表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/323

第09話 年末年始での年越し祭での時の事

細々と続けてます。

最後の方に酒の飲み過ぎによる嘔吐シーンが有りますが、表現的にボカシてあります。苦手な方はご注意を。

年の瀬・・・日本には師走と言う呼び方も有るが、前世でまぁまぁ忙しかった記憶も有る。

だけどこの世界は解らないがこの村は忙しさや騒がしさとは無縁だった。


雪が積もり、屋外での作業は家畜小屋の屋根に積もった雪を下ろす程度で、屋内で出来る仕事も特に無い。雪が降る前に家や家畜小屋の修繕をしたり、保存食の作成だ、収穫祭の前に、塩辛い干し肉を作る。

作った麦っぽい物も税で持ってかれるが、持って行かれる量も少なく、皆飢える事無く過ごしている。もし飢える者が出たとしても小さい村なので皆で助け合うのが暗黙の了解だ。村の皆が優しいので、流れ者にも優しい。


学校も雪が降ったら休みに入り、雪が降らなくなる頃に村の広場で先生が「明日から学校です」と、告知するみたいだ。

俺は冬に出来る暇潰し兼、小遣い稼ぎの内職を作ってみた。


鮮やかな端切れを買って、熊や兎のデフォルメされたぬいぐるみや巻薔薇、編マットを作る。

これは生前の母が趣味にしてたので良く覚えている。

やべぇ、思い出したら少し涙出てきた、俺の死んだ後の事考えてなかった。家族には迷惑かけただろうな。実際死因が餅で窒息死だったらご近所にはなんて説明するんだろう。ごめんな、父さん、母さん、姉さん。


森から枯れ木をもってきて、ナイフで彫刻をする。

そう、木製のおじーちゃんおばーちゃんの家に良くあるかもしれない、黒い熊を目標にしている。イメージは出来る、それを形にする技術が俺には無いので、ただの木屑になった。

美術大の人とかすげぇな、あと彫刻家。


割れたガラスを格安で買ってきて、アクセサリーを作る。

ガラスの製造技術があまり確立されてないので前世のTVで見た映像をなんとか記憶から掘り起しトンボ玉にしている。

コレは火魔法で適当に溶かして、棒状の鉱石に巻き付けて作る、最初はゆっくり冷やすのに苦労したが拾って来た鍋に熱した砂を入れて徐冷剤の代用にした。


ちなみにお金は、狩りで捕った獲物の、食べきれない分を肉屋や皮屋に売ったりして、コツコツ溜めた物だ。

ナイフは中古で買ったので多少錆びていたが、川原の細かい粘土質な石を拾ってきて、磨いた。

魔法で作った黒曜石でナイフを作ってみたが1時間ぐらいで消える事に気が付いた。魔法で作り出した物だから魔力が切れたら消えるみたいだ、魔法で出した金や銀、宝石の類は売れないな。残念だ。


あの狩りの時から色々と試行錯誤しているが、出来るものがなかなか思い浮かばない、現代社会に依存して当たり前の様に使ってた物は、ものすごい技術の塊なんだよな・・・

まぁそれを元に色々魔法でやってるんだけど、物を作るとなると別だな。


まぁ、こんな感じで雪が降り始めてから1ヶ月はゆっくり過ごした。

家畜の餌は十分にあり草木が茂る春先まで持つみたいだ、何も心配する事は無い。



去年までは家族で過ごしてたが、俺が酒が飲める程度に成長したから今年から違うらしい。

「カーム、今日は夜から集会所だ、年越祭(としこしさい)だから夜通し飲む祭りだ、遅れても良いけど絶対に来るんだぞ」と言われ、毎年のんびり過ごすんじゃないのかと思っていたが、思ってただけだった。

去年までは、家でのんびり少し豪華な食事を食べ、変わら無い年越しを過ごしていたが、本当は村の集会所で酒盛りが普通らしい。今年は俺も強制参加だ・・・

収穫祭の事を考えると頭が痛い。むしろ頭痛が痛いと言いたいくらい不安要素が多い。


「カーム!こっちだ!」

酒場に響くヴルストの声、良く見るとクラスの男子がほとんどそろっている。むしろ出来上がっている。女子も女子で固まって飲んでいる。

「おう、早いなお前ら、去年まで全員こっち側じゃなかっただろう?」

「かなり早い時間から親父に連れてこられた、なんか子供が大きくなった夫婦か結婚してない奴らが来るらしいぜ?」

オーケーオーケーなんとなく解った、俺は多分年越祭に作られた可能性が出てきた。

なんとなく察したが「ほう・・・」とだけ返事しておいた。

そうしたらシュペックが麦酒をもってきてくれたので乾杯の合図が響く、こいつ等何回目の乾杯だ?

ゴクッゴクッゴクッ!「ア゛~~~苦い!」

今回は苦いね、まぁ飲めなくはない!タダで酒が飲めればどんどん飲むぜ!

「やぁカーム君・・・あれから狩りはどうだい?」

目が座ってるシンケンが絡んでくる、酔うと絡んでくるみたいだ。普段はあんなに付き合い易いのに、酒が入ると途端に駄目っぽくなる。

ギャップ萌えって奴ですか?けど男が酒飲んでギャップ萌えになればいいけど『酒さえ飲まなければ良い人なんだけどねぇ』って、ならなければ良いさ。まぁ、あの二人の子供だから平気だろう。暴力は駄目ですよ?

「あぁ、なんとか慣れてきて獲れる様にはなってきてるよ。本当にありがとう」

「そーかそーか、いいねぇいいねぇ今度一緒に森に入ろうぜ」

適当に返事しながら飲む事にする。素面じゃ酔っ払いは相手にしてられない。


「カームカップに酒無いよ! 持ってくる!」

シュペックは相変わらずだなぁ・・・あれは酔ってるのか?

俺に酒を持ってくると笑いながら器用に酒をこぼさず片足で回りながら「はははー」と笑ってる。

はたから見ると「酔いすぎじゃね?」って位普段よりテンションが高いが「まぁシュペックだし」で片付けておいた。


他にも、クラスメイトが普段は見せない一面を表に出してる・・・酒って怖ぇー。


怖いと言えばスズランだ、思い出して女子グループを見てみるが、いつも通り静かにして肉を食いながら飲んでいる。まだ暴走はしてないね。


ドン!っと言う音が聞こえさりげなく視線を向けると、ちょっとお洒落してきたミールが転んで、スカート全開に捲れ、下着が見えた時は流石に噴き出した。急いで直したが数人見ていたらしくて噴いた俺が睨まれた、肉を咀嚼してるスズランにも睨まれた、理不尽じゃね?


他にも、グールのクチナシさんが「冷たくてキモチー」とか言われながら抱き着かれて胸とか揉まれて困ってたり。サイクロプスのグラナーデさんが「熱い!」とか言いながら男らしく雪の降る夜の屋外に消えていったりで、想像してた通り皆酒に呑まれてる。


スズランは前回の事が有りあまり酔わないようにしてるみたいだが俺と同じように絡まれ、飲まされ、酔うと言うコンボをクラスメイトに決められ、顔を赤くしながらニヤニヤしながらチラチラこっちを見つつ肉を頬張る。

酒に酔った勢いで絡んでく可能性が出てきた、むしろそっちに作戦を変えたか?

俺は酒を飲むペースを上げ塩辛い干し肉を食い無理やり酔う作戦に出たが・・・


【スキル・毒耐性:2】を覚えました


おいぃぃい!今かよ!今ですか!酒も一種の毒物ですか!?酔わせないようにしてるのは神の意志ですか!?あのフランクな神の知り合いめぇ!今まで不味い毒草汁飲んでた努力を返せ!


日付が変わったあたりから雲行きが怪しくなってきた・・・

「うぉぃ・・・おまへじぇんじぇんひょってらいじゃないか!」

ヴルスト君、そろそろ酒止めようか、ろれつ回ってないよ、脳がやばいよ。

「そだそうだ!もっと飲め!」

シンケン君、酔った女子の前で肩を組まないで。なんか女子がこっち見てニヤニヤしてるから、君にそんな気は無いと思うし、俺もノーマルです。

「はははははははははは!」

シュペック君は、膝の上に頭乗せてグリグリしてこないで。なでろって意味ですか?本当に犬みたいだね君。

「飲んでる、飲んでるから!ほら飲んでるでしょ!」とカップを見せつけるが。

「けど酔ってないですわ」

ミールさんも絡んでこないで!

「そうですよー」

クチナシさんも便乗しないで!

仕方ないでしょう、だってさっき毒耐性2になったし中身30歳で酒に散々呑まれて来たから飲み方位解るよ・・・けどね・・・


ダレカタスケテ!


その時スズランが俺の前に来て胸倉を掴んだ、周りが静かになる。

収穫祭の時も同じでしたよねこれ?絶対来るよねこれ?

と思ったらいきなり酒を飲み始め、口に含んだまま途中で飲むのを止め口を近づけて来る。

「お・・・落ち着いて下さいスズランさん・・・」

はい・・・前回より最悪のパターンです。

無理です、逃げられません、この子俺より力が強いんだもん!

「いけースズラン」

「覚悟を決めたらどうです?」

クチナシさんミールさん、首に手を回し頭を押さえないでください、頭に幸せな物が左右から4つ当たってます。


男子の憎しみの籠った睨みと「ぉおーー」と言う声が聞こえ、女子からは「キャー」と言う黄色い声が聞こえる。


「んーーー」と一応抵抗の色は見せておく。

なんだろう・・・年末の笑っちゃ駄目な番組のおばちゃんのアレみたいだ、もしくはデラックスな人、あ・・・酒が口に入ってきた。俺が飲み込むまで口を離す積りは無いみたいなので飲み込んでおく。

満足しましたか?スズランさん。


俺は今、多分目のハイライトが消えている・・・




夜明けまで後・・・4時間・・・

俺は酔っ払いに囲まれる。俺は・・・考えるのを・・・止めたい・・・




俺とスズランに感化されたのか、気が付くとクラスの男女数組が居なくなっていた。今夜はお楽しみですね。


それからはもう「大変でした・・・えぇこの世界にゴム手袋が欲しいです」と、愚痴りたくなるほどのダムの決壊地獄。


最初は、シンケンが笑いながら話してる最中にいきなり無表情になりダムが決壊。それをみて慌てて避けるが、土石流が少し足に跳ねてかかった。

それを見たヴルストが便乗し決壊。

ヴルストの近くに居たシュペックが逃げ、足元がふら付いてるので転ぶ。転んだ先はダムが決壊してできた土石流。

ミールとクチナシはこっちを指差して笑っている、人に指を指していけませんよ両親に言われませんでしたか?


大人!大笑いしながら眺めてんじゃ無ぇ!チクショーメー。


スズランさんは干し肉をモチャモチャしてないで助けて下さい。


あとこいつ等介抱すんの俺っすか?涙が出て来るよ。二つの意味で。


【スキル・緊急回避:1】を覚えました


えー、はい、確かに身の危険を感じましたけどねぇ・・・土石流を避けただけなのに覚えるスキルって・・・




とりあえず俺は、ダムが決壊した奴はもう一回決壊しても良いように横に寝かせ、土石流を処理し。スズランはミールとクチナシにもたれかかって寝てたので、とりあえず放置。夜明けまで2時間だから平気だろう、まだ飲んでる大人も居るし。


来年。あぁ、もう今年か・・・まだ、300日以上有る今年の年越祭も、同じ事が無いように、こっちの神を知らないがとりあえず祈った。

そして寝た。

頭痛が痛いは、わざと使っています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

作者が書いている別作品です。


おっさんがゲーム中に異世界に行く話です。
強化外骨格を体に纏い、ライオットシールドを装備し、銃で色々倒していく話です。


FPSで盾使いのおっさんが異世界に迷い込んだら(案)

― 新着の感想 ―
[良い点] く! 鉱石召喚は更なる高レベルでも無きゃ無理か! でも逆に『型取り』とかの原型を取り出さずにそのまま作業できるな。。。 [気になる点] 水魔法『流体操作』っ! [一言] ほのぼのだねー。…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ