メール
僕がメールを受けとったのは午前12時を回った夜遅くなのだけれど、考えてみて明らかに『おやすみメッセージ』のようなものではなかった。まぁそれは多分時差の影響かな?向こうではまだ夕方くらいなのだろうか。それについては全く知らないけれど、違う別のことは知っている。
僕はもう普通の中学生ではないことを。
なんて言ったら、ただの変態ナルシストさんにしか聞こえないかもしれないけれど、でもそれが本当のことだし。言い訳なんて出来ない程の事実であり真実である。
事真である!いや、訳分かんないね。
さて、残念モードに入ってしまった僕は、周りの人からはただの痛々しいガキンチョにしか見えないだろうけど、そんなのどうでもいい。
だって、その方がいつまででも現在の状態を維持出来るし変わらないですむ。後退はないだろうけれど、前進もない。悪い方に転がることもないけれど、良い方に傾くことも絶対ない。
現状維持。
いいじゃん。
別に。
楽だし。
誰かに迷惑を掛けることも掛けられることも、ない。
たよられたいけれど。
ぶつかりあってケンカして仲直りすることも、ない。
とても寂しいけれど。
街に出掛けることもなければ、家で遊ぶこともない。
とても虚しいけれど。
なんで今日(厳密に言えば昨日)はあんなことをしたのだろうか。
だって。
だって、だって、だって。
僕の中にあるのは音楽を……!という感情、よりは強迫観念に近い。逆にやらないと不安である。それも2週間くらいで我慢出来なくなった。目の前の手に届く範囲にあるROOK。クラシックとは別の道。
いつも眼前に鎮座している月を手中に収めたいような衝動。
「でも、ダメだよな~」
ふぅ、溜め息をついた。ぶんなぐられた。右頬を。
多分、横から全力で走ってきて、そのまま全体重を拳に乗っけてきたような重み。思みの籠もった一撃、だと思う。
当然のことだけど、僕は地面を転げ回った。ゴロゴロゴロゴ口。
痛い。いたい。イタイ、のは僕。