短編3:隕石の影と南海トラフ
前書き
この物語は、私が知り得る範囲で入手が容易な公開情報――ニュースや論評、地震訓練や国際政治の動きなど――をもとに、あくまで「整合性があるように見える物語」として構築したものです。
しかし、現実と混同しないでください。
作者である私は、しばしばネガティブ思考に陥ります。
「もし本当に最悪の事態が起きたら、自分はどう生き延びることができるのか」
その問いに向き合うために、科学、政治、自然災害の断片をつなぎ合わせ、フィクションとして描いています。
結果として物語は現実味を帯びて見えるかもしれませんが、これはあくまで創作です。
未来を予言するものでもなく、特定の個人・団体・国家を批判するものでもありません。
これは、私自身が「可能性」を想像し、精神的に備えるための試みであり、同時に読者の皆さんにも「もしも」の状況を考えるきっかけを提供できればと願って書かれたフィクションです。
1. 序章 ――退職者たちの沈黙
NASAの若手職員、アレックスは奇妙な現象に気づいていた。ここ数か月、ベテラン職員の退職が相次ぎ、理由は「ワクチン義務」や「家族の事情」といった曖昧なものばかり。
だが、残された端末の一部には暗号化されたデータが残されていた。
彼は封印を破り、ファイルを開く。そこに記されていたのは、巨大隕石の軌道予測。
そして落下地点は――中国東部、沿岸部の巨大工業都市の沖合だった。
2. 予測と沈黙
その隕石の直径は数百メートル。海に落ちれば、大規模な津波が発生し、周辺国家にも甚大な影響を与える。
アレックスは上層部に報告したが、返ってきたのは冷淡な一言だった。
「記録を封印しろ。公表すれば世界経済が崩壊する」
なぜか同僚も口を閉ざす。だがアレックスは、別の国の動きを調べて愕然とする。
3. 日本の異常な訓練
アメリカの同盟国、日本。
数年前から「南海トラフ巨大地震」を理由に、毎年のように国を挙げた津波避難訓練を行っていた。
テレビでも「30年以内に70%の確率」と繰り返し報道され、人々は当然のようにその危険性を信じていた。
だが、アレックスが入手した内部通信記録にはこう書かれていた。
「津波避難訓練の強化を継続。対象は主に太平洋沿岸。公式説明は“地震対策”とすること」
アレックスの背中に冷たいものが走る。
――本当の目的は「地震」ではないのではないか?
4. 隠された予行演習
もし隕石が海に落下すれば、その衝撃で発生する津波は南海トラフの想定を超える。
だが、人々に「隕石による津波」と告げれば混乱は避けられない。
だからこそ「地震」を口実にして、津波避難のシミュレーションを国民規模で行っているのではないか。
「まさか……日本政府は、すでに隕石の存在を知っている?」
アレックスの疑念は強まる。だが確証を得る前に、太陽フレアの影響で観測機器の一部がダウンし、正確な落下予測は困難になっていった。
5. 落下の日
そして予測された日。
巨大隕石は、大気圏突入後に爆ぜながらも、なお莫大な質量を伴い、中国沿岸の沖合に墜落した。
海は盛り上がり、壁のような津波が周囲に広がる。沿岸都市は壊滅的な被害を受けた。
だが、想定よりはるかに早く避難が進んでいた地域もあった。
アレックスは情報網を通じて知る。
――日本の沿岸部では、驚くほど速やかに避難が行われ、被害が限定的に抑えられていたのだ。
6. 残された謎
後日、アレックスは再び退職者のファイルを見直す。そこに短い一文が残されていた。
「日本の津波訓練は、南海トラフ地震のためではない」
その意味を考えるだけで、背筋が凍りついた。
人類はいつから、この危機を知っていたのか。
そして、なぜ真実を隠し続けたのか。
7. 終章 ――沈黙の未来
被害は甚大だったが、人類は滅びなかった。
しかし、アレックスの胸には深い疑念が残る。
もし政府が「未来の危機」をすでに知っているのなら――、次に備えて行われている「訓練」は、いったい何のためなのか。
彼は静かにモニターを閉じ、震える声でつぶやいた。
「これは…地震の国の物語じゃない。隕石に備える、世界の予行演習なんだ」
あとがき
この物語のプロットは、酔った勢いでYouTubeのサムネイルを眺めているときにふと浮かんだ疑念から始まりました。
「日本政府は、実は何が起きるのか知っているのではないか?」――そう感じた瞬間、関税や隕石、南海トラフ地震といった断片がひとつに結びつきました。
当初はコロナワクチン関連の延長線で考えていましたが、政府の対応や世界情勢を観察するうちに、「どうもこちらのほうが本命なのではないか」と思える方向に発展していきました。
この短編は、その思考実験の産物です。
断片的な情報から想像を広げただけのフィクションですが、私自身の「なぜこうなるのか」という違和感と、そこから派生する不安や推測を形にしたものです。
最終的に、これらをつなぎ合わせて短編集としてまとめていきたいと考えています。




