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目を覚ましたブヒゾウは目の前に座っているカナに気付いた。
「カナ殿……」
ハッと我に返り、自分の悪意が取り除かれたことに気づいた。
ブヒゾウは足を正し、深く頭を下げた。
「申し訳ございません、カナ殿! 自分が不甲斐ないばっかりに!」
カナは微笑んでブヒゾウの肩に手を添えた。
「いいの。ブヒゾウは悪意に侵されただけだから」
「でもオイラがもっとちゃんとしていれば……」
「それでも守ろうとしてくれたでしょ。覚えてる? 悪意に感染しても守ろうとしたんだよ」
「…………なんとなくですが覚えています」
「嬉しかったよ」
「…………カナ殿」
ブヒゾウは周りを見渡した。
ネコ族国ミャーザ・ワッケンジーにある石造りの城前にいる。
朝陽が昇り、濡れた地面が煌びやかに輝いていた。
城にいたブタ族たちは解放され、穏やかな笑顔を見せている。オーラの見えないブヒゾウにも平和が訪れていることは肌で感じた。
「あのトラと亜人は?」
カナは指を差した。傍で談笑している巨体のトラがこちらに気付いて寄ってきた。
「おう、目が覚めたか、若いの」
ノモンはブヒゾウの肩をバシバシと叩いた。
悪意が抜けて体はひとまわり小さくなったが、それでも他の者に比べて群を抜いて大きく、力が有り余ってる様子だ。ヒゲに触れながら豪快に笑っている。
「オレと張り合うなんざ、あんちゃんは勇気あるなぁ」
ノモンは強引にブヒゾウの手を取ると、固く握手した。
「また力比べしような」
そう言い残して去っていった。
ネコ族の大将を治したことで、ネコ族は解放された。
ヨキ達がこの攻防戦を制したということが確定した。




