表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
130/324

第122話 ジャスティスが逃げてた時の事 後編

適度に続けてます。

相変わらず不定期です。

 さっきから尻がいてぇ、道が悪いのに馬の紐持ってる奴が、馬の事たたいて、速度を上げてやがる。まぁ、スピード出さないと見つかるか捕まるかのどっちかだから仕方ねぇけどな。

「おいおい、大丈夫なんか?」

「平気よ! けどあいつ等が有能な事は認めるわ! とりあえず見つかるまで攻撃は無しよ、このまま逃げ切れば潜伏できるわよ」

 よくもまぁこんな状況で、そんな事思えるよな。

「いや、馬の事なんだけど。馬平気なんか? さっきから涎ダラダラだけどよ」

「日が落ちるまでの辛抱よ、それまでもう少し時間を稼がないと」

「死んだら元も子もねぇんじゃね?」

「私達を乗せて走ってるんだから、馬も光栄でしょ」

 んな事いってもよ。なんか目を剥き出して涎ダラダラしてると本当死にそうで怖いんだけど。

「あの森の奥でとりあえず休みましょう。村や平地よりマシです、それに馬も限界です」

 レルスの方から舌打ちが聞こえたんだけど。マジイライラしてやがる。

「村には泊まれねぇ、火も焚けねぇ。逃亡って楽じゃねぇな」

「そうね、貴方達の世界の人族がここまで有能だとは思わなかったわ」

「まぁなぁ、なんか色々関心無いけど、なんか有った時の仲間意識は強いらしいし、俺も仲間は大切にしてたぜ? まぁあんだけ派手にやれば、追いかけても来るよな。逃げただけならまだこんな風にはなってねぇんじゃねぇの?」

「そうね、すこしやり過ぎたかしら。けどあぁしないと逃げられなかったし」

 あん時から人が変わったよな、なんか憎しみだけで動いてるのが強えぇ気がすんな。仲間がボコられた時のたっちゃんみてぇな変わりようだな、まぁ相談しねぇで勝手に、暴れてパクられたけど。

 にしてもこの黒パンってクソかてぇ、水で流しこまねぇと口ん中ぱっさぱさ! 城の牢屋の方がまだマシだったぜ。けどよくこんなもん食えるよな。本当にお姫様なのかよ。


「レルス様、ジャスティス様。我々が見張りをしますので、お休みになって下さい」

「おう、頼むわ」

 ってかこいつ等の忠誠心凄すぎ、なんでこんなにすげぇの? まぁありがたく寝かせてもらうけどな。ってかレルスなんかガツガツ食うだけ食って直ぐに寝てたし。



 野宿とか超だりぃーわー、火も使えねぇし、また水に黒パンなんだろ? 城の焼きたて白いパンとか食いたいわ。米でも良いな。牛丼食いてぇ。牢屋の飯でも良い。

 まぁ夜中に起こされて無いって事は、まだばれて無いって事だろ? 上手く行けば、五日程度で着く話らしいけど。飯とかどこで調達するんだよ。村も危険じゃねぇのか? まさか全部黒パンか?

 そんな事思ってたら、おっさんが焦ってなんか言ってきた。

「明け方に、通ってきた道の方に明かりが見えました、そろそろここも危険です、お食事は馬車でお願いします」

「俺はかまわねぇけどよ」

 そう言ってレルスの方をみるが、

「捕まるよりは良いわ、包囲網がせばまる前に出ましょう。道は任せるわ」

「かしこまりました」

 そして馬車に乗り込むが、堅い黒パンと干し肉をガジガジかじってる、食堂で指で摘んで食べてた頃からはぜってーに想像できねぇ。


「なぁ、やっぱりあの黒い魔族か? おまえあの頃からおかしいぞ?」

「それ以外に考えられる? 奴さえ狩れるなら、勇者に捕まっても本望よ。あいつが友好的な魔王じゃなければ、討伐されててこんな事には成って無かったわ」

「あいつ魔王だったのかよ!」

「そうよ、勇者との食事会の時に顔を出して、魔王の証を見せたらしいわ、パパの話だけどね。それにその島にはよく魔王が住み着くらしいけど、前に討伐に行かせたロックの話では、討伐に成功したから旅に出させてくれって話だったから、その後続かしら? 王都に集まってる勇者百数十人相手にするよりは、確実に勝率は上よ。奴さえ狩れればとりあえず満足よ!」

「おいおい、魔王ならなおさら殺さねぇとやべえだろ。いつ裏切るかわかんねえよ」

「本当に物凄く友好的で、人族の大きな商会とも取引してるらしいから、殺すと後々物凄くやっかいなのよね。色々な商人の王家に対する印象も悪くなる可能性も高いし。その商会って、奴のおかげで今一番勢いが有るんじゃないかって話よね?」

「えぇ、仕入れてくれた情報ではそうなっております」

 目の前に座ってる女が少しだけ相槌を打った。

「だから、その島を乗っ取っても、義理堅い商人なら、しばらくは取引しないでしょうね、そうすると嗜好品の流通も多少滞るし、誰が管理するかって話になって、絶対勇者が後見人になるでしょうね。だから何をしても無駄になるなら、奴に一矢報いたいだけよ、それにもう後には引けないわ」

「俺を助けない選択も有ったんじゃねぇか?」

「あんな格好で牢屋に入れられてるジャスティスを見たくなかっただけよ。それに復讐も出来ないなんて私が許さないわ。なんであいつ等の言う事を聞かないと行けないのよ。国民に好かれる必要ないわ、国民は貴族の言う事を聞いて、貴族は私達王族の言う事を聞いてれば良いのよ」

「お、おう」

 俺でもわかるけどよ、なんで勇者が反乱起したかわかった気がするわ。あれ? 俺って巻き込まれたか? まぁ、楽しけりゃいいんだよ! 俺にはこっちが似合ってるしな。今を楽しまないとな。



 そして、港町までの進路は墓守達に任せてたが、街道から外れて、少し小高い丘の陰とかを通って、影になる所でも通ってたんだろうな。そのおかげでなんとか港町に着いたけれど、なんか壁が在んだけど。しかも横広に。

「おいオッサン、どうやって町に入んだよ。ってか港町なのに、壁で囲まれてんだよ」

「防衛上の問題です。大抵は大小在りますけど、防壁はどこにでもあると思いますよ。ラズライトの近隣の町にも在りますし」

「そうよ、どこにでも在るわよ?」

「マジで? ラズライトだけかと思ってた。俺の国に塀って言ったら、金持ちの家に在るイメージしかねぇよ」

「どうやって外敵からの侵入を防ぐのよ?」

「外敵いねぇし。俺の国平和だし、島国で歴史的にも海が国を守ってくれてたし」

「勇者達が底抜けに甘い理由がわかったわ」

「とりあえずどうやって中に入んだよ、どうせ検問が厳しいんだろ?」

「二つほど案が有ります。一つは、時間まで外壁から少し離れた場所で野営、時刻になったら強襲後、船に乗り込む。これには時刻までに勇者に見つかる可能性が有ります。もう一つは偽装して入り、装備品は賄賂を払い、個別に持ち込んでもらう事ですね。鎧をバラバラにして、運び込んでもらう事により、リスクを減らせますが、資金が少し足りないかもしれないしれないのが現状です」

「そうね……二つ目の案の方が危険は少ないわね、取りあえず道行く商人にばらした鎧を木箱に忍ばせてもらって中で回収の方が早いわね」

「俺達はどうするんだよ、きっと入れねぇぞ? 変装するのにも限度が在るぞ?」

「レルス様は冒険者風を装い、ジャスティス様は頭にタオルでも巻いて、ばれたらばれたで、混ざり物と名乗ればいいんじゃないんですかね?」

「混ざり物ぉ?」

「ごく稀に、魔族と子供を作る人族がいるのです。大抵髪の色は金色ですが、魔族と交わると、髪の色が金では無い者もおります。ごく少数ですがね」

「ほー」

「まぁ、忌み子として軽蔑されますし、子供の頃に村人とかに殺される場合が多いので」

「ひでぇ話だな。子供には罪はねぇだろ」

「魔族と子を成す事が問題なのよ。なんで汚らしい魔族の血を入れなきゃいけない訳?」

「――まぁ、そういう事で良いよ。髪の黒い種族を教えろ」

 ってかガキを殺すとか考えられねぇよ。どんだけ嫌いなんだよ。

「そうですね、夢魔族辺りに多いですし、見た目も美しいですし、人族に似た様な姿ですので、子作りには問題無いと思います。祖父母辺りが魔族で、わからないと言うのも手です。先祖帰りと言う事も在りますので、産まれた時からこうだったと言うのも有りですね」

「マジかよ!? そんなのもあんの?」

「えぇ、大抵は殺されますけどね」

「……まぁ、いいわ。そういうのには抵抗ないからそれで行くわ」

「ジャスティス様が問題無いのでしたらそれで。それでは自分がどうにかして鎧を町の中に持ち込みます」

「では、私と共に初心者冒険者と言う事にして、コランダムの中に入りましょう」

「おう」


 そして俺達は、その辺の土を服にこすりつけ、顔も多少汚し、申し訳程度の偽装をして、門に堂々と近づいた。

「今は特別警戒中だ! 悪いが詳しく調べさせてもらうぞ」

「えぇ構いませんよ」

「この三人はどんな関係だ?」

「冒険者です。村の仲良し三人組ですね、私がお姉さん役なんですが、大きな町に行って一山当てようって事になりまして」

「そうか、悪いがフードとタオルを取ってもらうぞ」

 取りあえず、言う通りにしておくか。

「何か有ったんか?」

「ラズライトの王族の第三王女が幽閉されていた勇者を助け出し、逃げたんだが、その時に何人も殺してる」

「怖いですねー」

「そうだね、お姉ちゃん」

「おい、そこの男、なんで髪が黒いんだ? 召喚された勇者も黒髪が多い、少し質問に答えてくれ」

「構わねぇぜ」

「髪が黒いのに何か心当たりは有るか?」

「さぁな、詳しくは知らねぇけど、混ざり物って言われてたぜ。爺さんか婆さんか父ちゃんか母ちゃんが魔族なんじゃねえのか?」

「親はいないのか?」

「孤児院出身だ、気がついたら姉ちゃん等と一緒にいたぜ?」

「そうか、だから髪を短くしてタオルだったのか、すまんな」

「気にすんな、慣れてる。そっちこそ仕事だから仕方ねぇよ。で、通行料幾らだ?」

「あ、あぁすまんな、一律大銅貨五枚になってる」

「姉ちゃん、有るか?」

「えぇ、心配しないで良いですよ」

「あんた強いんだな」

「ぐずぐずしてても始まんねぇよ、こうして姉ちゃんと幼馴染がいるんだ、それだけで幸せだぜ?」

「あぁ、その意気だ。たくましく生きてくれ。ここは髪の色で石を投げる様な奴はいないからな。悪いが名前を言ってくれ」

 その後は事前に打ち合わせ通りの偽名を使い、町に入り、安宿に泊まる事になった。


「余裕を持ってコランダムに入る事が出来ましたが、出航予定日までは三日ほどあります。それまでにジャスティス様の鎧がすべてそろえば良いのですが」

「そうだな、取りあえずそれが無きゃ話になんねぇよ」

「けど魔石は持ち込みましたので、取りあえず最悪の場合はこれだけでも乗り込めます」

「おい、どうやって持ち込んだんだよ?」

「女性には秘密がつきものですよ」

 少しイラつくが、どうせ下着の中とかだろ? ゴワゴワしねぇの?

「とりあえず全部有りますので、お確かめください」

「あ、あぁ、赤いし俺の手の甲にはまってた奴と同じだな」

 ――どこに入れてたかは聞かない様にすっか、あと洗ってあんだろうな、コレ?


 そんな事も有ったが、どんだけ金を握らせたかはわからないが、安宿に木箱に入った鎧一式が前日の昼に届いた。

 胴体部分とかどうやって忍び込ませたのかわからねぇけど、これ分解できんのか? あぁ、肩のパーツとか外れるし、前後に別れるんかこれ。最初着た時は服みたいに着たし、その後になんか腕通してたような気がするし。

 脚も履くような感じでベルトで止めてたしな。

 そして剣は夕方に届いた、なんでも武器商人の剣に紛れ込ませたらしい。この世界の警備ザル過ぎ。まぁ、剣はおっさんが持って来たんだけどな。



 取りあえず作戦決行日だが、レルスが殺る気満々だ。次の鐘が、昼を告げる鐘らしいが、朝早くから魔法処理された皮鎧を着て、ベッドに座ってうずうずしてる。俺もついでに、鎧を着させられている。

「船に乗ってしまえばこっちの物だわ! さっさと鐘が鳴らないかしら」

「前日に他の船で調べましたが、鐘が鳴った時に、錨を上げて帆を張って動き出すまでには、小走り程度でも十分間に合います」

「なぁ、この鎧、木箱で船に乗せられなかったんか? すげぇ目立つんだけど」

「検閲が厳しく無理と判断しました、なので、前日の話し合い通り、出航間際の船に乗る様にお願いします」

「ああ、難しいならしかたねぇ」

「貴族の船の特徴は? もしもが有ってからじゃ遅いわよ?」

「港に出て、右手側を見て奥の方に在る、赤い旗の船です。話では、足が早いと言う事ですので、追いかけてきても。次第に距離が開くと聞いています。よっぽどの操舵技術が無い限り、今停泊してる船では追いつくのは厳しいと自慢していました」

「なら問題ないわ、ジャスティスの鎧は目立つから、ぎりぎりに出ましょう」

「おう」


 そして事前に多めの金を払ってあるから、鐘が鳴った瞬間に飛び出ると言う事になって、鐘が鳴ったから、おっさんが先導と言う事で飛び出していった。

 宿を出て、裏路地を抜けて港の方に向かって走って、港に出ると大勢の男達が忙しそうに荷物を下ろしたり、乗せたりしてた。

 港の向かいの倉庫を往復する数を見れば、でけぇ港って事は理解できる、それをかき分けて走るとなると、超めんどくせぇ。

 そう思ってたら、なんか昼の鐘とは別の、消防車が鳴らす音みたいな鐘が激しくなった。もしかしなくてもまずいって事は俺だってわかる。

「城から逃げ出した勇者とレルス王女様と思われる一団が日の落ちる方角に向かって走ってるぞー!」

 ほらな? 逃げるのにはこの鎧超目立つんだよ。ガチャガチャ鳴ってるし。一回しか使えない戦法だから出来るんだよなぁ。こいつ等は俺より頭良いけど、これを選んだんだから、本当に魔王に復讐する事し考えてねぇよな。

 走りながらそんな事を考えていたら、横を走っていたレルスが

「貴方達邪魔よ」

 とか言って、火の魔法をプッパしやがった。正直イカレてるとしか思えない。着弾地点は石畳なのに、まだ燃えてるし。何人か巻き添え食らって海に飛び込んでるし。

 前を走ってるおっさんとか女の後をくっ付いていけば良いのに。なんで魔法ぶちかますんだよ?

「誰でも良い! そいつらを止めろ! 話に挙がってた勇者達だ!」

 そんな言葉が飛んで来たと思ったら、筋肉ムキムキの船乗り達が、俺達に襲い掛かって来た。

 俺は鎧が重いから、腕を振ってムキムキを吹き飛ばしながら船まで最短で走るけど、前を走ってるおっさんとか、女とかは、ザクザク剣で切るし、レルスは魔法をぶっ放してる。

 俺は三人に任せて船まで走るけど、道中で黒焦げになって唸ってる船乗り達が結構な数がいて、めっちゃ殺気立ってるのがわかる。

 そしてそんな中、帆を張って少し動いてる赤い旗の船に向かうが。

「ここは俺達が時間を稼ぎます! 行って下さい!」

 とか言っちゃって超うけんだけど。

「えぇ、そうさせて貰うわ」

 こっちもこっちでノリノリなんだけど。

 しゃーないから俺も船からぶら下がってる縄梯子に飛び乗り、あとから来たレルスの為に手を伸ばし、飛び乗って来た所を抱き寄せた。

「ありがとう。とりあえずまだやる事があるから、上がりましょう」

「おう」

 あとは逃げるだけって聞いてるけど、何かやる事有んのかよ?

 そう思ってら、レルスが周りの船に手をかざして【火球】を飛ばして、船の帆を燃やし始めてる。

 やり過ぎじゃね? まぁ、時間は稼げるけどよ。あーおっさん達が囲まれてる、平気かな?

この普段書かないキャラって書きにくいですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

作者が書いている別作品です。


おっさんがゲーム中に異世界に行く話です。
強化外骨格を体に纏い、ライオットシールドを装備し、銃で色々倒していく話です。


FPSで盾使いのおっさんが異世界に迷い込んだら(案)

― 新着の感想 ―
[一言] ジャスティスくん最低限の倫理観はあったんだ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ