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この異世界は悪意しかない!  作者: 浅見青松
第1章 はじめの村編
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「ヨキ様……。ヨキ様とおっしゃるのですね!」


ブヒゾウはえらく感心したように(うなず)いた。

ブヒタロウはピンと来ない様子で首を傾げた。


「ふーん、変な名前でげすね」


「お前が言うな!」とヨキは突っ込んだ。


ブヒタロウに拳骨(げんこつ)を食らわせた後、ブヒゾウは少年に改めて頭を下げた。


「ヨキ様、折り入ってお話が……」


「ん?」


「その力でオイラ達の村を救ってくれませんか?」


「村?」


「はい、ここから南東へ進んだ所にあるんです。おそらく皆、悪意のオーラに(おか)されているはずです」


ブヒゾウはオーラを見ることが出来ないが、邪気があることは感じ取れていたようだ。

体がひとまわり大きくなり、邪悪な顔つきをしているのであるから、すぐに見分けられるのだろう。


「ブヒタロウ、どうだ? 村の者は紫のオーラがあったか?」


ブヒタロウは頭を(さす)りながら即座に(うなず)いた。


「はい、あったでがす。全員紫でござんした」


「全員か……。村に何人いるんだ?」


「えっと……50人ほどです」とブヒゾウは答えた。


「50人もいるのか? 全員を触るのはちょっと無理じゃないか?」


この2人だけであれだけ苦労したことを考えると、50人相手だとさすがに厳しいだろうとヨキは不安を覚えた。


「はい! はい!」


突然ブヒタロウが手を挙げた。


「どうした?」


「あのですね、ブヒノスケを治せば、みんな元に戻ると思うでげす」


「ブヒノスケ?」


名付けた奴、誰だよ……。

ヨキは名前のセンスに(あき)れた。


ブヒゾウが割り入って説明を加える。


「ブヒノスケは村の(おさ)です。祭りの日に力自慢で勝った者が、長となる習わしで」


「ほう、長か。で、どうしてそのブヒノスケとやらを触れば治るんだ?」


ヨキが尋ねるとブヒタロウは得意気に鼻を膨らませた。


「ブヒノスケが初めに紫になったでがす」


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