表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この異世界は悪意しかない!  作者: 浅見青松
第3章 ミャーザ・ワッケンジー国編
85/161

30


ビョウブは血まみれになった口を歪ませた。

カナは怒りを(あらわ)にビョウブに叫んだ。


「なにをしたの!」


カナは涙で声を震わせ、ビョウブを(にら)んだ。


「やっぱりあなたは何か企んでたんだ! そんな体になってもヨキを!」


「やめろ、カナ」


耳元で声がした。振り返ると、衰弱していたはずのヨキが起き上がろうとしていた。


訳が分からずカナは困惑した。


ヨキの顔は元のように血色が良くなっている。


何が起こったか分からないまま、けれどヨキが無事であることを確信した束の間、カナはヨキへ抱きついた。


「うわーん、ヨキ!」


ヨキは照れながらもカナを抱きしめ返した。


「僕は大丈夫だ」


カナは体を離してヨキに尋ねた。


「何が起こったの?」


ヨキは倒れているビョウブに目を向けた。


「まずはあいつを治してくれるか?」


「えっ?」


「あいつが僕を治してくれたんだ」


カナは訳が分からなかったが、ヨキの言うことに素直に従った。

体に刺さった大剣は既に消えており、ビョウブは地面に倒れている。


カナはヒールをかけた。ビョウブの体が緑色に包まれ、背中の傷が癒えてゆく。


ビョウブは体をゆっくりと起こした。

体にはまだ紫のオーラがある。


ビョウブはヨキへと目を向けた。


「……先に悪意を取り除いたほうが良かったのではないですか?」


ヨキはビョウブと相対して笑った。


「ちょっと試したかったのかな。土壇場で裏切るかどうか」


ビョウブもまた笑った。


「用心深いですね。命の恩人に対して」


「自分で回復魔法を使うことは出来ないのか?」

ヨキはビョウブに尋ねた。


ビョウブは癒えた傷口部を(さす)った。


「この状態では残念ながら」


カナがそうであったように、悪意に侵されている場合は攻撃魔法だけ、善意の際は回復魔法だけしか使えないようだ。


ヨキはそんなおどけたビョウブの体に触れた。


「ありがとう……」

ヨキはそうビョウブに(つぶや)いた。


ビョウブの体から紫のオーラが(はら)われ、ビョウブは微笑みを浮かべながらその場に倒れ込んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ