序
この世界は元々9つの国があった。それはいがみ合うために存在する区分ではなく、各種族が棲みやすい土地を求め、そこに集落を作ったことから始まる。
大きな家が9つ建っていると想像してみれば分かりやすいだろう。仲の良いご近所でも住む家は一緒ではなく別々である。ただそれだけの仕切り。
お互いに助け合い、敬い合い、侵害することなく平和に暮らしていた。
そんなある時、悪意を持った者が現れた。その悪意は瞬く間に世界中に広まり、混沌が生まれた。
悪意を蔓延らせたその者は、ひとりの亜人であった。
亜人は元々力を持たず、慎しく暮らす種族であった。手先の器用さと知恵によって道具や家屋を作る技術を他の種族に伝授する役割を担っていた。
その亜人族が悪意に侵された途端に他の種族を蹂躙し始めた。力の持たない亜人族が全土を支配できたのは、他の種族が持たないあるひとつの能力の存在があったからだ。
それが魔法である。
元々魔法は人を癒す役割で使われた特殊能力であった。しかし悪意を得るとそれは人を攻撃し、傷つける道具となった。
彼らにしか使えないこの魔法という圧倒的な力によって、亜人族は他の種族を支配するに至らしめた。
そして9つの国すべての頂点に亜人族が君臨し、国民を支配するようになった。
国を統べる9人の亜人、そのうちのある者が提案した。
「この世界はもう既に亜人族のものだ。実に愉快である。そして……、実につまらない。
そこで、互いの国を賭けて戦ってみないか。
なに、単なるゲームだ。誰が多くの国を支配できるか。そんなゲームをしようではないか」




