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プロローグ 聴きたい
どうしてあなたのピアノはこんなに綺麗なのかな。
どうしてあなたの音はそんなに澄んでいるのかな。
一度は音楽から離れたわたしに、もう一度触れたいと思わせたくれたのはこの音。
こんなに音に恋をしたことはない。
いつも朝の七時になると聞こえるこの音色は、わたしが学校で一番楽しみにしている音。
いつもドアを隔てて隠れて立ち聴きするだけだけど、いつかあなたには演奏会を開いてほしい。
その時はちゃんと向かい合ってあなたの音を聴く。
全身であなたの音を浴びて、全力で拍手を贈るから。
だから、ピアノ、やめないでね。