拳骨
なんか鬱ですね……orz
早く脱しないと!
ゴロゴロゴロゴロ、転がった僕。あぁこのまま底辺まで転げ落ちるのかなぁー……
なんて。今度は襟首を掴まれた。
「ッ……!」
なんと言いますか、ここで新キャラ登場!みたいなことはなく、じゃあ誰なのよ、
ということになりますが、まぁあまり引っ張る意味もないのでそれは小百合だった。
二つの目に涙を浮かべながら、僕のことを真直に捉えている。僕は捕らえられている。襟元を思い切り握り締めているせいか、小百合の手は白くなっていた。マウントポジションを強引に獲られていた。
ぞくぞくする!……みたいなヘンタイ的嗜好は僕にはない。
「ねぇ、いつまで、逃げ……てるの。もういいでしょ。早くしなよ。涼夏、あなたが、なにを、したっていうのさ。涼夏はなにもしていないでしょ。罪悪感を感じる必要は、ないんだよ。あなたは、なにもおかしていない。罪を擦り付けられただけ。冤罪だよ。濡れ衣だよ。周囲の人達は、まだ誤解しているかも、しれないけれど、私は、違うよ。涼夏を疑うことなんか、一刹那も一瞬たりともしていないよ。ウソじゃないよ。いつだって、私は、涼夏の味方だよ。だから、そんな悲しい顔なんかしないで」
僕はどんな顔をしているのだろう。
「あなたは、なにも、していないじゃない。罪を犯したのは別のヤツ。ちゃんと報道されたのは知っているでしょ?目ぇ、逸らさないで、ちゃんと確認してよ。周りの人、皆がみんな敵って訳じゃないでしょ。獅子崎さんは、涼夏のことを変な目で見てた?見ていないよね。分かってくれている人だっているんだよ。だから、だからこそ、自分は正しいことを証明した方が良いじゃん!そんな風にずっと人と関わらないで生きていくつもりなの?誰も誰一人信用しないで生活していくつもりなの?そんなのただのガキじゃん。子どもでしかないよ。頼り、頼られるのが人でしょ。人とは支えあうように書くでしょ。なのにそれを放棄していたら、ずっと今のまま停滞しっぱなしだよ」
僕は停滞しているのかな。停止しているのかな。
漂っているのかな。動いていないのかな。
「ねぇ涼夏、なんか喋ってよ。なんか話してよ。なんか言ってよ。私を納得させてよ!」
「…………………………」
僕は。
「そうやってなにもしなければ誰かが構ってくれると思ってるの?残念でした。
甘えるなよ。
みんながみんな、そういう風に思っている訳じゃないんだよ。分かっているよね。理解している上での行動なんだよね。ねぇ。ねぇ!」
小百合の演説のような長い言葉。例えるならば、少し怒りがこもっているピンク、それに悲しみの空を十倍くらい薄めたような水色、さらに不安期待心配危険……ぐるぐると混ざりあって混沌となってカオスとなって、なのに整理整頓されている不思議な色。パレットに全部の色をぶちまけたのにも関わらず、温かい。暗色にして寒色にして危険色なのに暖色のような。