格好良いだけが人生じゃない。
きょうは、エリプシ様の学会発表。ここの異世界なら誰もが知ってるはずの作曲家に対して、なにか言えることがあるのか…
「(๑╹◡╹๑ …)<こんにちわ。新年あけましておめでとうございます。発表者のエリプシです」
「(๑╹◡╹๑ …)<獣人語の通訳はくおてしょんさん、亜人語の通訳はせみころーんさんです。お二方よろしくお願いいたします」
「"(/^ω^)/"&(。^_^。;)<にゃーん!!」
〈よろしくおねがいします〉
「(๑╹◡╹๑ …)<トム・ジョンソンさんが去年亡くなられました。85歳でした」
「(๑╹◡╹๑ …)<ミニマリズム四天王のライク、グラス、ヤング、ライリーは日本でもかなり早い段階で受容されました。しかし、その批判的後継者だったフェルドマン、テン・ホルト、ジョンソン、マクガイヤーの人気は日本では高くなりませんでした」
「(๑╹◡╹๑ …)<このミニマル後継者の作が劣っているということは決してないのですが、日本でもミニマル後継者はそれなりにおり、需要がなかったということだったのでしょう」
「(๑╹◡╹๑ …)<ジョンソンさんが亡くなられたことで、いまミニマル後継者の最後の人物はマクガイヤーさんだけです。その彼もすでに80代です」
「(๑╹◡╹๑ …)<ピッチクラスセット理論も終わり、ミニマル後継も終わり、その次はアメリカン即興がロスコー・ミッチェルを最後に終わりを告げようとしています。このままでは、アメリカ合衆国発の現代音楽のパレットは完全に消えるかもしれません」
「(๑╹◡╹๑ …)<それはアメリカが怠けているから、あるいはサボっているから消えるのではありません」
「(๑╹◡╹๑ …)<もうかっこいい文化の時代が地球的規模で終わってしまうのかもしれません」
「¿゜=゜¿<ゑー!」
「(。・_・。;)<失礼だぞ!」
「(๑╹◡╹๑ …)<冷静に考えてください」
「(๑╹◡╹๑ …)<ジョン・マクガイヤーさんはいつ活動のピークを迎えられましたか」
「(。・_・。;)<1970年代です」
「(๑╹◡╹๑ …)<その頃、日本はどんな音楽水準でしたか」
「(。・_・。;)<ブーレーズのオーケストラ曲はほとんど上演できなかった」
「(๑╹◡╹๑ …)<だから、現代音楽は生存権利があったのです。ほら、こんなに地方や田舎の水準は遅れているぞ。我々が進めて差し上げよう」
「(๑╹◡╹๑ …)<インターネットやパソコン通信がない頃は、こう言って文化を進めたのです」
「(๑╹◡╹๑ …)<ミニマリズム四天王が一世を風靡した1960年代。日本はどこまで貧しかったのですか」
「(。・_・。;)<歌謡曲のコードチェンジミスがそのままになっていた」
「(๑╹◡╹๑ …)<その35年前は」
「(。・_・。;)<FrimlのSong of The Vagabondsでは対位法のミスは見られないのに、川崎豊と曽我直子の蒲田行進曲では対位法のミスがそのまま収録されてしまっている。オリジナルスコアを所持していなかったのだろう。また、オリジナルスコアにも連続五度がそのまんま」
「(๑╹◡╹๑ …)<このように、庶民の暮らしは貧しいものでした」
「(๑╹◡╹๑ …)<だからこそ、現代の音楽は地球で一番かっこいいものでなくてはならない。戦争は1945年に終わった」
「(๑╹◡╹๑ …)<人々は、ひたすらにかっこいいかっこいい旋律を求めたのです」
「(๑╹◡╹๑ …)<ドナルド・ジャッドさんは、死ぬまで作風を一切変えませんでした。格好良いものこそが芸術であると。だからこそミニマル美術が世界一であると」
「(๑╹◡╹๑ …)<その、格好良さが1990年代まで引きずられていると人々はどう思うでしょうか。日本に関する限り、2000年代からコンビニエンスストアが目立ってまいりました。貧困層の子どもでも熱心に格安スマホとにらめっこの日々がやってまいりました」
「(๑╹◡╹๑ …)<Formulas for String QuartetのIVを聴いてみてください」
「(๑╹◡╹๑ …)<なにか思うところはありますか」
「彡/(゜)(゜)<1990年代になんでこんなことしとるんや」
「(∅)<普通の音楽ですよね」
「|^ω^|<ただの旋律ですね」
「(๑╹◡╹๑ …)<お気づきになられたと思います。もうかっこいいかっこいい旋律の時代は1990年代に終わってしまっていたのです」
「(๑╹◡╹๑ …)<完全に無駄や虚飾を排し、格好良い文化しか認めないと言い切ってまで現代音楽の実験は続きました」
「(๑╹◡╹๑ …)<が、1990年代に入ると、どうやらこれはおかしいとみんなが気づき始めたのです」
「(๑╹◡╹๑ …)<人間社会は、まただっさいだっさい旋律の時代に回帰するのではないかと」
「(。・_・。;)<そんなの嫌だあ」
「(๑╹◡╹๑ …)<無駄や虚飾が切り取られてしまうのですから、正解は一つしかありません。そうやってよくできた旋律が生み出されたところで、その輝きが30年も持つはずがありません」
「(๑╹◡╹๑ …)<全日本吹奏楽連盟作曲コンクールすら2021年に廃止になりました。人類はまただっさいだっさい旋律に回帰していったのです」
「(๑╹◡╹๑ …)<どうしてだっさいだっさーーい旋律に人類は回帰してしまったのでしょうか」
「(๑╹◡╹๑ …)<これについては、どこの音楽学者も明快な回答を出していません」
「(๑╹◡╹๑ …)<やはり、だっさいだっさい旋律とかっこいいかっこいい旋律との間に、大差はなかったと人類は回答を出してしまったのです」
「〼<えー」
「(๑╹◡╹๑ …)<冷静に」
「(๑╹◡╹๑ …)<貧しいからみんな努力したんです。ところが、一定の豊かさが実現してしまうとどうなるんでしょうか」
「(๑╹◡╹๑ …)<ある人々はプール付きの家に住みたいかもしれません。けれども、そのプールは誰が清掃するのでしょうか。維持費も大変でしょう。使用人も雇わないといけません」
「(๑╹◡╹๑ …)<そこまでの豊かさは欲しくない…。漫画の登場人物のセリフのようですが、地球上が全てこうなり始めたのです。これは1980年代に『ベルリン・天使の詩』を撮影したヴィム・ヴェンダース監督もおっしゃられていました。1980年代になると、東京だろうがロンドンだろうがベルリンだろうがみんな同じだと」
「(๑╹◡╹๑ …)<2020年代になると、ユトレヒトだろうが名古屋だろうがフォートワースだろうがみんな一緒」
「(๑╹◡╹๑ …)<これを私はQOL満足度100%と定義しております。100%の次に101%はないのです」
「(๑╹◡╹๑ …)<アマゾンですぐ古本が配達されてやってくるまで豊かになりすぎてしまった日本が、だっさいだっさい旋律の時代に回帰するのは当たり前だと思っていました」
「(๑╹◡╹๑ …)<あのBen NobutoがなぜPromsで一世を風靡したのか。理由は一つしかありません。だっさーーーい旋律とこれまただっさーーーーいエレクトロニクスが思いっきり受けてしまったのです」
「(๑╹◡╹๑ …)<あのNobutoの曲を振るElim Chanの嬉しそうな顔。どうですか。みんながだっさーーーい旋律を求めているのです」
「(๑╹◡╹๑ …)<ミニマリズムが終われば、だっさーーーい旋律に戻った。ただそれだけだったのです。今後の地球上の紛争次第では、また、かっこいいかっこいい旋律の時代に戻るかもしれません。人類は進歩しません」
「(๑╹◡╹๑ …)<以上で報告を終わります」
「来場者A<(ぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱち)」
「来場者B<(ぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱち)」
「来場者C<(ぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱち)」
「来場者D<(ぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱち)」




