朝
なんか面白くないですね
すみません
ピピッピピッピピッピピッ
最も普遍的なデジタル時計の電子音で代わり映えのないはずの今日も目覚めた。
歯を磨くため洗面所のドアを開けた。
「あっれ~朝、早……」 バタンッ!
即座にドアを閉めた。なにかが僕の視界に入った気がしたけれども、それを認めてしまったらなんだか良くないことになること間違いなく、rolling stonesのように坂道を転げ落ちるように残念なことになりかねない。むしろ、シマウマのようなツートンカラーの車に乗っている人達のお世話になるところだ。
ききおぼえのある声は気のせいだと願いたい……!
そう悶々と悩みに悩みぬいているのにも関わらず、
ガチャ
「なんで閉めるのさ~」
「服を着ろぉお!!」
悩みの元凶が顔を出した。
「ち、ちょっと~お姉さんの顔を見るなり泣きだすなんて、寂しかった?」僕の言葉は堂々と無視ですか。
上目使いに尋ねられても全然全く悉く違いますから。
にじりよるようにして小百合は僕に近づいてくる。手をワキワキと怪しく動かしているので、ぜひとも直ちに逃げだしたい。
「もうっ!涼夏ったら照れなくてもいいのにさっ、むふふふふふ」
明らかにおかしい、笑い方が絶対におかしい!
「それ~っ!」
掛け声と同時に飛びかかってきた。なす術もなくつかまえられる僕。
「あぁ、涼夏のほっぺたってなんでこんなにやわらかいんだろう?もう食べてしまいたいなぁ~」
僕は必死に抵抗をしてみせるが、全く意味をなさず。といっても両腕をぶんぶんと振り回すことしかしてないけど……
………………。
「で、なんで小百合が僕の家の中にいるわけ?不法侵入でお巡りさんにわんちゃんプレイでもさせられたいのかな?」
ひとしきり僕のほっぺたをこねくりまわし十分に満喫した小百合の肌なんだかさっきよりもつやつやしているように見えた。人の許可なくほっぺたとか触んじゃねぇよ。別に嫌ってわけじゃないけど。
「なんでってぇ~鍵を開けたんだよ~」
「なんで僕の家の鍵を持ってるわけ?」
「そ・れ・は!女は鍵穴であって、それを無理矢理開けるのも優しく開くのも男の技量しだいってこと~」
「誰が下ネタの話をしろと言った!ていうかそれ、全然答えになってないから!その方式でいくなら僕が『鍵』で小百合の方が『鍵穴』だろ!?」
「やだ、小百合が『穴』だなんて……」
「そんなこと一言も言ってないから!」
なんでこうも会話にならないのだろう。
「そんな涼夏!強引に開けようとしないで、いやっダメ~~~!」
「僕はなにもしていないよね!なんにもしていません!勝手に身悶えないで!」
とにもかくにも、話は進展しない。