第132話 魔族側の大陸に行った時の事 前編1
適度に続けてます。
書きはじめたら長くなったので、区切りが良くなるまで書いてたので遅れました。
この物語は、前編1.2.3の1です。
定時にPC前に待機して連続投稿が面倒ですので。最後の134話が定時の18時に投稿されるようにしました。
コレって、複数話を同じ時間に投稿できるんですかね?
翌日、何故かミエルだけが、「お姉ちゃんに言われたから」といって、稽古をしようと言ってきた。昨晩何があったか知らないが、こんなに乗り気じゃない誘い方は初めてだ。
なので、リリーと同じ方法で凍えさせてやったら、ラッテに怒られた。女の子だからとかではないらしい。
◇
あれから七日、そろそろ平気だろうと思い、島に戻ると怒られた。
「なんですぐに戻ってこないんだ!」と。そして始まる年越祭第二回戦。お前等、本当に俺が必要か?飲みたいだけじゃないのか?
そう思いつつ、去年とは多少落ち着いた飲み方になり、昼間からのんびりと長々と飲んだ。竜族の姐さんも、開始から直ぐに、なぜか来た。
「あれ……年越祭の時、姐さん来なかったの?」
村長に聞いてみたら、
「もちろん来ましたよ」
「……ですよね」
あの人が飲み会に来ないはずがない、聞くだけ無駄だった。ってかガバガバ飲んでる。島の蓄え分を飲み干すなよなー。
「やーやーカームちゃん、スースーする葉っぱのお酒に氷入れてよー、冷たくないと何か物足りないわー」
そう言って、ラムにライムとミントしか入ってない、モヒートとは呼べないアルコール度数のカクテルに、氷をねだっている。
「あ、はい」
そう力なく返事をし、【球状の氷】をカップにガラガラと入れ、「ありがとー」と抱きつかれ。背骨が少し鳴ったが、胸板に当たった柔らかい物でも相殺出来ない程度には恐怖を感じた。
それからは、桶に氷を出しておき、好きな時に皆が取れるようにしておいた。やっぱり、魔法使いは必須だな。
ハーピー族や水性系魔族も、飲みやすいモヒートやグロッグを飲んで歌を歌っている。
そして、夕方にはお開きになり、皆が後片付けが出来る程度には、意識があったので助かった。
「いやー、今回は気持ち良く飲めましたねー」
村長も泥酔とまでは行っていないが、少しだけ飲み過ぎてるような、そんな雰囲気だけど。悪い方向には入ってないみたいだ。
「終始良い雰囲気でしたからね。子供達も、色々飲み物があったみたいですし、アドレアさんがあまり飲まされてなくて助かりましたよ」
「そうですね、アドレアさんには色々感謝しないといけませんね」
「ですね。俺が無理言って、読み書きや計算の勉強もお願いしてますし、誘致に行った時は、スラムに近い下級区で孤児院もやってましたから、教え方も上手いですし。しかも、人族の方も良くお祈りや相談に行ってるのを見かけますからね。感謝し足りないですよ」
「そうですね、読み書きや計算の出来ない大人も、作業をある程度後回しにしてでも参加しろって事でしたし、カームさんにも感謝ですよ」
「いやいや、いずれは人も建物も増やすつもりですからね。多分商人も増えたりしますから、そう言うのは出来ないと騙されたりしちゃいますからね。全員ある程度までは出来ないと駄目ですよ」
「いやー、本当に助かりましたよ」
おっと、村長も出来なかったっぽい口振りだな。移民募集したら、まずは読み書きと、簡単な計算くらい出来るようにさせないとな。
俺の村は、子供の頃にある程度やらされたし、出来ないと卒業できなかったような。俺は二年目で自由登校になっちっゃったし。
んー移民に、特に学は求めないけど、ある程度の学が付くまで教育プランも必要か?二週間ぐらいやれば、どうにかなるか?
まぁ、ある程度島が栄えて、店舗的な物が増えてからにしようか。それまでは生産を一番にしないと。
◇
二回目の年越祭から二日後。前々から考えてた、計画の一つをそろそろ実行しようと思う。そう魔族側の大陸からの移民だ、
島の北側にある、カカオの群生地付近に、南側に建ててもらった、『多少プライベートに考慮したたこ部屋』的な、集合住宅の着工に入ったみたいなので、多少早いが呼びかけに行こうと思っている。
今度は二ヶ月後くらいにしておけば、完成には間に合うだろう。
そして、魔族側の商人との取引だな。ニルスさんみたいに、大きな商会じゃなくても、成長性が見込め、横のつながりが増やせそうなのを見つけるのも良いかもしれない。
倉庫の面構えが小さく、零細っぽい雰囲気のを探せばどうにかなるだろう。
その商人が、零細同士手を組んで、簡単な商人ギルド的な物を発足させるように動かせるかな、寄り合いでも良いな。
細かい依頼とかしやすくなればいい。今までニルスさんの商会だけだったし。
あとは、行き当たりばったりでどうにかしよう。
「ってな訳で、簡単な俺の予定表です。十日くらい戻りませんので、適当にお願いします」
「ちょっと、カームさん! 適当って……」
「適当って、適度に程良くって意味もあるんですよ。決して手を抜いて、ダラダラやれって意味ではありません」
「はぁ……」
「今まで通り、それらしくがんばってください」
「は、はぁ。わかりました」
そんなやり取りをして、あらかじめ話を通しておいた船長に軽く挨拶をしてから船に乗り込み、魔族側の大陸に向けて出航する。
出航して、少し落ち着いたら船長に話しかける
「で、島から一番近い、魔族側の港町ってなんて名前なんです?」
「そんな事も知らなかったんですか?」
「俺、大陸の内陸出身ですよ? しかも、人族側の大陸にしか行ってませんし」
「あぁ、そうでしたね。セレナイトっていいます。規模はコランダムと似た様な物ですよ」
「そうですか、なら良いです。スラムか下級区に行って、広告出してきますので」
「まあ、労働力としては無難でしょうね。太陽を背にして左手の村は、村ごと引っ越しって感じでしたからアレですが、実際どうなるんでしょうかね?」
「故郷の村が、近くの町の下級区のギルドに張り紙して、職にあぶれた者や、軽犯罪者も普通に迎え入れてましたし、特に犯罪もありませんでしたよ。職が無くて、自棄をおこしてたんでしょうかね? 故郷に来たら、嬉々として働いてましたし。直ぐに馴染んでましたよ」
「そうですか、まぁ我々も更生させていただきましたので、カームさんなら纏められるでしょうね」
「基本仕事と食料与えて、村長に成れそうな方を選んで、好きにさせますよ?」
「……酷く無いですか?」
「一応各村を自立させて稼働させたいので、職を与えて放置ですかね? もちろん将来的には、給料を払いますけど、まずは衣食住を与えて、島が発展して、お金を使えるように成るまでは、今まで通り配給に近い形でしょうね」
「んー。確かに島の中では、まだ使う所がありませんけど……」
「まぁ、船長達は港町に行く機会がありますからね。金銭での給料を別途で渡していますが、島内ではまだ早いですからね。とりあえず、島民になった者への給金は、今までの儲けの中でもきっちり別けていますので、ある程度になったら皆に渡す予定ですね。島で採れた物は、島で買い取ってお金を渡すか、収穫して加工してもらってから島に売ってもらうかは、その内決めます」
「んー。どのくらい溜まってるんですか?」
「本格的にコーヒーとかを出荷し始めた頃からですからねー、季節が一巡くらい分はあるんじゃないんですかね? 具体的な値段は言いませんが」
「どこに預けてるんですか! そんな大金」
「コランダム側の銀行ですかね? どうせ使えないんですから、ニルスさんに直接振り込んでもらってますよ。アクアマリン商会の名義で」
「いつの間にそんな事を」
「判子作ってた頃ですかね? それまではギルドにカード見せて預かってもらってたんですが、俺の顔を見たら、嫌な顔をされるようになりましてね。あの顔は心にきましたね」
「毎回大金預けに行ったならそんな顔されますよ」
「ですので、その港町……なんて言いましたっけ。あぁ、セレナイトか。そこでも一応銀行行って来るつもりですよ、島民募集して、取引してくれる商人探して、一応口座作って来ますよ」
「なんかすごい事しようとしてますね」
「人族側だけで商売してても、一定の需要がありますが、魔族側でも商売すれば、簡単に考えて倍です。まぁ、生産量も伸ばさないと駄目ですけどね。酒なんか絶対足りないんで、蒸留器を二機ふやしても、需要が追い付くかどうかです。増やしても、樽を作る職人や、それを保存する倉庫が圧倒的に足りませんし、材料のサトウキビも足りません」
「そうですか……」
「えぇ、畑も増やさないと駄目ですし、一気に大量に育てても駄目ですので、収穫時期をずらして仕事が切れないようにしないと駄目です。麦酒とかも蒸留できるようにしたいので、蒸留所付近を大々的に開墾と改築したいですね。そう考えると麦もある程度の収穫量も伸ばしたいですし、麦の病気も心配したいですね」
「あ、いや、もうそれ以上は結構です。頭痛くなってきたので」
そう言って船長が操舵手に全て任せて、奥に行ってしまった。この手の話すると皆逃げるんだよなー。まぁいいや。釣りしよう。
のんびりと釣り糸を垂らしながら。小魚を釣り上げて、コックに天ぷらの作り方を教える事三日、いい加減覚えてくれ。油の温度を下げなければベチャベチャにならないから。
たまに釣れる三キログラム程度の物は、その場で締めて、バケツに入れておく。これは少し堅くなったパン粉をまぶしてフライにするけど、コックが穴が開くほど俺の手元を見てくる。
三枚に下ろして、下味付けて卵とパン粉だぜ?変わってるところなんかないから……。
◇
そして、出航から五日。コランダムに行くのとあまり変わらないんだな。まずは探索だな。
「んじゃ探索や商談してきます。いつも通り、良識の有る程度に自由で良いですよー」
そう言って、その辺に居た、鎧を着てる治安維持だか警備だかわからない魔族に話しかける。
「すみません、スラム化してる場所ってあります?」
「あまり言いたくないが、スラムは下級区のさらに奥だ。このまま真っ直ぐ門の方に歩き、門に付いたら左手側に行けば下級区だ。そのまま下級区を突っ切ればスラムが見える。下級区の防壁の角がスラム化してる。治安も悪いから近づかない方が良いぞ」
「ありがとうございます、まぁ、治安が悪くてもどうにかしますので」
礼を言って、門の方に歩き出す。
んーコの字型の防壁で、角がスラム化か、端に追いやられた感じなのかな?まぁ見てみないと話にならないから、行くけどさ。
「門のところを左にっと」
港から門までの、もの凄くにぎやかなメイン通り。良い香りがそこら中からしており、目に入った露店で、軽く食べ歩きながら下級区の方に曲がり。どんどん進んでいく。
そうすると人通りも少なくなっていき、ゴミが散乱し始め、ボロを着込んだ、何族かわからない男が瓶を抱えたまま寝ていたり。細い路地に、全裸で転がっていて、カラスが軽くつついても、見えてた範囲では一切動かなかった男がいた。
多分死んでるんだろうな、アレ。
思っていた以上に治安が悪そうだ。コランダムのスラムは、多分戦争奴隷として連れて行かれて、見かけなかっただけか。強制的に連れて行かれたから、ここよりはマシに見えただけか。
エジリンのはこれより小規模だったし、治安もここまで悪くなかったぞ。
一応ボス的な奴に話をつけるべきだよな。呼んでもらうか、喧嘩を始めるか、飲み屋的な所に行くか。
喧嘩は個人的になしだな。こういうのは酒場で情報集めしてたら、いきなり絡まれるって相場が決まってる。んー娼館と一緒になってる酒場辺りが狙い目か?良く映画とかマンガで、ボスっぽいのが飲んでそうだし。よし、適当な酒場に入ってみるか。金は少し多めにあるよな?
そう思いながら、ポケットに手を突っ込み、財布の中に大銀貨一枚と銀貨が五枚ほどあるのを確認した。ぼったくりじゃなければ問題はないな。
適当に見つけた、酒の絵の看板がかかってる薄汚れた店に入り、カウンター席に座って果実酒を頼む。アルコール度数が低いと、なんか怖そうだし。
それに店内は多少小綺麗で、下級区に近い酒場だから、まだマシなのかもしれない。
「兄さん、新入りかい?」
「んー、違います。人探しですよ」
「そうか、だから酒場か」
「えぇ、こういう所の探し人は酒場でというのが、相場が決まってます」
簡単な会話と共に、果実酒が目の前に置かれる。村で飲む物より少し酸っぱい気がするが、気のせいだという事にしておこう。
「で、誰を探してるんだ? 少しだけなら口きいてやるぜ?」
「んー……このスラムを仕切ってるボスを」
「兄さん、死ぬ気かよ?」
「かるーく話し合いするだけですよ。そんなにやばいんですかね?」
やばいな、勝手に勧誘しちゃまずいと思って、一声かけようと思ったけど、戦闘も考えておいた方が良いかな?
「とりあえず喧嘩っ早い事で有名だ、口より手が先に出る」
「おー、怖いですね」
覚悟をしておこう。
「で、なんの用なんだ?」
「労働者が大量に欲しいんですよ、スラム出身でも雇用出来る内容なので、こんな場所で腐ってるより、抜け出したいって思ってる熱意有る方を募集しようと思いましてね」
「ほう」
「仕事が無い、やる事がないから酒を飲む。そんな悪循環をぶっ壊す手伝いをしようと。あと子供にも出来る簡単な仕事もありますし、家族一緒でも大歓迎……」
そう言って果実酒を飲み干し、マスターに話を振る。
「申し訳ないですが、ここより落ち着きのない酒場を教えて欲しいんです。例えるならば、常に喧噪や怒声で溢れかえってたり、喧嘩が多く常にテーブルや椅子が倒れたりするような場所を」
今までの雰囲気とは違い、声を低くし、冗談ではない事を悟らせる。
「……死んでもしらねぇぞ」
「そしたら、どうにかして逃げますので」
微妙な顔ではにかみながら答える。
「店をでて左、そのまま進んで防壁にあたったら左、そして真っ直ぐ進んで最初の酒場がそうだ。俺が言うのも何だが、どうしようもねぇ奴しかいねぇし、最悪身包み剥がされて、その辺に冷たくなって転がる事になる」
「ご親切にどうも」
そういって、露店で使った銀貨のお釣りの大銅貨一枚をカウンターに置いて、言われた通り、その酒場に向かうことにした。
連続投稿が面倒ですので。16.17.18時の順で予約投稿します。




