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ビョウブはしたたかに笑った。
「魔法石というのは魔法の効果を閉じ込める性質があります。残念でしたねぇ」
ブヒゾウの前に立ち塞がったビョウブがヨキとカナを見据えた。
「しかし、悪意に侵された仲間に率先して魔法を、しかもヒールを放つとはどうも解せませんねぇ。他の仲間を先に治すならまだしも」
ビョウブは顎に手を添えて考えを巡らせた。
そして何かを思い出したかのように辺りを見回した。そして目が合う瞬間に溝に隠れた顔に気付いた。
「あれはまさか、ケージ?」
一瞬だけ見えた法衣を纏った少女、しかし自分の知っているケージの姿をしていない。
「見間違い……ですか」
ビョウブは瞬きをせずにメガネを上げた。
「いや、もしあれが悪意の抜けたケージの姿だと仮定すると……」
悪意の消えていた門番のブタ族、ケージ、そして目の前の悪意のない亜人2人。
何かに閃き、ビョウブは堪えきれずに笑い出した。
「なるほど、面白い! このゲームにはジョーカーが存在するんですか!」
カナはビョウブの言葉に引っ掛かった。
「ゲーム?」
ヨキは先程ケージの言っていたことを思い起こし、カナを一瞥した。
「悪意をばら撒いているのは、こいつらのゲームだったらしい。そして今行われているのは誰が一番領土を広げられるかの国取りゲームだと」
「なにそれ!?」
カナはたまらず憤慨した。
「さっきケージに聞いたんだ。こいつらはそんなことのためにみんなを、世界を巻き込んでいるって」
ビョウブは神経質そうに口を曲げて笑った。
「やはりあの者はケージでしたか。おしゃべりですね。しかし早々に彼女は脱落したみたいですね」
ビョウブは眼前のヨキに目を向けた。
「あなたのせいで」
ヨキは何も答えなかった。
「先程から奇妙な動きばかりで理解に苦しんでいましたが、ようやく合点がいきました」
ビョウブはヨキを指差した。
「あなた、悪意を取り除く力を持っているんですね?」




