蒼炎の理由
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「あ、それ聞いちゃうか」
ベルフェゴールが不味そうに頭を少し掻く
「聞いちゃだめでした?」
「いや、別にいいんだけど」
ベルフェゴールはカップを一度あおって話し始める
「いやぁ、アイスはウチらがこうやってそのまま現世に出てきた時に、本来の力のどの位が出せるかしってる?」
「確か、一割位…ですか」
「そう、よく知ってるね」
「師匠に教えて貰いましたから」
アイスを指差しベルフェゴールは褒める
「じゃあ憑依したときは?」
「確か半分ほどで、完全に憑いたら七割位でしたっけ?」
「大当たりぃ、流石はアレの弟子だ」
また当てたアイスをベルフェゴールは今度は肩を叩いて褒める
「で、まぁここからが本題だ」
「はい」
アイスは焚火に薪を足しながら返事をする
「昔話だ。アイツ、アメリアは完全憑依を自分で制御できた」
「あの、闘技場でやってたあれをですか⁉」
アイスは驚きで目を丸くしながらも、少し興奮していた
「あぁ、前のアメリアは自由にウチを呼んで完全憑依。それで戦ることが多かった」
「師匠が完全憑依を使うほどの相手がそんなにいたんですか?」
「居た。昔はまだそんなに冒険者が居なくてな、迷宮がそこら中にゴロゴロあった。それこそ、町を出て十分歩いたらある位にね」
「それを片っ端から攻略して、ボスを倒し続けた…ってことですか」
更に興味をそそられたアイスは真剣に聞き入る
「そう。迷宮のボスの難易度はピンキリだが、強いのに当たった時はアイツは喜んで戦ってたよ」
「ハハハ、今の師匠からじゃ想像できませんね」
「それはアイスがアレの本気を見たことが無いからだね」
微かに笑いながらベルフェゴールは語り続ける
「それは、どういうことですか。あの天使がくっついてたエルフと戦ってた時も本気じゃなかったんですか?」
「そうだよ。あの時、アメリアは笑いながら戦ってなかっただろ」
「はい、でもそれが普通ですよ?」
アイスは、少しづつ引き気味になりながらも聞き続けようとする
「アイツはそうじゃないんだよ。アイツは死が近い戦い程興奮する、いわば隠れ戦闘狂だね。普段はあんな感じでダラけ切ってるけど」
「本当なんですか、それ」
「当然本当だよ、普段は面倒だから戦闘は避ける。けど始めたら一番楽しむ。まぁ要はただの変態だ」
ベルフェゴールはサラッとアメリアの悪口を挟みながら語り続けた
「それで、なんでそれが師匠が(蒼炎)って呼ばれる理由になるんですか」
そこで、アイスが気になったことを率直に投げかける
「アイツが使うあの太刀、炎を纏ったのをこの間見たよね?」
「見ました。赤い火が剣から出ていて凄かったです」
「あの炎も昔は蒼かったんだよ。ひたすら、例えるものが無い程美しいくらいに」
うっとりとした顔を浮かべながらベルフェゴールは焚火を見つめる
「あの太刀を振るたびに揺れてた蒼、もう一回見てみたいなぁ」
「でも、なんで今は出せないんですか」
「うん。やっぱりそこなんだよね」
残念がりながら、ベルフェゴールはカップの紅茶を一気に飲み干す
「まぁ、理由はあるけど……」
「やっぱり、聞いちゃ不味いですか?」
「うん。ウチは良いけど、やっぱりアイツは弟子に聞かれたくないだろうし」
「そうなんですね」
アイスは少し落ち込む
「ま、今のままでも十分強いけどね。ウチの契約者は」
ベルフェゴールがそう明るく言い放つ
「ですよね、今でも強いですもんね」
「ん。じゃあ茶も飲んだし、そろそろ戻ろうかな」
「そうですか。おやすみなさい」
「おやすみさん」
ベルフェゴールはぶかぶかの三角帽をかぶって消えた
「じゃあ、僕もねますか」
アイスがテントに入り、ゆっくりと横たわる
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