第154話 娘が血まみれだった時の事
もしかしたら飯テロ
少し早いが、一回故郷に戻ることにした。エジリンに初めて行った子供達を迎える為だ。
「今回は帰りが早い。どうかしたの?」
「子供達が、今日エジリンから戻ってくるだろ? だからかな?」
「ふーん。やっぱり気になるんだ」
「まぁ……ね?」
さて、どんな結果になるかだなー。俺みたいに、誰かに襲われてなければいいけど……。
「ニヤニヤして何を考えてるの?」
「ん? そういえば、初めて町に行った時に、皆にハメられて、スズランに襲われちゃったなーって思って」
そう言ったら、顔を真っ赤にして、二の腕を殴られた、すごく痛い。イチイさんは、照れ隠しの為に、こんな威力でスズランに殴られてたのか。いや、本人は叩いてるって認識かもしれないけど、俺からしてみれば、思い切り殴られてるに近い痛さだ。
「あれは。私の気持ちに気が付いてて。手を出してこないカームが悪い!」
「ははははは、ごめんごめん、ってか痛いから! 痛いから!」
やっと止めてくれた。すげぇ痛い。青あざにならなければいいけど……、あ、肌の色紺色だからわかんねぇや。
昼食に一回戻ってきたラッテに、何か感づかれたのか、ラッテも昼休憩が終わるぎりぎりまで甘えて来て、そのあとも夕方までスズランとのんびりと過ごした。
俺が夕食を作ってると、子供達が帰ってきたので、玄関の方を見たら、リリーが血まみれだった。俺は皮をむいていたジャガイモと包丁を落としてしまった。正確には、服だけが真っ赤だった。
「どうしたんだ……それ」
「あの、返り血を浴びちゃって……ごめんなさい」
「あ、いや……。リリーに怪我がなければいいんだ。疲れてるだろうから、先にお風呂に入っちゃいなさい」
「はい……」
俺の話を聞いていたスズランやラッテも、浴室に行く時にチラッと見えたリリーを見て、返り血だとわかってても、驚いていた。だって背中の方まで、返り血で真っ赤だったからだ。
それになんか元気がないな。夕食の時に、本人にでも聞いてみるか。
「まぁ、とりあえずお帰り。無事でなによりだ。とりあえず親として、なんであんなに、服が返り血で真っ赤だったのか聞きたい」
スズランもラッテも、無言で頷いてる。
「えーっと……最初から話すね。皆で町に行って、登録をすませて中に入るでしょ? そしてフィグ先生が宿の場所を教えてくれて、荷物を置いたら、ミエルと一緒にギルドで冒険者登録をして、壁に掛かってる討伐情報を見て、その帰りにポーションと食材を少し買って、宿に戻って次の日の朝一から狩りに出かけたの」
行動力ありすぎて何も言えねぇ……。
「ベリル村の反対側の門から出て、太陽が一個分傾くくらい歩いたら、ゴブリンとかがいて、とりあえず狩るでしょ? そのまま歩いたら森があるらしいんだけど、馬車で昼過ぎに着くって話だったから、諦めて道から真横を向いて。太陽が半分くらい傾いた平原をうろうろしていたの」
あーうん、森あるね。臨時パーティーで無傷のスライムの核を手に入れた場所だね……。
「そしたら、ものすごく大きな牛とか、山羊がいたの。それに大きすぎる鶏みたいなのも。そいつは走って逃げちゃったけど」
バイソンとか、ゴートとかかな?最後のはモア?この辺じゃ見ないけど。ちょっと離れるだけで生息してるとか、色々おかしいな。
「事前に討伐部位はギルドで調べておいたから、両方のしっぽを取って、売れそうな角とか、肉とかをミエルに任せて剥いでもらってて、私が見張りをしてたの」
娘が逞しすぎるんだけど、父親としてどうすればいいんでしょうか?
「綺麗に皮を剥ぐ技術と、知恵と時間があれば良かったんだけど、僕は経験が圧倒的に少ないから、ちょっと悔しかったよ」
「お、おう……」
「けど姉さんが、心臓のある前足の付け根辺りを、突撃してきたのを避けて、すれ違いざまに突いたから、穴が開いて使い物にならないと思うけど、背中の使える部分は、取りたかったよ。もったいなかったなー」
息子が、俺とは違う方向にすごい事になってるんだけど、誉めるべきなのか?
「そしたら、大きな爪と嘴を持った鳥が、私達の上をクルクル回り始めたの。そして、しばらくしたら襲いかかってきて、槍で突いたら頭の上でブシャーって……急いでミエルに水を出してもらって、洗ったけど落ちなくて」
「それで真っ赤だっったのか……。無事だからあまりくどくど言う事はしないけど、危ないって思ったら逃げてくれよ?」
「はい……」
「けど翼を広げたら、このテーブルより大きかったよね」
「そうね、アレには驚いたわ」
大型猛禽類かよ、よく槍で落とせたな。
「でね、お肉はお母さんの為に、売らないで帰ってきたの」
それを聞いて、スズランが妙にソワソワしいている。
「ミエルに、氷を出してもらいながら帰ってきたから、腐ってないと思うわ」
んー氷出せたのか。父さん初めて知ったわ。
そう言って、持って行ったバッグの一つから、大きな葉っぱにくるまれた肉が出てきた。
「一応野営の勉強って事で、門の近くで遅すぎる昼食を食べてから、討伐部位を売って帰ってきたの。ミエルの料理の腕が上がってて驚いたわ」
森で料理作ってるらしいからな、そりゃ上がるか。
「そうか、色々経験する事も悪い事じゃない。別に冒険者になって欲しくないだけで、なるなとは言ってないし、冒険者登録してくると思ってたから別に怒ったりもしない。だから気にしないで、いつも通りでいい。服は……準備を怠って、少し多めに持って行かなかったリリーが悪いだけで、不快な思いをしただけだ。それを忘れないように、今後も『もしも』に備えて、準備だけはしっかりするんだぞ」
「はい――」
ってか服くらい買えばよかったのに。家に帰ればあるから、もったいないって思ったのか?
「ミエルもだぞ? 今回はたまたまリリーが見張りで、返り血を浴びただけだからな……まぁ、手ぶらで町に行かなかっただけ、マシだとだけ言っておこう。残念だけど夕食はもう準備中だから、この肉は明日な」
「はい」
ミエルは普通に返事をしたが、スズランは、今からでも間に合うでしょ?みたいな顔をしないでくれ。もう竈の火落としちゃったよ。
◇
翌日、俺は子供達とラッテを送り出し、昼食と夕食の準備を軽く始める。
まずは肉質だな。端の方をちょっとだけ切ってから、ちょっとだけ脂肪を使って塩だけで焼いて食べてみる。
「野生だからな、少し堅いな」
軽く呟き、隣でソワソワしていたスズランに、残りの肉をフォークで刺して口に運んでやる。
スズランは美味しそうに咀嚼して、幸せそうにしている。
前世基準なら堅すぎの部類だな。まぁ、食肉用の牛肉が柔らかいだけなんだけどな。こういうのは、脂肪が少ないからビーフジャーキー向けなんだけどなー。それに少し臭みがあるし。あー、干し肉が多いのは、こいつの肉のせいかもしれない。
とりあえず、昼は普通に包丁の背で軽く叩いてからステーキにするとして、問題はソースと付け合わせだな。味は普通に塩コショウでいいかな?
付け合わせは、ジャガイモと人参と……トウモロコシは時期的に無理かな。これだけでいいか。ソースは焼いた肉汁に、トマトのオイル漬けをみじん切りにして入れて、味を見てから塩コショウで整えればいいな。
俺は、ラッテの勤めている牧場から牛乳を少し分けてもらって、塩を入れてから、皮袋の中に入れて振り、バターを作る。空きペットボトルがものすごく欲しいな。
肉に下処理をしてから少し寝かせ、子供達が帰ってきてから、バターと牛脂をフライパンで溶かし、薄くスライスしたニンニクで香りを付けてから強火で一気に片面を焼いて、ひっくり返してから果実酒で軽くフランべをしてから蓋をして、もう片面の焼き時間は半分で済ませる。火加減調整したいけど、仕方ないよな。
んー牛脂とバターで、油が思ったより多いな。予定変更、ソースをもう一種類作るか、このフライパンでみじん切りにしたタマネギを入れて、シャキシャキする程度に炒めて食感と辛みを残して、レモン汁と少量の蜂蜜と塩コショウでサッパリしたソース。
もう半分の肉汁に、果実酒と潰したトマトのオイル漬け入れて、水で溶いた小麦粉を入れてとろみ出して、砂糖を入れてそれっぽいグレイビーソース。
こんなもんでいいか、肉も冷めちゃうしな。なんかものすごく、スズランが隣でソワソワしてるし……。普段なら大人しくテーブルで待ってるのに。
「んじゃ、リリーとミエルに、お肉を捕ってきてくれた事に感謝してからいただきましょう」
「「「「いただきまーす」」」」
「んー、牛の肉なのにおいしー。さすがカームくん、脂っこいのにこのタマネギの奴で、美味しく食べられるよ」
「んー、やっぱりお父さんのご飯おいしー」
「んー……材料が揃ってるから味はいいにしても、お肉が柔らかい。作り方が気になる」
ミエルが、変な方向に育ちつつあるな。少し料理をかじらせたのが原因だろうか?
スズランは、いつも通りモシャモシャ食べてるし、皆より二枚多めに用意したし、多分平気だろう。あの食べっぷりは美味しいと思ってる食べ方だ。けど人参残すのは止めてくれ。それくらい食ってくれ。
うん、まぁまぁ。牛脂だけでも十分だったかな?バターは、ソース作りに使えば良かったな。気になった臭みもコショウとニンニクで気にならないし、俺的にはくどくしただけだったかもしれない。
さて、この半分残ったお肉様をどうしよう。牛肉だしハンバーグにしよう。合い挽きにしたいけど、肉が更に増えるから、ビーフ100%だな!
「ミエル、ちょっといいか?」
俺は、軽く手招きをしてミエルを呼ぶ。
「なに? 父さん」
「変わったの作るから、興味があるなら隣で見てろ、軽い説明もするから」
よっぽどの事がない限り、見て覚えろ派だけど、しかたがないから少しだけ教えてやることにする。
「少し堅い肉は、包丁の背で軽く叩くか、フォークで刺すか、筋を切っておけばかなり変わってくる。まぁ隣で少し焼いてみろ」
少しだけ料理に対するアドバイスをしながら、肉を叩いてミエルに渡す。肉叩きがあればいいんだけどなと思いつつ、そんなもの見たことないし、最悪武器に使われそうな見た目だし、無いだろうな。ってか肉叩きもった奴が出てくるホラーゲームがあった気がするけど、あんなのが来たら泣くぞ?俺的には、三角の兜かぶった奴と同じ位置に立ってるからな。あの二人は本当に勘弁してほしい。
タマネギをみじん切りにしてから、バターで炒め始め、飴色になったらボウルにあけて、あら熱を取る。
「タマネギは、炒めて茶色になれば甘みが増すから、少し食べて見ろ」
隣りで肉を焼きはじめようとしていたミエルにスプーンを渡し、食べさせるとかなり驚いたような表情になっている。
「焦がすのとは違うから、気をつけろよ」
一言だけ言ってから、パンを細かくして牛乳に浸し、包丁を二本使って肉をミンチにしていく。
ある程度細かくなったら、先ほど炒めたタマネギに入れて、牛乳で戻したパンを入れて、卵黄を入れて塩コショウをしてから、少し大きめのボウルに【氷】を入れて【水】もだして、ボウルを冷やしながら、牛脂も入れて練り始めていく。
ある程度粘り気が出るまで、練っている間に、ミエルが肉を焼き終らせ、食べている。
「包丁の背で叩くだけで、あんなに硬かった肉がここまで変わるのか……」
うん、知らないってだけで、向上心があるから、結構料理は美味くなるかもしれない。まぁ、肉の半分はスズランに奪われてた。さっきあんなに食べたのに。
ミエルもさっき食べたばかりだから、素直にあげてたけど。
肉を練り終らせたら、手の平に乗せて、左右の手を往復させるようにして、空気を抜いて、真ん中を経こませておく。これを数回繰り返し、同じ物を十二個ほど用意する。スズラン以外が二個でスズランが四個だ。
肉が好きだからなー、これくらい差を付けないと、少しだけ機嫌が悪くなるからな。少しだけだぞ?
「父さん、それはなんて料理?」
「んー、ハンバーグって言って、肉をグチャグチャにして練った物だね、ソーセージの中身って思えば近いかな? けどアレは、肉が荒いから歯ごたえはそれなりだけど、これはかなり細かいから、ボロボロになっちゃう。だから、焼いてる時に崩れない様に、つなぎに卵の黄身とか、牛乳で戻したパンを入れてる」
「ボロボロになっちゃうのか……」
キッチンに男が二人立って、料理の話をしてるって、こっちの世界ではあまり無いと思うけど、姉のリリーが結構絶望的なら、仕方ないと思う。
これは、完璧に俺のミスかもしれないし、なんとも言えないな。
まぁ、親子のコミュニケーションが、稽古だけなのは悲しいからな、これはこれで一種のコミュニケーションって事で……。
けどリリーも、最低限の料理が出来るようになってほしいのが本音なんだよなー。テーブルの上が、食材の墓場とか言われたくないし。
いい感じでフライパンが温まってきたので、牛脂とバターを入れて、大胆かつ繊細に焼き始める。片面に焦げ目がついたら、ひっくり返し、蓋をして、フライパンを少しだけ浮かせて、手動で弱火にして蒸し焼きにする。
肉の焼ける香りとバターの香りが混ざって、何とも言えない香りになるが、その香りに釣られて、またスズランが顔を出しに来る。
肉料理だから興味深いんだろう。あとで教えてやりたいけど、牛肉は滅多に出回らない。農耕用で、大切なパートナーだからだ。今回みたいに、討伐対象になってる野生の牛とかがいれば、出回ると思うけど、二人で狩をしていたんだから、仕方ないと思おう。持てる荷物にも限界があるからな。
音を聞いて、そろそろかな?と思ったら蓋を開けて、焼き具合を確認し、見た目は綺麗に焼けているし、崩れてもいない。
「父さん、なんで真ん中をへこませたの?」
「んー? 真ん中が熱で膨らんだりするし、火が通りにくいから、少しだけ薄くして、均等に焼けるようにするんだよ。そろそろ出来るから、そっちで適当にサラダを作っておいてくれ」
簡単に説明をしてから第二陣を焼き始め、焼きあがったら、残った肉汁にタマネギの薄切りや、茸を入れていく、これはピルツさんとかに聞いた物ではなく、秋口だから生えてる、森で採れた安全なキノコだ。ある程度火が通ったら、昼に使った蜂蜜とトマトのオイル漬けでトマトソースを作って、少しだけ水を入れて薄くして、焼き上がったハンバーグを入れて煮込む。うん、醤油かソースが欲しい。醤油だけでも買ってくれば良かったか?
上下をひっくり返したり、下段と上段を入れ替えたりして、均等に煮込んでいき、キッチンに何とも言えない良い香りが漂い、スズランのそわそわ具合も散歩を待っている犬のようになっている。可哀想だが、まだ煮込むぞ。
煮込んでいる間に、庭の鶏小屋から卵を拝借して、目玉焼きを人数分用意しておき、煮込んでいるハンバーグを皿に移し、ソースが全員に行き渡る様に分けて、最後にチーズを細かく削いだものを乗せて、目玉焼きを添える。
うん、見た目も良いね。あとチーズ削るのに、誰かにおろし金作らせよう
「はーい、お待たせー。お肉使い切らないと痛んじゃうからね、夜もお肉ねー」
「私は全然かまわない」
「私もー」
「私は少し重いかなー」
「僕は父さんの料理が食べられて、味が盗めれば何でもいいかな」
うんミエルだけ、確実に別方向に向かってるわ……。そしてリリーにも、少しだけ料理仕込みたいわー。
「んー、こっちはお昼の比べて食べやすいね、同じお肉なんでしょ?」
「そうだね、ぐちゃぐちゃになるまで潰してから、色々入れてから練って焼くだけだね」
「んー手間がかかってるねー。ソーセージとは違うし、これはこれで私は好きー」
「まぁ、堅い肉を食べる方法だからね」
こうやって話してるうちに、スズランのハンバーグがどんどん減っていく、最近は口の周りをベタベタにすることはないが、相変わらず大きく切り分けてほおばっている。
「待ったスズラン! これはパンに挟んでも美味い、一つはパンに挟んで食べてくれ!」
大声出さないと、話しながらでも、勢いで食べちゃいそうだからな。
そう言ったら、パンを掴んで親指を入れて半分にして、ハンバーグを挟んでから、豪快にかぶりついて、一瞬だけ食べるのを止めて、驚いたような顔になっている。
ふふーふ。野菜無しチーズハンバーグは美味いだろう。そして俺は、残しておいた目玉焼きを乗せて、ソースの味がしみこんだタマネギと茸も乗せて、残しておいたサラダのキャベツも添えて一気にかぶりつく。
あーこの感じ、久しぶりだ。サンドイッチでは体感することのできない、分厚い肉の食感、ソースの染み込んだパン、シャキシャキの野菜と、煮込まれた野菜。そしてこぼれ出てくる半熟気味の黄身。こいつは豪快にかぶりつくのが正解だ!
行儀が悪い?ハンバーガーを丁寧に食う方が、ハンバーガーに対して失礼だね。まぁ、俺の持論だけど。
それを見ていた皆も真似をして、思い思いにかぶりついている。
スズランは、目玉焼きをさっさと食べてしまっていたので、ものすごくがっかりしている。
そして、俺はおもむろに立ち上がり、棚からマスタードを持ってきて、残ったハンバーガーに足し、更にかぶりつく。
んめぇー、牛肉自体久しぶりだし、ハンバーグなんか転生してから初めてだし、ハンバーガーも初めてだ。懐かしいなぁ、チェーン店じゃなくて、個人営業の小さなレストランで出される、ハンバーグを思いだす。あっちの方が美味しかったし、ケチャップも作って無いから、それっぽい煮込みにしてしまったが、十分においしい。
島で牛肉生産したいけど。人工授精とか無理だろうなー。いやいや、今は、目の前のハンバーグ様を楽しもう。
「ふう、美味かった」
食べ終わらせ、口元に付いたソースをタオルで拭いて食事を終わらせる。
「カーム、口元汚すなっていつも私に言ってるのに。今回は汚してた。なんかずるい」
「本当、珍しいよねー」
「この料理は、豪快に食べるのが醍醐味なの」
うむ、言い訳っぽい。食べる前に押しつぶして、食べやすい大きさに切る方法もあるけど、パンも肉も大きすぎないから、そのまま食っちゃったよ。
「先に教えてくれればやったのに」
スズランが珍しくすねている。いや、貴女はいつも豪快だから……。これ以上豪快になったら、食卓が戦場になるよ?
「んー、確かに美味しかったわ。ねぇお父さん、これって豚や鳥じゃできないの?」
「やってできなくはないけど、味とか食感が違うから。それに合った調理方法と味付けがあるからなー……。あーあるある、たぶん大丈夫だ」
つくねとか、ミートボールとか。
「ふーん、父さんが帰ってきたら、なるべくご飯作り手伝わないと」
「はいはい、よろしくお願いします」
それから雑談になり、町にクラスで旅行に行った時にさっさとギルドに登録して、翌日に狩りをして、金を稼いで戻ってくるのは学校や村で初めての事だったらしく、後日かなり噂になった。
ちょっとー引率のフィグ先生!こういう子供達を見張るのが仕事でしょう?俺の時も酒飲んでたよな?何かあったらほんとうどうするんですか!
俺だってスズランに襲われたんですよ!あ、それは関係無いか。ってか、今でも酒場でネタにされるし、子供達の事もネタにされるってどうなのよ!
父さん達は褒めてるし、もう何が何だかわかんねぇよ……。
百パーセントだと、先入観から違和感があったので、100%で書きました




