おしまい。
はい、おしまいです。
う~ん、どうだったでしょうか……?
さて、やるべきことがあるな。
「小百合」
「ん?」
超絶至近距離にいる小百合を肌で感じながら目を閉じて深呼吸。鼻から空気を吸い込み、口から放出。
ぱっと目を開けて、
「今までごめんな、心配とか迷惑とかかけて……」
「…………」
「いつもいつも気にかけてくれて……」
「…………」
語彙が貧弱であることが恨めしいけど、これが僕の精一杯。
「な~に言いやがりますかぁ~! このこのぅ!」
僕の背中をばしばしと叩いてきた。すっと、体が軽くなった気がした。
…………
「お、なんだボウズ、戻ってきたのか?」
三音の安っぽいパイプ椅子に座りながらあのギターのメンテナンスをしている四季さんが話しかけてきた。
四季さんは慈しむような愛でるようにギターを眺めていたが僕に気付くと、ぱっと顔を上げた。
「はい、戻ってきました。……あの、さっきのギターの件なんですが……」
「ん~?いいぞ持ってけ。ついでに言うとな、そのギターはお前の親父が使っていたやつなんだぞ。知っていたか?いや、知らんよな。
最初にお前がそれを選んだ時はびっくりしたぞ。まさかな、と思ったほど、だ。なんだろうな、巡りあわせなのかな。お前も菘も……」
「お父さんが……」
父さんが弾いていたギター。じゃあ最初に触れた時のあの人は……
「で、これからどうするんだ? 軽音部、入るのか?」
僕は大きな声で返事をした。
「はい!!」
おしまい。