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第116話 色々妄想した時の事

適度に続けてます

相変わらず不定期です。

 あの後、トマトの皮を何かに有効利用できないかと考えたが、動物の皮なら乾燥してもある程度どうにかなるが、植物の皮だとパリパリになってしまい、どうにも使い勝手が悪い。

 上だけを丁寧に切り取り、中をくり抜くようにして、袋状にして水を入れるが、数日でカビが浮く。二日以内に飲みきるのが理想だが、長く使っていると皮の方が腐ってきて、指で簡単に穴が開くのでどっちにしろ駄目だった。

 味は特に変わらなかったので、また種を植え、来年には出荷出来れば良いと思う。

 種が大きいので、グレープシードのように油を絞れば良いと思ったが、今の所はオリーブがあるので、今度の機会にしておこうと思う。

 スイカやカボチャは、種を乾燥させて、塩をふってから煎れば、立派なおやつ兼摘みになるので、島内需要はかなり高いと思う。

 問題は収穫した後、いかに早く消費するかが問題だ。スイカパーティーにするか、休憩中に一人のノルマを小玉スイカ一個分を消費してもらうかだな。

 さすがに休憩中にそんなに食べると色々と問題があるので、パーティーを開いて消費させるのが一番だな。味が良ければ、将来的に祭りにし、大々的に宣伝して観光客を呼ぶのもありだ。

 同じ理由で、カボチャもハロウィンではないが、収穫祭に合わせて開催するのも有りかもしれない。この辺りは皆と相談して、数年後を目標にすれば良いな。

 トマトで特に味に変化がなかったので問題はないと思うが、スイカとカボチャの皮やスジが、堅くて口に残らない事を祈るしかない。けどスイカは残りそうだな、あの薄茶色のアレ。

 まぁ、収穫して味を確かめないと駄目なんだけどね。

 とりあえず、海が綺麗だから、祭りを目的とした観光と、普段からの観光も視野に入れて、動くのも良いな。

 海に杭を打って、どこかの観光地のような海の上にあるコテージを宿にしても良いし、南側の温泉の近くを掘って温泉を増やすのも良いな、そうするとこの島の名物料理も欲しいよな。南国っぽいフルーツを使ったデザートと酒は決まりとして、島民が良く食べてる物を出すのも良いな。

 各地から集められた元奴隷だから、地域的な物もあるかもしれないし、聞いて回るか。


 家は、仲の良い同姓数人か、仲の良い男女を住ませるようにしている。ついでに言うと、去年の作物類の収穫量が一年分以上あったので、子作りは各自の判断で任せている。

 アントニオさんも、アドレアさんも、お産をどうするかの知識があったし、元奴隷や寒村のおばちゃんに、取り上げた事があるような事を言ってた方がいたので、その辺りは心配いらないと思いたい。

 そんな事より、各家庭の母親の料理を聞いて回ろう。

「そうだなー、まぁ奴隷に堕ちるような家庭だったから、茹でた芋や薄い粥だったな、塩はもちろんなしで」

「……。思い出したくはないが、その辺の野草を入れた薄い粥と、祝い事の時に肉入りのスープが出たな、収穫の時期だけだったけど」

「姉さんが売られた時に、父が麦を買ってきたのを良く覚えてるわ。その時は、白いパンを一回だけ食べたわね、私も結局売られたけど。あの時は親を憎んだけど、今では親の気持ちは良くわかるわ。魔族の奴隷になった時は、神と自分の人生を呪ったけど、今は奴隷になって良かったと思ってるわ。偶然なんだろうけど、貴方には感謝してるわ」

「いつも薄い粥だったから、山に入って草ばっかり食べたりしてましたねー。近所の優しいお兄ちゃんが教えてくれたんですよー。捕った鼠や蛇を分けてくれたんです。物静かで少し皮肉っぽかったですけどね……。結局戦争につれてかれて……ジョンお兄ちゃん、生きてるかなぁ……」

 四人目を聞いた時点で、俺の心が折れて聞くのを止めた。しかもジョンって牢屋にいたな、人族には多い名前なのか? ジョン・スミスって偽名の代表みたいな物だったし。

 ってか女性陣の話しが重すぎるよ! 野草さんなんか遠い目しちゃったし! ごめんなさい! これからもお腹いっぱい食べて下さい!

 気分を変えて、おっさんズやキース、ルートさん達に聞いてみるか。

「俺等は、孤児院出身だからな。母さんの手作りパンとくず野菜スープが多かったな」

「十日に一回焼き菓子が出ただろ、小麦粉に砂糖を入れて揚げた丸いの」

「寄付に来てくれた、おじちゃんおばちゃんのグラタンだな」

 ふむふむ。魔族側はそれなりなんだな、やっぱりあの王族や貴族や教会関係を潰した会田さんは正解かもしれない。

「あん? 山で捕ってきた獲物の肉と茹でた芋だな、あんまり暑くならない場所だったから、芋の方が多かったぞ。茹でて切った芋にベーコンを入れて、牛の乳を小麦粉でドロドロにしたやつをぶっかけて、オーブンで焼いた奴に、パンを浸して食うのが好きだったな。滅多に食えなかったけどな」

「カームと似たような物だと思うぞ、同じ村なんだし。そうだなぁ……、トマトが入ったパスタが好きだったな、あと肉」

「お姉さんわねー、悪食だから何でも食べるわよー……人族とか――」

 最後だけ、いつもとは違うホワホワしてない感じで言われた。一瞬だけ、顔が素に戻った感じだったが、校長もたまにあんな感じになるし、そう言う種族と思いこもう。それと、微笑みながら口角を少しだけ舐めたのは見なかった事にした。

 んー、グラタンと娼婦風パスタと、ドーナッツっぽい物か。そう言えばラッテもグラタンが得意だったな。あと最後は論外だ論外!

 一応南の村にも行ってみるか。


 俺は島の南側に転移し、話を聞こうと思ったら、絶賛昼食の準備中だった。

 揚げ物か、何を作っているんだろうか? そう思いつつ近くにいた、仮の村長を任せてない方の神父さんに何を作っているのかと聞いた。

「いやーカームさん、カームさんのおかげで飢える事なく、良き隣人であるサハギン達が新鮮な魚を届けてくれ、多少あまり気味の芋を消費しようと商品にならない油で、衣を付けて揚げてるんですよ。コレがまた美味しくて」

 ……フィッシュアンドチップスか? ってか何でここに来てフィッシュアンドチップスをチョイスしたし!

「ささ、出来立ての熱い物をどうぞ」

 そう言われて、席に案内される。

 一口食べると、衣がサクサクじゃないし、魚の臭みが消し切れてないし、魚の臭みが油に移ってジャガイモも生臭い。唯一の救いは、作り方を教えたマヨネーズが美味しかった事だ。

 本場で食べた事はないが、聞いた事のある本場の味と同じじゃないか……。本当に人族の食は一部を除いてほとんど最悪だったんだな。

 俺は立ち上がり言い放った。

「申し訳ない。これだけは言わせて下さい。クソ不味いです……」

 俺は少しだけ睨むように言った。

「も、申し訳有りません、カームさん」

 俺は立ち上がり、調理しているおばちゃんの所に行き、場所を変わってもらう。

「良いですか? 衣って言うのは、油の温度が低いとカリカリパリパリにならず、ベチャベチャします。まぁ、火は通ってますし、新鮮で大量に作ってるので、衣のベチャベチャは多少譲りましょう。ですが、魚の臭みを消し切れてないせいで全て台無しです。芋にまで魚の臭みが移ってます。これは油を分ければ避けられます」

 そう言って、調理場を借り、丁寧に説明しながら料理を始める。

「一気に入れないならこの火力で良いですが、皆の分を早く作ろうと一気に入れるから駄目なんです。その場合は、薪を多めにして油の温度を保ちましょう。そして魚ですが、せっかく調味料も持ってきてあるんですから、もったいないと思わず色々試しましょうよ。これでかなり変わりますよ?」

 そう言って捌いた魚に下味を付けていき、油の温度が上がるまで待ち、溶いた小麦粉を油に入れて、だいたいの温度を確認する。ってかパン粉が欲しい。残ったパンとかないのかよ。

「だいたいこれくらいです、この小麦粉がすぐに浮いてくれば、油は熱いですので、高温で揚げれば衣はパリパリです、生臭い臭いも多少消えます」

 そう言って高温の油で魚を揚げ、網の上に置いて油を切り、別の鍋で暖めておいた油に、串切りに切った長細いジャガイモを小麦粉をまぶして揚げていく。そして浮いてきたジャガイモを適当にとって食べ、ホクホクしたジャガイモの揚げ具合を、おばちゃん達に体感で覚えさせ、ピクルスが無いので、タルタルソースもソースもないが、マヨネーズがあったのが救いだ。

「野菜はお好みで、葉物類が良いと思います」

 そう言って出来立ての、魚のフライと、ジャガイモのフライを食べさせる。

「……今まで我々が食べていたのは、ただの餌だった――」

 驚いてるのか、悲しんでるのかわからない表情で、初めてサシの多い和牛食った時の、ニュースレポーターみたいなコメントをありがとう。

「せめて食事くらいはこのくらいまで引き上げましょうよ、油も魚も新鮮なんですし。芋だってそろそろ収穫なんですから。そんな落ち込まないで下さいよ」

「カームさんは、魔王になる前は料理人だったのですか?」

「一人暮らしが長かっただけですよ」

 うん、嘘は言ってないな。

「前も、魚を捌いた時に出た、骨とそれに付いているクズの様な身でスープを作ったのは偶然ではないと!?」

 アラの事クズって言うなよ、あそこが美味いんじゃないか、しかも出汁も取ったし。ってか出汁の文化があまりないのにも残念だ。

 ってか榎本さんがいるんだから、聞くか、作ってもらえば良いのに。


「こんちゃーっす、カームですけどいますー? あいつらに飯の作り方教えてやってくださいよー」

 開きっぱなしの玄関から顔を出し、中を覗くと、じーちゃんが昼前から飲んでいたらしく、ちゃぶ台に、麦酒の入った瓶とカップがそのままだった。

「じーちゃん、暑くても何かかけないと風邪引くよー」

「んあーもう昼飯か?」

「そうですよ榎本さん、ってかテレビで見るようなお爺ちゃんみたいでしたよ、顔真っ赤にして」

「良いんだよ、俺くらいになると、ちょーっと酒が入ってた方が調子良いんだよ、それにおれは太陽がでる前から、田んぼ周りの草刈りしてたから良いんだよ」

「いや……これはもう、ちょっとを越えてますから。そんな事は置いておいて、あの新しい島民ですけど、料理の味がいまいちじゃないですかね?」

「知らん、俺は自分で作ってるからな。あんな油まみれのなんか食ってられるかよ。俺には無理だ。そんな事より俺は塩焼きや、天日干し、麦飯に漬け物だ。味噌がねぇのが残念だけどな、ありゃ高いしあんまり出回ってないからな」

 そう言って、榎本さんは笑っている。

「あ、一年前に試験的に作った味噌がそろそろ良い具合に熟成するんで、持ってきますよ」

「おめぇ、白味噌でも良いからさっさと言えよ! コランダムになくて寂しい思いしてんのによ!」

「あ、すみません」

 そう言うと、追い出されるように急かされ、転移する事になった。気怠い――


 その後は、榎本さんが色々やってくれた。

 家の前に干してあった、元カラフルな魚を網に乗せて炭火で焼き、乾燥させた小魚と、昆布で出汁を取ってジャガイモを入れ、俺から奪い取った味噌を入れてジャガイモの味噌汁を作り。朝炊いたと思われる冷えた麦飯を出して、漬物と箸とフォークを出してきた。

「箸は一膳しかないから、お前のはフォークな」

「あーずるいっすよ。このメニューなら絶対箸の方が良いじゃないっすか!」

「だったら自分で作れ! あとこれは味噌の上澄みの(ひしお)な。魚醤作ってたんだけどよ、出来栄えにあんまり納得できなくてな。そんな話は今は良いな、魚に掛けようぜ」

 そんな事を言いながら、ちゃぶ台を囲み、胡坐をかく。正座なんかしてられるか!

「「頂きます」」

 何故か日本語がお互いに出てしまったが、気にしないで冷えた麦飯をかっ込み、味噌汁で流し込む。焼き魚に醤をかけ、モシャモシャとお互い無言で食べていく。

 米を収穫して、これが炊き立てご飯になれば、最強だな。カラフルな魚の開きじゃ無くて、アジの開きの方が、見栄えも良いけど。

「「ご馳走様でした」」

「いやー美味かったです」

「織田には悪い事しちまったな」

「今度呼んできますよ」

「けどよ、本格的に日本酒が欲しくなっちまった。米も増やしたいから今年は我慢するか悩んでたんだけどよ、飲みたくなったら自分で飲む分だけ作っか」

「炊いたご飯に、おにぎり入れるって奴ですか?」

「そうそう、まぁ、麹がねぇと運だからな。まぁ、何回かやってみるか。織田を呼んだ時にでも、詳しく聞くべ」

「俺も、酒に関しては島民にまかせっきりですからね。蒸留酒もですが。まぁ、酒は日本で素人が作ろうとすると物凄く怒られますからね。どっかで読んだ漫画の知識しかないので、餅は餅屋ですよ」

「そうだなぁ、俺の頃も怒られてたから、こっそり作った奴が持って来てくれた時に聞いただけだ。会田と織田がいれば本格的なの作れるべ。あいつ等頭良いしよ。来年の収穫見て、日本酒の方は動こうぜ」

「そうですね、でっかい樽と水車での精米ですね」

「来年の為にちょこちょこ動いてくれや」

「報酬は、島の雇用拡大と、名産品扱いになると言う事で」

 そんな会話をしながら、二人して怪しい笑みを作る。口頭による、取引が成立した証だ。

果汁100%のお好みのジュースに、ドライイーストを入れるとお酒になるらしいですね。


かなり前の伏線を拾いに行く、駄目作者。

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作者が書いている別作品です。


おっさんがゲーム中に異世界に行く話です。
強化外骨格を体に纏い、ライオットシールドを装備し、銃で色々倒していく話です。


FPSで盾使いのおっさんが異世界に迷い込んだら(案)

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