第14話 自家製ハーブティーを作った時の事
細々と続けてます。
ハーブティーと題名についてますが出て来るのは少しです。
主に戦闘描写の練習程度に入れてみました。
20150529 本編に影響が無い程度に修正しました
草木が良い感じで茂ってきたので、修練所の修復と整備と草刈だ。習慣になってた毒草摘みを再開して野兎狩りも再開している。
アルクさんに聞いて見た所、兎は周年繁殖動物らしいので子ウサギじゃなければ良いらしいので1日2羽くらいなら平気だろうとの事だった。
新しい毒草発見の為に目新しい葉っぱを少し齧り「まずっ!」とか言いながら、辺りを探索していく、そして偶然口にした葉っぱが清涼感溢れるミントのような・・・ってかコレよく見たらミントその物じゃん。
こりゃ持って帰って育成だな、と思い森の場所を脳内にマッピング。
適当に修練所に戻り、今までの毒草を、毒耐性が2になったから、モシャモシャとガム感覚で齧りながら、魔法で手頃な石と黒曜石のナイフを出して投擲の練習。質量も有った方が良いか?と思い手斧タイプのも黒曜石で作り、練習を始める、正直特大のツララ状の黒曜石を飛ばした方が効率が良さそうな気もするが、ある意味浪漫って事で。下手に目を付けられるのも嫌だしね。
早めに訓練を終わらせ、家に帰り、冬に作った資金で適当な木材と釘と割れたガラスを買いプランター作りに取り掛かる。腐敗防止のために軽くススが出る程度火で炙り四角に作っていく、足を付けるのが面倒だったので下駄みたいに土を隆起させてるだけにしておいた。
あとはナイフを錐のように使い適当に水抜き穴を開け目の前の畑から土をもってきて完成。魔法で水をかけ排水されてるのも確認、ミントはハーブ扱いされてるけど雑草に近いんだから適当でいいさ。繁殖力も強いし。明日辺りにでも植えかえるか。
「なぁ、玄関の前に有った土の入った箱はなんだ?」と、夕飯の時に父さんに言われたので。
「あー良い香りの草を見つけたから育てようかなーって思って、邪魔にならないようにするから良いでしょ?」
「まぁかまわんが気になっただけだから聞いて見ただけだ。それと食事中に言うのもなんだが、スコップは武器としてどうなんだ?モーアや村の連中から噂は聞いてる」
「まぁそれなりに、この間の実習でそれなりだったし」
「そうか。」
と他愛ない親子の会話をし食事が進む。
「なぁカーム。後で手合せしないか?」
なんですかその会話の少ない思春期の子供と無理やりコミュニケーション取ろうとする父親風の話し方は、こっちまで気まずいですよ!あ、俺息子でしたわ。
「スコップで良ければ」
と少しはにかみながら言っておいた。
寝る前にトンボ玉を適当に1個作り寝る事にする。
このトンボ玉作りも習慣になりそうだ。
「なぁスリート、俺等の息子は頭が良いのか悪いのか解らなくなってきた、急に草を育てるとか言い出してたぞ?」
「良いんじゃないかしら?元気に育ってくれたんだし、気にすることないわ。冬の間になんか作っててそれを売ってお金にしてたみたいだし。手のかからない子だと思えば」
「そうだが、武器だって一言言ってくれれば金だって渡したのに、なんでも自分でやろうとする。少しくらい頼ってくれてもいいのにな」
「いいんじゃないから? 手のかからなすぎる子だと思えば」
「相変わらずスリートは考え方がのんびりしてるな。ま、このままなら自立するのにも問題はなさそうだ、問題はスズランちゃんの事をどう思ってるのかだな」
「上手く行ってるみたいよ? この間なんかガラスで作った手作りの髪飾りを贈ったみたいよ?」
「ほう、なんだかんだ言って気にはかけてるんだな、まだ早まった事もしてないみたいだし」
「今、村で出回ってるガラス玉、あの子が作ったらしいのよ」
「本当か! あの袋の結び目なんかでよく見るアレか? やっぱり何を考えてるのかよく解らないな、俺等の子は」
「そうね、間違いや犯罪はしてないみたいだし大目に見ましょうよ」
◇
「さて、今日は森にハーブっぽいのを探しに行くかねぇ・・・」
と独り言を勝手に漏らす。
今回は未探索エリアにでも足を延ばそうか、危険だって言われてるけど少しくらいは、ね?
そんなこんなで池や無駄に樹齢だけ重ねてる様な大きい樹や浅い洞窟みたいなのを見つけた。
浅い洞窟なんか高さ2mの奥行10m位で人為的に掘られたとしか思えない物だったのであとで何かに利用させてもらおう。奥に火を使った後も有ったし。
無駄に探索を進めて茂みをかき分けてたら鹿と遭遇した、向こうも驚いたのか即逃げてった。「ふ・・・今日は探索だ命拾いしたな」と、どうでも良いセリフを言ってみたくなったので声に出して言ってみたが意外に恥ずかしかった。二度とやりません。
適当に時計回りで進んでいたが訓練所を6時だとすると3時辺りラベンダーとカモミールも発見した、ラベンダーは挿し木で大丈夫だったから斜めに切って水球の中にぶち込んでおこう、カモミールは種で増やすか植え替えだから適当に地面を掘って布袋に入れておく。
頭上に水球を浮遊させながら歩くのはなんともシュール、このまま射出したらそのまま魔法攻撃扱いなのかな?とどうでも良い考えをしながらミントの所に行き、ミントは雑にむしってきて頭上のウォーターボールにラベンダーと一緒にぶち込む。
そのまま村に帰ったらワーウルフのおっさんに注意された。
「そのウォーターボールその辺にぶちかますなよ」との事、やっぱり発動して浮遊させてても魔法扱いなんですね・・・
「すいません、この草が枯れるんで仕方なく、見逃してください。」と言ったら「まぁカームなら平気だろ」とあっけなく許してくれた、まぁ必要時以外はなるべく控えよう。
早速プランターにミントを雑に植え、ラベンダーは指で穴を開けてそこに挿し、カモミールは地植えだ、カモミールは完全に予想外だったから今度もう一個プランターを作らないと。
◇
学校終了後、新しいプランターを作ってカモミールをさらに植え替えをして数日後
「よし、枯れてないな、しっかり根も張ってるみたいだしこんなもんだろう」
いやー植物を育てるのは良いね、生前ベランダでシソとか育てて料理に使ってたからな、シソ科は強いね!
「カーム、ちょっといいか?」
と言われ振り向くと武装した父さんが立っていた。
「・・・物々しいね、この間言ってた手合せ?」
「そうだ、武器を持ってこい」
多分説得しても無理だろうと思ったので言う通り物置からスコップとバールを持ってきた。多分本当に農具のスコップと建築用具のバールが武器として使えるかの判断らしい。これで駄目だと思われたら多分普通の武器らしい武器を持たされるに違いない。
「持ってきたよ、あと俺防具無いんだけど。」
「かまわん。別に殺すつもりは無いし腕も落ちる事も無い、少し怪我をするだけだ」
やばい、こりゃ本気だ、どうしても魔物とスコップで戦わせたくないらしい。
「魔法は無し、何かを投げるのも無しだ、俺は手加減するが、お前は本気で来い」
俺の父さんは意外に熱い魔族でした・・・
「じゃ、じゃぁ、おねがいします。」
と一応礼はしておいた。
掘る方が左手に来るように構えると、どこにでもあるようなロングソードと小丸盾それを構え一気に距離を詰めて来る父。
それを利き手側から横薙ぎに振るってくる。
慌てて右手を左側に持って行き、スコップを縦にして防御姿勢を取ると、ガン!という凄まじい音が鳴りすぐさま縦に振り下ろしてくる。
ガンッ!2撃目もなんとか両手を上げ防御に成功するがこのままだと不味い。
すぐさま両手を押し出すように父さんを押すが、盾で防がれ特にダメージにはなっていないが少し距離を離す事に成功。
すぐさまこちらも両手を上げ、ガッツポーズの構えみたいにし、右手だけで振り下ろし、盾に強打を与え両手で突き、右手を前に振りぬく様にして、持ち手の三角の所を手首に当て武器を落とそうとするが読まれていたらしく直ぐに手を引かれ空振りに終わる。
こちらも隙が少なく振った積りなので直ぐに体勢を立て直し距離を取る。
「父さん、大した怪我にはならないって言ってたよね? 今まで全部、腕が無くなるか頭が割れる程度には強かったけど?」
話しかけながら掘る側を突き出すように構え直す。
「俺の息子なら防ぐか避けると思ってた。実際に防いだじゃないか」
嬉しそうに言いやがった。これで手加減かよ、元冒険者すげぇな。
「もし当たってたらどうすんだよ?」
「たぶん骨の途中で止まってただろ?」
ニヤニヤしながら言ってくる、畜生。
「危ないからそろそろ止めない?」
緩い感じで提案してみるが
「まだ始まったばかりだろ?これからだッ!」
そう言って盾で殴りかかって来るが多分この後剣で切りかかって来るのは見え見えなので持ち手側で盾をはじき、掘る側で剣を受け止め、股間に前蹴りを入れるが盾で弾かれる。
「なかなか汚いな、学校じゃ教えないだろ、こんな事」
「生きるのに貪欲でね、死にたくなければ卑怯な事だってなんだってやるよ、本当は魔法も使いたい位だね。正々堂々と戦うのは試合で騎士道精神とかを持ってる奴にやらせればいいんだよ」
とぼやく。
「確かにな」
父はクククと笑うが俺から目を離そうとはしない。
一呼吸おいて、一気に攻撃を仕掛けてくるが、こちらの攻撃は正攻法じゃ有効打突すら与えられなかった。
正直悔しかった、左手にバールを持ち盾の様に使いつつスコップをやり投げの様に持ち牽制しつつ攻略しようとするがこちらもダメだった。
1時間ほどやり合ったが
「圧倒的に実戦経験が少ないな、後は慣れだ。まだまだ伸びるから気にすんな。」
頭をぐりぐり撫でられ稽古が終わった、中身がそろそろ36歳なのに涙が出そうになった。
□
「なぁイチイ、スコップちょっと強ぇわ・・・」
酒を飲みながら友人に愚痴る。
「斧よりは軽いけど剣よりは重いし槍みたいに突いてくるし意外に取り回しも良いんだわ、しかもアイツスコップ研いでやんの。怖いわー」
とゴクゴクと酒を飲んでいく。
「あれだぜ?馬鹿にしてたけどあれ洒落にならんわー、剣みたいに振って衝撃が斧みたいに重いしよ。まだ左腕痺れてるし。剣は刃こぼれするわ盾ベコベコだし最悪だぜ」
さらに愚痴る。
「しかもよ、死ぬのが怖いからどんな卑怯な手を使ってでも勝つっつってよ。正々堂々と戦うのは騎士にでも任せてろって言うんだぜ? 魔法とか使わせたら何してくるか解らねぇよアイツ。今日は親父の威厳を守ったけど正直そろそろ無くしそうだわー」
「まぁいいじゃねぇかよ!強いならよ。汚くても生き残るって言ってんだろ? まぁそんな事言ってる奴は死なねぇよ。今日は奢ってやるからもう帰れ、な? 飲み過ぎだぜ?」
と大人達が飲んでる中
カームは自室で
「あー、いちげきももいれられなかったよーあーちくしょー」
とやる気の無いだらけた声で一人愚痴る。これが若かったら壁パンとか物に当たる所だけど、流石に中身の年齢を考えるとそれが出来ない。
気分を変えてすっきりするか、と思いミントを摘んできて指で軽く磨り潰しカップに入れ、魔法でお湯を出し簡素なフレッシュハーブティーを作り気分をすっきりさせ、父親の内心や愚痴を知らぬまま寝る事になった。




