おい、返事くらいしたらどうだ?」
大魔王様はいつも通りの声で、這いつくばってるカルツァの顔の前に剣を突き立て、前髪が数本床に落ちたのが見えた。
「はい! 覚悟はしておりました!」
おいおい、涙目じゃないかよ。絶対覚悟出来てないよ。絶対に恐怖でいわされてるよ!
「よし、なら行け」
大魔王様がそう言って腰を上げると、カルツァは這いつくばったまま近づいてきて、俺の足の甲にキスをした。
唇は乾いていたのか、軽く触れたような感じだった。
「カーム様、あの時は申し訳ありませんでした。何かありましたらその都度言いつけ下さい。最大限の援助をいたします……」
「いえ、気にしてません。これからも良き交友関係が続くことを切に願います。それと金銭の援助ではなく、金銭をお借りする事はあるかもしれませんが、きちんと書類を作成し、お返しする事も約束します」
これはもう。事務的に処理しよう。これは作業、これは作業……。社交辞令……、リップサービス……。
「カームの心の広さに感謝するんだな。少しは見習え。もういい、さっさと去れ」
「はい、失礼します」
カルツァは立ち上がり、深々と頭を下げ退室して行った。
あぁ、胃が痛い……。なんでこうなったし。少し整理してみよう。
位の高い貴族か前線付近しかこの事を知らないんだよな。そしてある筋からの情報……。俺の貴族の知り合いはクラヴァッテしかいないし、領地の一部が戦場になってたし、知ってる可能性は高い。あ、酒を売った貴族も一応知り合いだな。
情報漏れはフルールさんか? フルールさんが漏らしてるのか? 前科があるし、連絡用に鉢植えを持って行ったしな。 もしかして、ルッシュさんがクラヴァッテに情報を流してる? けど身内を疑いたくない。まぁ、誰だって良いか。カルツァの使用人か旦那が大魔王様から派遣されて、忍び込んでるスパイかもしれないし。そう考えると、初期の島民全員怪しいな。
まぁ、いいか……疑ったらきりがない。とりあえずやってる事は筒抜けって思えばいいか……。
「カーム、お前も帰って良いぞ。それと、余計な詮索はするなよ? 情報を流した奴の特定とかな……」
ニタニタと笑いながら、警告をしてきた。
「あ、はい……」
思考が読まれてる。色々この人には適わねぇな……。そんな事を思いながら俺は、島に帰る事にした。
「では、失礼します」
はぁ、島に戻ったらパンをお湯で戻して食べよう……。本当に胃が痛い。ってかなんであの部下は執務室の内に転移できたんだ?
もしかして来た事あるの? 侵入されてる?
言い訳はしません。
後付けなので突っ込まれても何も言えませんし、これと決めたのでもうコレにします。
要望があり、キャラ紹介をどこかに挟むか176話前に入れるので、もしかしたらブックマークがずれるかもしれません。




