亀田
「次は、9番、亀田高人。」
「亀田。」
「うん、そう、亀田くん。身長は、まあ、平均的…かな?うん、170くらい。結構イケメンでね、運動神経はなみ、かな。」
「どんなやつですか?」
「なんていうのかな、正義感、が強いかな?まあね、きもちのいい奴だな。こんな俺にも、わりと気さくに話しかけてくれる。」
「へえ。」
「一回俺が佐藤にいじられてる時に、かばってくれたりしたかな。わりと、彼は、殺したくない。」
「…うん。吉田さん。」
「なに?」
「正義感強く、クラスメイトに気にかける人が、クラスメイトをちょいちょい殺されたらどうなると思う?」
「…」
「まず、殺したやつをよく思わないだろうね。」
「まあ、な。」
「さらに、クラスメイトが殺されたストレスがスイッチで、彼も目覚めるかもしれない。」
「そんな短い期間で目覚めるのか?」
「人の死っていうのは超能力の目覚めやすいんですよ。だから、クラスメイトを殺してくれって頼んでるですよ。」
「…」
「わかりますか?かれが超能力に目覚めたら、僕たちの敵になるです。でも、それではダメなんです。目的は、できるだけ、多く、超能力者を仲間に入れたいんです。あるいは、彼が僕たちの脅威になるかもしれません。なので、彼は」
「…」
「早めに殺してください。」
亀田は戦慄していた。
周りの人間は全て敵だった。
裏切り者だった。
彼らの統率のとれた動きに亀田は恐怖もした
。
悪魔に見えた。
なぜこんなことになってしまったのか、わからなかった。
いや、わからないふりをしていた。
自分をせめたくなかった。
瞳孔が開く。
脂汗がにじみ出る。
口の中が異常に乾く。
そのせいか、うまくしゃべれなかった。
彼は、忘れてしまったのだ。
数学の課題を。
クラスメイトが先生へ課題を提出している様子をみて、彼はふっ、と笑った。
夏休み直前、彼は放心状態だった。