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魔王になったら領地が無人島だった  作者: 昼寝する亡霊
無人島開拓二年目

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第144話 なんか作られそうになった時の事

多数のご指摘があったので、一部の台詞を変更しました。

 クラヴァッテの屋敷から帰った翌日、島に戻ると、なぜかウエイトレスさんがいた。

 もしかして島の北側から、歩いて来たのかよ。

「あんたが全然こっちに来ないから、カカオって奴を小舟で届けてるついでに、第一村に来たんだけどさ……」

「え、えぇ」

 水上バス的な物に使えるかな?しかも、なんかモジモジしていて、歯切れが悪い。どうかしたんだろうか?

「やっぱり強いのも重要だけどさ、同族の方が良いな……って思えてきたんだよね」

「そ、そうですか。それで、どうしたんですか?」

「悪いけど、あんたより好きな奴を見つけちゃってね。この間までベタベタくっ付いて悪かったよ」

「いえ、それは別に構いませんけど……」

「こっちに来てオルクスを見て、惚れちまってね。やっぱり渋いのも大切だと思ったんだ」

 何を言っているんだ?オルクス?誰だ?

「おう、カーム。そろそろ、石材の備蓄が切れるから、お前に頼んでおいてくれって、人族の職人が言ってたぜ」

「あ、オルクス!」

 そう言って、猫耳のおっさんに抱き付いている。オルクスって、猫耳のおっさんの名前だったのか。

「おい、くっ付くなよ、歩き辛いんだよ! そもそも、お前はカームを探して、こっちに来たんだろ! なんで俺に言い寄って来るんだよ!」

「同族の方が、良いに決まってるじゃないか。それに、あたしの好みは少しだけ年上なんだよ!」

「そのまま、カームにくっ付いてればよかったんだよ! 俺は仕事に戻るぞ!」

「待ってよ!」

 そう言うと、猫耳のおっさんと、ウェイトレスは、畑の方に行ってしまった。

 とりあえず、嫁が一人増える最悪のパターンは避けられた、ありがとう、おっさん!そして、心変わりが早くて助かった!


 さて、俺はどうするかな。クラヴァッテに人材を頼んだからな、取りあえず、在庫管理がしやすいように、リストでも作っておくかな。島の出荷リストと、良く入荷してるリストだな。

 俺は久しぶりに、島の自室のテーブルで事務作業を始める。

 これって、年間出荷量とか書いた方が良いのか?あれー、過去の書類とか纏めてあったはずなんだけどな。この箱が、去年の出荷した時の書類だったか?

 こういうのは、小まめにやらないと、本当に大変だな。三十日に一回は、やって置くべきだったな。ここに来て、付けが回って来た感じか。畜生。


 俺が机に向かって作業をしていると、ヴォルフが「かまえ!」ってな感じでふくらはぎを、前足でカリカリやってくる。

 たまに手を休め、頭をなでてやるが、羽ペンを持とうとすると「もっと構え!」と言わんばかりに、またカリカリやって来る。

 おいおい、作業になんねぇよ。

「ヴォルフー、ごめんなー。今日はちょっと遊んでやれないんだ。だからさ、島の見回りして来てほしいんんだ」

「キューン」

「おいおい、嫌だってか。しょうがない奴だなー」

 俺は完全に休憩態勢に入る。なんで犬や猫って作業中って時に限って、構えといって来るんだろうか?

「ほーら」

 そう言いながら、ゴロンと寝転がっているヴォルフの脇腹をワシャワシャとしてやり、棚に置いてあった干し肉を千切って与えたり、抱き付いたり、顔面を押し付け、口から息を吐き出したりして、一部を暖めたりして、癒しを求めた。

 あー、癒されるわー。元々キーボードとか打ってたからなー、手書きは、本当に小まめにしておかないとダメだわ、計算とか一発でやってくれてたのが懐かしい。フラッシュ暗算とかやっておけば良かったか?あんなの出来そうにないけどな。

「あー、今日はやめやめ。気が乗らない」

 愚痴を吐き出し、書類整備を一時間もしてないのに外に出る。石材の備蓄だったな。石材の切り出しに行こう!


「どうも、こんにちは。石材の備蓄が切れそうと言う話なので、切り出しにきました。重いので、腰とか足とかに気をつけて作業を進めましょう」

 俺は、道路の石畳や建築材として加工している職人達に、石材を切り出す事を伝え、作業に取りかかる。

 六十日分くらいの備蓄を切り出し、俺も運搬を手伝うが、辺りを見回し、石材の枯渇を心配した。地表から露出した部分を切り出してるだけで、今のペースで石材を切り出してると、数年以内には枯渇しそうだ。輸入コストとか高そうだよな、この場所で露天掘りにするか?

「カームさん、なに採石場を見ながらぼーっとしてるんすか?」

「ん? このままだと、数回年を越したら、真っ平らになちゃうなーって思って。魔族か人族の大陸から買っても高そうだし。掘るかなって思ってるんですよね」

「確かにそうですねー。最初の頃に比べたら、半分に届いてないですが、かなり減りましたよね。この足下の、石になって部分は全部削っちまったんですからね」

「そうなんですよねー、まだ先ですけどね。魔法でせり上げても良いんですが、下が空洞になって、水がたまったり、崩れたりすると危ないので、やっぱり掘り下げるしかない気がするんですよねー」

「そん時に、考えたら良いんじゃないですか?」

「そうなんだけどね……。島のここからしか採れないって考えると、第二村や第三村に運ぶ手間も有りますし、もう少し島内の探索か、思い切って島の四ヵ所くらいに採石場を作るのもありですね」

「なんか大規模になりそうですね」

「必要最低限の採石場なら、ここで足りると思うけど、運ぶ手間がね? なら小規模の採石場を主要の村近くに四ヵ所作って、横穴彫って、貯蔵庫にすれば良いし、そのうち、この島の反対側にも、村を増やそうと思ってるし」

「確かに、石は運ぶのが大変ですからね」

「そうですね。けど、織田さん辺りが知恵を貸してくれるでしょう」

 簡易的な、ロープを使ったエレベーターみたいなのがあったはずだけど、アレって蒸気的な物か、油圧とか電気系だったっけ?カウンターウエイトみたいなのを乗っけて、原始的なてこの原理で上げても良いかもしれない。

 まぁ、まだまだ先の話だけど、これも課題にあげて置いて問題はないだろう。

「それにしても、まさかこんなに石材を消費するとは思いませんでしたね。やっぱり石畳が多いんでしょうか?」

「家の基礎とか、色々使用用途は多いですが、今は道路の石畳が多いですねー」

「ふむー。石作りって言ったら、教会くらいですかね? もう少し威厳のあった物の方が良いのかもしれませんけど」

「何を言ってるんですか。そんな事より、カームさんの自宅ですよ!」

「はぁ?」

 いきなりなので、本当にこんな声が出た。一体何を言ってるんだ?

「一応、ものすげぇお偉いさんなんだから、城みてぇところに住まないと、示しがつきませんよ?」

「いやいやいや、俺なんか普通で良いんですよ、大きいと掃除が大変ですし、必要な資金も倍以上になります。そんな事なら、共用施設に使った方がまだマシですよ!」

「魔王なのに、そんな欲はないんですねー」

「魔王を勘違いしてませんか? まぁ、中には力の象徴って事で、無駄にデカい城を作る奴がいるかもしれませんが、俺はこじんまりした家で十分です。掃除が追い付かないし、メイドとか雇うお金も発生しますし」

「いや、そんな熱弁しなくても」

「それくらい必要がないんですよ。どうせ、子供が独り立ちしたら妻達を呼んで、のんびりするから良いので」

 運び終わった石材に腰を下ろし、一息ついているが、周りの人族が苦笑いをしている。なにか変な事を言っただろうか?

「達って、確かに二人いましたね。子供はどのくらいで独り立ちするんですか?」

「んー、次の次の春ですね。そうしたら、冒険者になるって言ってましたよ」

「魔族は早熟ですからねー」

「本当ですよー、気が付いたらもう親離れ、なんか忙しい時期は直ぐに過ぎちゃったって感じですよ」

「カームさんって、いくつでしたっけ?」

「んー? 今年の秋頃に十六歳だったかな?」

「若いなー、人族は十五で成人できる年齢ですよ?」

「らしいですねー、島に来た時に、奴隷と一緒にいた子供ですが、もう島で二年くらい一緒に暮らしてるんですよねー。のびのびと育って、おっさんうれしいわー」

「おっさんって……まだそんな年じゃないでしょう」

「魔族じゃもう良い年なんじゃないんですか? 寿命とか知りませんが、エルフとかより確実に寿命は短いですよ?」

「まぁ、エルフは人族の中でも長寿で有名ですし」

「なので、もうおっさんで良いですよ。ってか、どこからがおっさんかわかりません。まだ見た目は若いですし」

 お互いに笑い合い、既にノルマは終わっていたので、皆で作業終了の挨拶をして、自宅に帰る事にした。



 翌日、朝早くから騒がしいと思ったら、何か大きな建物を建てる、基礎工事的な事をしながら、男達が騒いでいた。

「あ、おはようございます! カームさん、どうでしょうか?」

「どうでしょうか? とは?」

「いやー、ずっと、こじんまりした家に住んでるし、なんか大きい家に住みたいとか言わないので、俺達からの気持ちって事で、石作りの少し大きめの家を建てようと思ってたんですよ」

「いや、聞いてませんけど……。そもそも昨日、俺はいらないって言いましたけど」

「いやー、なんだかんだ言って、周りに示しがつかないじゃないですか? 一応権力の象徴って事で、住んどいてくださいよ」

 なにを言っているんだ?こいつら……。全く話が通じない。

「いや、本気でいらないんで。マジで勘弁して下さい。なら、この石材を使って、湾の近くに役所や、交易所の事務所を作った方がまだ建設的ですよ。いいですか? もし俺がこんな大きな家に住みたいって言ったら、自分でお金を出して、皆さんにちゃんとした依頼をして建てます。そろそろ子供達が独り立ちをして、嫁をこちらに呼ぶ予定です、ですのでその頃に頼もうと思っていたんですよ?」

「ですが、これは俺達からの気持ちで……」

「わかりました。気持ちは物凄く嬉しいです。俺の身の丈に合わせてくれているのもわかります。ですが、お願いですのでその計画は、今回は頓挫させて下さい。っていうか、一言相談して下さい。昨日、少しだけそんな感じの話題が出ましたが、まさか本気だったとは思いませんでしたよ!」

「あ、いや……」

 珍しく、大声を出したら、皆が驚いている。

「どうした、大声出して」

 犬耳のおっさんが、異変を感じたのか、駆けつけてきた。

「いえね、なんかここの大きな区画に、俺の家を石作りで建てるって言うんですよ。気持ちは嬉しいんですが、必要だったとしても、かなり後回しです」

「そうか、内緒で計画してて、大人数で作業を開始して、後に引けない状況にしているのか。確かに、気の良いカームなら、断れないかもしれんな」

「確かに今更止めろとは強く言えませんよ? けど、それなら湾の付近に役所か交易所の事務所を建てた方がまだ建設的です。皆さんの士気が下がるかもしれませんが、撤収して下さい。俺の家じゃなければ、そのまま作業を続けて下さい、良いですね?」

 俺は、注意だけして、自分の仕事に戻る事にした。


「あー全く、恨まれる事はしてないけど、あそこまで持ち上げられるような事もしてないぞ?」

 少し冷静になる為に、ハーブティーを入れつつ、昨日さぼった書類の整理を続ける事にした。

 三十分くらいだろうか、書き物をしていたら、いきなりドアがノックされた。

「どうぞ、開いてますよ」

「失礼します」

 先ほど、俺の自宅を建てると、指揮をとっていた男だ。とりあえず、お茶でも淹れるか。

「先ほどは失礼しました。作業の方は中断して、取りあえず、代表で謝りに来ました」

「そうですか。特に怒ってはいませんが、今後は俺にかかわる事は一言相談して下さいね?」

「はい、申し訳ありませんでした」

「貴方達の気持ちは、なんとなくわかります。けど俺はただの魔王です。魔王はある人から領地を与えられただけの存在です。何故俺が選ばれたのかと言えば強かったからと言われました。本当にそれだけなんですよ。それに領地を与えられた後は、その魔王次第という、曖昧なものなんですよ。魔王は貴族の土地を勝手に領土にしています。なので、貴族が強力な魔王を討伐するか、協力関係を結ぶかは、そこの領地を持ってる貴族の自由なんです。まぁ、この無人島を所有している貴族を未だに見た事がありませんけどね」

 一口だけ、冷めたハーブティー飲んでから、続ける。

「ですので、領地では指示を行っていますが、実はあまり偉くありません。俺の事を考えるのであれば、一般の人たちの為に公共施設を建てたりして頂いた方が、俺としては助かります。まぁ、気持ちは物凄く嬉しかったですよ? 皆に信頼されてる事はとても嬉しいですが、さすがに俺の為に資材を使ってもらうのは申し訳ない気持ちになります」

「そうですか、皆に伝えておきます……」

「あ、お茶が蒸れてきたので、せめて飲んでから帰っても問題ないと思いますけど?」

 帰ろうとしていたので、慌てて引き留めて、座らせてお茶を注ぎ、目の前に砂糖の小壷を出して勧める。

「あ、どうも」

 男は、一言だけ断ってから飲み出す。

「気持ちだけは受け取っておきますよ、ありがとうございました」

「……そうですか。……先ほど、公共施設や交易所の事務所と言いましたが、カームさんなら、どちらがうれしいですか?」

「皆の事を考えるなら、公共施設ですが、今のところまだ必要ないですので、商人をもてなす交易所兼事務所ですかねー? 湾から見えるところに、酒蔵が有るじゃないですか? そこの近くなら広いですし、湾からもそんなに離れてないので、お客様をもてなすのには、手頃な場所だと思いますよ」

「わかりました! そのように進めておきます!」

 そう言うと、まだ湯気のでているお茶を、一機に飲み干し、出て行ってしまった。

「はぁ……。もう少し、指針する立場からは離れられないな」

 少しだけ愚痴り、書類整理を続けることにした。

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作者が書いている別作品です。


おっさんがゲーム中に異世界に行く話です。
強化外骨格を体に纏い、ライオットシールドを装備し、銃で色々倒していく話です。


FPSで盾使いのおっさんが異世界に迷い込んだら(案)

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