学校
ありがとうございます!
なんか鬱ですね
どうせ、ね。いいんだよ。僕がバカにされてるだけだし。
「涼夏ぁ!入部届書いた~?」
廊下に出たところで小百合から声を掛けられた。クラスの人達なんか無視して普通に小百合は話しかけてくれる。僕の過去なんて全く意に介さないような感じで。それはそれは嬉しいけどね。でも。
「入部届って……(部活は)なにするの?」
「ナニするって、こんな真っ昼間から……」
両手を赤らむ頬に当てながらくねくねと身体を動かしている様は、ちょっと以上に傍にいてほしくないランキングNo.1を見事にかっさらいそうだ。
「………………」 ジト目で応戦すると、
「いいよ~もっと、ぁっ、もっと~!」
今度はぶるぶると身悶えながら恍惚の表情を浮かべていた。むう、なんと言いますかエロいな。
取りあえず気にしないことにして手を洗って教室に戻った。
…………
で、放課後になった。適当にかばんの中へ教科書を突っ込み帰ろうとすると、教室から出たところで時雨にばったりと会った。
「あ!」
「…………」
視線を逸らして、気付かなかったことにして、帰ることにした。
「待て~!お兄ちゃんはなんで逃げるんだよ~。
今日もくるんだろ?三音くるよな?なら一緒に行こ~!」
そう言うなりすぐさま僕の手をとり引っ張るようにして連れていかれた。
「…………」
また来てしまった。もうギターを触らないと決めていたはずなのに。
失敗したことを取り戻すことなんて出来やしないのに。
「おっ、ボウズ。また来たんだな。うんうん、いいんじゃないか?」
「…………」
昨日のことを思い出してしまう。あんなに楽しい時間をまた体験したいと、経験したいと。
でも、ダメなんだよ。あれは一瞬の気の迷い。ほんの出来心。
二度目は、ない。
「ん~?そんな暗い顔なんかしなさんな。
ほらボウズ、昨日弾いてたやつ、弦、張り替えておいたぞ。
前の弦もう何年も取り替えてなかったからサビサビになってぞ。感謝するこったな。
あぁ、あと手入れ道具も一通り揃えておいたから持ち帰って練習してもいいぞ」
四季さんは僕に、早速弾いてくれ、って感じで促してきている。
そんなにも親切にしてくれないでくれ。
僕は。