7/24 タマゴボーロ
今日の雷雨はあまりに唐突だった
音を聞くだけで自分が打たれているかのようで 年柄にもなく怯えてしまった
娘は目を丸くしつつも 少し楽しそうにしている
昭和の人間にしてみれば 異常なほどの気象も
経験がないこどもには それほど驚くことではないらしい
普段ならば 私も雷ごときで不安にはならない
色々と理由があるのだ
どれほどもがいても 抜け出せない
強烈な思考の沼に落ちていて
あまりにも仕事が進まないと 弱音を吐くと
娘がタマゴボーロの最後の小袋を差し出してくれた
一番好きなおやつだと言いながら 口に放り込んでいる
幸せそうな顔をみて ありがたくいただくことにした
粉っぽくてホロホロと崩れる 優しく甘いお菓子は
不安な私の心も溶かしてくれるようだった
ろくな結果も出せない自分を責めてばかりいたが
娘の優しい心を育んだ それで充分な人生である気がした
それに パントリーの最後の一袋を母に譲ったとて
また買ってもらえるだろうと 娘が期待する程度には
ゆとりある生活が営めている それも一つの成果だ
なるほど、充分ではないか
これまで納得がいかなかったものが ストンと落ちる
私の心を楽しく快く
それでいて悪く蝕むものに 退場してもらった今
大きく切り取られた手術跡は痛む
しかし 不安は要らない もうこれ以上傷つくこともなくなったのだから
私は回復しようとしている
そして より強いものになろうとしている
いつしか雲は去り 太陽がでていた