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この異世界は悪意しかない!  作者: 浅見青松
第3章 ミャーザ・ワッケンジー国編
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33


目を覚ましたブヒゾウは目の前に座っているカナに気付いた。


「カナ殿……」


ハッと我に返り、自分の悪意が取り除かれたことに気づいた。

ブヒゾウは足を正し、深く頭を下げた。


「申し訳ございません、カナ殿! 自分が不甲斐ないばっかりに!」


カナは微笑んでブヒゾウの肩に手を添えた。


「いいの。ブヒゾウは悪意に侵されただけだから」


「でもオイラがもっとちゃんとしていれば……」


「それでも守ろうとしてくれたでしょ。覚えてる? 悪意に感染しても守ろうとしたんだよ」


「…………なんとなくですが覚えています」


「嬉しかったよ」


「…………カナ殿」



ブヒゾウは周りを見渡した。

ネコ族国ミャーザ・ワッケンジーにある石造りの城前にいる。

朝陽が昇り、濡れた地面が(きら)びやかに輝いていた。


城にいたブタ族たちは解放され、穏やかな笑顔を見せている。オーラの見えないブヒゾウにも平和が訪れていることは肌で感じた。


「あのトラと亜人は?」


カナは指を差した。(そば)で談笑している巨体のトラがこちらに気付いて寄ってきた。


「おう、目が覚めたか、若いの」


ノモンはブヒゾウの肩をバシバシと叩いた。


悪意が抜けて体はひとまわり小さくなったが、それでも他の者に比べて群を抜いて大きく、力が有り余ってる様子だ。ヒゲに触れながら豪快に笑っている。


「オレと張り合うなんざ、あんちゃんは勇気あるなぁ」


ノモンは強引にブヒゾウの手を取ると、固く握手した。


「また力比べしような」


そう言い残して去っていった。


ネコ族の大将を治したことで、ネコ族は解放された。


ヨキ達がこの攻防戦を制したということが確定した。


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