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一部始終を傍観し、何が起きたか疑問だらけのカナはヨキにたまらず尋ねた。
「ねぇ、どうしてヨキは治ったの?」
ヨキは自分の体を見つめた。
「僕の体は魔法を無意識に無効化してしまう。だからカナのヒールも効かないようだ」
「うん、それは分かったけど……」
「だからビョウブはカナのヒールを悪意でくるんだ」
「悪意でくるむ……?」
ヨキは頷いた。
「僕の体は魔法を弾くのではなく、体の側面に当たった瞬間に効力を消してしまうようだ。けれど悪意に関しては僕の体に入ってから浄化される仕組みらしい」
カナは理解しようと黙って聞いていた。
「だからビョウブは、カナのヒールを悪意の玉の中に入れ込んで僕の体に入れ込んだんだ。カプセル錠剤みたいなものだ。もしくは大福、みたいな?」
ヨキは眠るビョウブに目を向けた。
「悪意の玉は僕の体の中に入って浄化され、ヒールだけが残り、それが体内で効果を発揮した」
他人に説明するのは難しい。ヨキは感覚で自分の体の仕様がなんとなく分かった。
ビョウブは倒れながらも、ヨキの体の構造を見つめ、仕組みを読み解いたのだろう。
自分も知らなかった体の謎を自分が瀕死の状態で見抜くとは、さぞ頭の切れる男だろうとヨキはビョウブに感心した。
ビョウブと相対していた際の言葉がヨキの脳裏を過り、改めて自分の体を見渡した。
「悪意を取り除く力だけを持った、弱っちい普通の体、か……」
ヨキは深くため息をついた。
「僕も運命の駒だと言うなら、もっと規格外の力を与えてくれればよかったものを」




