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魔王になったら領地が無人島だった  作者: 昼寝する亡霊
無人島開拓二年目

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第140話 取りあえず説明した時の事

適度に続けてます。

相変わらず不定期です。

 トローさんを歩かせてから約五十日、島の北側のカカオ群生地帯に、大きめの共同住宅が三棟できあがった。

 あれから、特に問題はない。ただ、俺のど忘れで、北側には湖が無く、東側の大きな湖から、思い出したかのように疎水を引いた。正直南側に引いた時より、距離が長かったから、かなりしんどかった。

 しかも、森の中にはゴブリンも、キラービーも出た。後で本格的な討伐と、森の管理が必要だ。幸いな事に、キラービーを見たのは北東側の山沿いだったから、森に深く入らなければ問題ない。


 そして、セレナイトの先行入居者組を、船で東側に連れて行き、共同住宅の施設を紹介した。

「うおー、これが共同住宅っすか!? セレナイトの下級区の物より上等じゃねぇっすか!」

 うん、良い反応だ。

「あ、不衛生にならないように、水浴びか、湯浴みをお願いしますね。それと今後も増える予定ですので、掃除もお願いしますよ」

「そんなの、湾の所で生活してれば嫌でも身につきますよ! もうあんなスラムの生活には戻れませんぜ」

「もう、四日水浴びしないと気分が悪いんですよ? 言わなくても浴びますよ」

 うん良い傾向だ、毎日推奨だけどな。まぁ、長年ソレが当たり前の環境だったから、体が汚くても平気だったけど、いかに自分が劣悪な環境下にいたのかわかればいい。

 湾の所に、島の環境に慣れるための、本格的な緩衝施設を作っても良いな。最長で、三十日の簡単なプログラム的な。

 順応力が高ければ、七日で島のどこかで働けるようにするのもいいな。時計回りで、自分に合った職業が見つけるのも良い。忙しくなりそうだな。

 あとは、セレナイトのバーに迎えに行けば更に人口は増えるな。

 あー、釘も頼んでたな。船長に無理言って。船を出してもらわないと。

 迎えに行くのに転移はまずいからな。簡単な仕事を与えて、サポートに野草さんも付けておくか。

 一応正式な注文入って無いけど、嗜好品類や砂糖や塩や油を積み込むか。

 あー、トローさん達にも声かけないと。

「今日セレナイトに向かうんですが、行く方いますかー? 一応まだ見習いと言う事で三十日分の給料しか出せませんが」

「マジっすか! 俺行きます!」

「俺もだ!」

「私も!」

 島に着いてから大体五十五日で、休日とかも入れてるからな。見習いという事でこのくらいでも平気か?んー、もう少しきっちりやっておくべきだな。けど喜んでるし。まぁ、戻って来てから正式雇用でいいか。

「私も行きます」

 イセリアさんもか。孤児院にでも行くのか?俺も定期的な寄付を約束してたからな、俺名義で持って行ってもらうか?あーけどこういうのは本人がいかないと駄目だからな。



 そして船に揺られる事五日、セレナイトにつき、皆が思い思いの場所に散っていった。

「出航は明後日ですよー! 来なかったら置いていきますからねー!」

 遊園地に来た子供かよ、まぁ、先に釘だけ受け取っておくか。


「おう、来たか。頼まれてた釘だ、数えるか?」

「一万とか数えてらんないですよ、取りあえず信用しますし。千本に付き三本までなら誤差で良いでしょう」

「随分こまけぇな!」

「本来は一万本で誤差二本三本までが理想ですが」

 日本人としては、この数字はかなり多い方だと思う。十万本に一本とか良く聞くし。さすがに無理だろうな、手作りだし。

「こまけぇ!」

 やっぱり、この世界ではまだ早いな。

「粗悪品とか無いですよね?」

「あん? 手作りだから多少の良し悪しはあるだろ」

「……今回は多少目をつぶりますが、二回目に粗悪品が多かったら、三回目はその業者をオルソさんを通して、指名するの止めますからね? とりあえずは店を探すの労力と、信頼を築き上げる手間を省く為なんですから」

「お、おう。あ、これが声をかけた業者だ」

 話の流れを変えるように、いきなり話題を変えて簡単なリストを渡して来た。

「ふむ。目立つと言えば、青果に精肉に製糸に金物に種や苗や畜産……武器防具に道具屋にポーションですか」

 ほかにも色々あったが、良く利用しそうな店舗はこんな物か。

「コチラは写しですか? 写しなら頂きたいんですが」

「あー、写してねぇや。わりぃ。あんたが帰ったら写しておくわ」

「そうですか。では島のリストを置いていきます。それと商品の希望小売価格です、それ以下で売っても良いですが、原価割れしない方がいいですよ。今回は先に商品を置いていくので、売れたらそのお金で、島の物を買って下さい。これは、ある意味信頼を得る為の行為ですので、投資の様なものと思って下さい」

「お、おう」

「まぁ、お互いに信用する事で成立しますが、商人なんですから、まず(・・)それが前提条件でしょう? 俺は商人じゃないんで、信じるしかないんですが」

「お前の考えがわからねぇ。ってか商人じゃねぇのかよ」

「……、顧客数の拡大ですかね? ここの港町を拠点にして、島の物を売り込みたいのが本音です。その為なら、この程度の出費は目をつぶりましょう、そして、客が来なかったら魔族側への進出を独自開拓していくしかないですね。それと商人は副業のうちの一つですね」

「こんな事やっておいてか?」

「えぇ、本業は島の開拓者(・・・)やってます。優秀な人材が、いい加減ほしいんですけど、ツテがあまり無いので、ゼロから俺が育成ですよ……ははっ。まぁ一応目を付けてる奴がいるんですけどね、貸しをもう少し作ってからが良いかな? と思ってるんですよね」

 両手を広げ、首を振って少し面倒だと思わせる仕草をする。

「なんかやり口が、商人寄りなんだよなぁー」

「貸しか、借り。貸しは作っておいて損は無いですよ。ってな訳で、その商品は好きに使って下さい。まぁ、酒はどこでもさばけると思いますが、嗜好品類は、腕の見せどころですね。あ、これは今後も良いお付き合いが出来る様にと思い、用意した粗品です」

 そう言って、蜂蜜の入った瓶を渡す。

「おい! コレが粗品ってどういうことだよ!」

 うーん謙遜は通じないか。

「いえ、贈答する品を謙遜した言い方ですので、気にしないで下さい。蜂蜜は、島内でもまだ需要を満たしていないので、そこまで多く卸せませんが、品質を確認するために食べちゃってください」

「お、おう。パンに塗って食うわ」

 ソワソワしてて、なんかかわいいな。食べたそうだから、さっさと別な所に行こうか。

「では、少し町の中を出かけてきますので、リストの写しをお願いしますね」

「お、おう」

 まぁ、ここまでやっても駄目なら、商工会議所的な物は諦めて、本当に個人で友好関係を開拓していくしかないな。こっちに来る予定が無かったから、寄付が遅れたけど、孤児院に行かないと。


 孤児院に着いて、ドアをノックをすると、ドアを少しだけ開けて、小さな女の子が対応してくれた。

「セルピお母さんいるかな?」

 子供はドアの陰からコクコクと頷いていて、ドアを開けてくれた。

 俺は許された!

「今はイセリアお姉ちゃんとお話してるけど、黒い人なら平気ってお母さんが言ってた」

「そっか、ありがとう」

 んー黒い人か。間違いではないけど、紺色だぜ?まぁ、良いけどさ、わかりやすいし。

 そして少し進むと、セルピさんとイセリアさんが、テーブルで話をしていた。

「どうもお久しぶりです。こちらに来る機会が無かったものでして、寄付の方が遅れて申し訳りませんでした」

「いえ、お気になさらずに、寄付というのは、気持ちですので。あ、お久しぶりです。お茶を淹れてきますね」

 けっこうお茶目なのか?

「どうしたんですか? カームさん」

「寄付の約束をしていたんですが、三十日の節目に来れなかったので。多分孤児院に行くんだろうな? と思っていたイセリアさんに寄付金を渡しても良いかな? と思いましたが、それも違うと思いましてね」

「そうですよね。やはり、そういう物は自分で届けないと、思いは伝わりませんし」

「で、イセリアさんはどうしてここへ?」

「報告と、私も寄付を少しだけ」

「そうでしたか、何をどのように報告したかは興味はありませんし、給金をどう使おうと勝手ですが、取りあえず蓄えも視野に入れておいた方が良いかもしれませんよ?」

 トローさんと一緒に暮らすために、とは言えなかった。

「特に使い道もありませんからね。今は、育ててくれたお礼と言う事で、ある程度はお金で返せたらな、と思いまして、皆にもお腹いっぱい食べてもらいたいですし」

「私はいらないって言ったんですけどね、どうしてもって聞かないんですよ。それに、島での事も聞かせていただきましたよ。イセリアにも出来る仕事を与えて下さり、ありがとうございました」

 そう言いながら、奥の方から、お茶が入ったカップを持って来てくれた。

「いえ、体に障害があるからと言って、ハナから決めつけるのは良く無いですよ。実際、黙々と仕事してくれますし、大変助かっております」

「そうですか……。最初は不安でしたが、カームさんの話と一致しますので、本当に安心しております。これからも、どうかこの子をよろしくお願いします」

「わかりました、と言っておくべきなんですが、これからどんどん島民を増やすつもりです。付きっきりは流石に無理ですが、ちゃんと仕事を用意させていただきますよ。もしかしたら、今後もイセリアさんの様な方が、来るかもしれませんからね」

「そうですか……トロー君はどうでしたか?」

「そうですねー、取りあえず喧嘩が一回だけですね。簡単な罰を与え、多少の説得をしたら、それ以来大人しいですが」

「何をしたのか気になる所ですが、大人しくしてるなら安心です。そちらでもヤンチャをしているのではないかと、心配していんです」

「思っていた以上に、大人しいので安心していますよ」

 カップを持ち、ゆっくりとお茶を飲み、しばらく雑談をしていたら、トローさんが紙袋を二つ抱えてやって来た。なんだ、考えてる事は二人とも一緒だったか。

「げっ!」

 なんかバツが悪そうにしている。俺は別に何とも思っちゃいないけど、積もる話もあるだろうから、俺は退散するかな。

「では、俺はそろそろ失礼しますね、そして、出すタイミングを見計らってて、出せなかった寄付です。お受け取りください」

「ありがとうございます、助かります」

 セルピさんがお礼を言い終わるのを待ち、四枚の大銀貨を紙で綺麗に巻いた物を、テーブルに置き、俺は酒場に向かう事にした。

「会話を楽しんできてくださいね」

 すれ違う時にボソッっと言ったら「おぃ!」とか言われたが、さっさと退散して来た。酒でも飲んでるかと思ったが、なかなかいい奴だな。


 治安の悪そうなスラムを通り、この間の酒場に向かう。相変わらず小汚いし、治安が悪そうだ。

「お久しぶりです」

「おーあんたか。酒は、さっき船乗りっぽい男が届けてくれたぞ、サインと金を後で確認してくれ。そして、店の角にいるのが希望者だ」

 そう言って、店の角を指さし、ざっと見て五十人程度が座っていた。

「えー、募集をかけたカームと言います。貴方達が入島希望者と言う事前提でお話ししますね。多分、どこかでは見た事があるこのエンブレム、この商品を作っているのが、皆で働いてもらうことになる島です」

 さっき運び入れられた酒樽を、ポンポンと叩き、島のエンブレムを見せる。

「最近、やっと島の運営が軌道に乗り始め、人手がほしくなってきたので募集をかけました。島に店がないのでお金を使う場所がまだありませんが、商人の船がここ最近になって、往来してくれるようになり、小物類も持ってくれるようになりました。なので特に不便は無いと思います。このままいけば、個人での取引や、購入も出来るようになると思います。がんばれば、店舗を構えることも出来るでしょう。具体的な仕事内容は、開墾や収穫や加工が今のところメインですが、能力によっては別な仕事を任せる事もすると思います。何か質問があればお答えしますよ」

「アホみてぇに、甘くて優しい魔王がいるって噂だけどよ、舐められてねぇのか? なんでそんなのが魔王なんだ?」

「舐められてませんね、皆に尊敬されている魔王ですよ。それに、攻めてきた勇者一味を殺さずに捕らえ、説得に成功し、今は島に別な勇者が二人ほどのんびり住んでますよ」

 軽く説明したら、ザワザワと少しだけ騒がしくなった。

「給金はどうなってんだ? 使う場所が無いと働く意味がねぇじゃねぇかよ」

「一応メモを取っておりますし、今まで働いてくれている方の給金は支払ってませんが、本人が望むなら、いつでもお渡し出来る状態になっております。この辺のボスをやっていたトローさんも、町に行きたいって事で、働いてくれた分の給金を渡して、こちらに来てますよ。それに先ほども言いましたが、商船の往来が増えています、それで、個人的に買い物をしても構いませんよ」

 色々質問が飛んできたが、すべて答え、全員が移住してくれることになった。

「では、事前説明を終了します、船の出航は二日後の朝ですので、荷物を持って、お集まり下さい」

 そう言って解散させた。

「おい、トローが来てるって本当か?」

 解散後、カウンター席でマスターに果実酒を頼み、一息入れて口を開く。

「えぇ、多少人族といざこざがありましたが、一回だけ、後は口が悪いだけで、比較的大人しかったですよ。で、あのウエイトレスは? 見あたりませんが」

「辞めたよ、(そっち)に行くんだとよ」

「んー? 嫌な予感はしてたけど、来ちゃうのか……、殺されなければいいけど」

「おいおい、穏やかじゃねぇな」

「嫁が二人、それぞれ子供がいる、しかも今度の収穫祭近くで六歳。今から言い寄られても、困るだけですし、あまりにもしつこいと、嫁の片方が本気で怒りそうで……。あ、俺にじゃなくて、ウェイトレスさんにですが」

 指を一本ずつ伸ばして行き、丁寧に説明をする。

「おいおい、そんな風に見えねぇぞ? しかも恐妻家かよ」

「八歳で村を出て、町で一年働いて、その頃に仕込んだ子供が、秋の頃に産まれたから、ギリギリで九歳か十歳でしたね。そして二人とも物凄く優しいですよ? まぁ、独占欲が強そうなので、今更感もありますし、女性の方から言い寄ってきたら、多分排除の動きでしょうねー。俺がどうしようもない女好きで、貞操概念が緩いなら多分二人くらい増えても文句は言わないと思いますけどね」

 言い切ってから、カップに入っていた果実酒を飲み干し、席を立つ。

「まぁ、元々嫁は一人の予定だったんですけどね。ご馳走様でしたー。あ、なんだかんだで、まだ十六くらいでしょうか?」

「若いのに良くやるなー。もっと遊べよ」

「遊べない状況に、なっちゃいましたからねー」

 そう言ってから、酒場を出て、船に戻った。まぁ、その内酒の席とかで魔王ってばれると思うけど、それまで魔王部下を演じて動くのも悪くないな。

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作者が書いている別作品です。


おっさんがゲーム中に異世界に行く話です。
強化外骨格を体に纏い、ライオットシールドを装備し、銃で色々倒していく話です。


FPSで盾使いのおっさんが異世界に迷い込んだら(案)

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