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ヨキは石の城の前でみんなを労いながら、次の作戦を話し合っていた。
海岸線のほうからブヒゾウとブヒタロウが肩を組んで笑いながら向かってきている。
それをヨキは微笑ましく眺めた。
「で、それが何だって?」
ヨキは目の前に差し出された魔法石に目を向けた。紐のついた魔法石が左右に揺れている。
「そう、その魔法石! それがとんでもないものであることが判明したの!」
ビョウブはメガネを輝かせて舞い踊った。
悪意の取れたビョウブは細身で顔立ちも整い、美しさのある男性になっていた。少しくねくねしてはいるが。
「魔法石は魔法の効果を閉じ込めるってことは知ってるわよね?」
「ああ」
「わたしが持っていたこの魔法石も魔法を閉じ込めたのは見たでしょう?」
「見たよ」
「そう! そしてその際にヨキちゃんの善意の力も一緒に閉じ込めたわよね?」
「ヨキちゃん……」
「普通なら石の中で混ぜ合わさって、善意の力だけが残りそうなものじゃない?」
「……まぁ、そうだね」
「ところが! この魔法石を見て! 紫色の中に緑色の円が出来て、更にその中に白い色が見えるでしょ?」
ヨキは目の前にぶら下がった魔法石を眺めた。確かにビョウブの言うような配色をしている。
「確かに。不思議な色合いだ」
「そう! これはつまり、魔法石は魔法をそのままの形で留めていることになるの。別の魔法は別のまま」
「ふぅん。……で?」
「あら、これってすごいことよ!
いい? 本来魔法石はひとつの魔法の効果を閉じ込めるためのものなの。それを相手に投げつけると魔法と同じ効果を発揮するというアイテムなのよ。
だけどわたし、魔法を吸収する道具として使ったの。ヨキちゃんたちの魔法も吸い取ったでしょ?」
「吸い取ってたね」
「そしたらすごいものが出来上がっちゃった」
ビョウブは「ノモーン」と呼んだ。
ノモンがのそりのそりと近づいてきた。
「どうしたんでぇ、ビョウブ」
ビョウブは魔法石を投げた。
「これを受け取って」




