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この異世界は悪意しかない!  作者: 浅見青松
第3章 ミャーザ・ワッケンジー国編
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「ブヒタロウのサンダー?」


ヨキはブヒタロウの様子をうかがった。当の本人は地面に倒れ、伸びている。失神しているようだ。


「いや、あいつ、サンダー食らってるよ?」


ケージはヨキに説明を加えた。


「雨の中でサンダーを放つと、本人も感電するんだよね」


「そんな仕様なの!?」


何とも恐ろしい。


しかし、倒れている者と倒れていない者がいるのはなぜだろうか、とヨキは考えた。

倒れていないのは、ヨキとケージ、カナ、ビョウブである。


「亜人ばかり? いや、そうか、靴を履いているからか!」


感電を免れたのは偶然だったということだ。

それに加えてケージが補足する。


「靴を履いていても感電はするよ。ヨキは魔法が効かない体質だから大丈夫だったみたいねぇ」


「他の人は?」


「カナと私は法衣のおかげだよぉ。そしてこの子も無事」


イワンニコフは相変わらず眠っている。岩は感電しないようだ。


「カナ! 大丈夫か?」


ヨキが声を掛けると、戸惑いながらも(うなず)いた。


「う、うん。ちょっとピリッとしたけど大丈夫」


亜人ビョウブは驚いているようだが無事なようだ。外見からは黒いコートのようにしか見えない服装だが、彼も恐らくは魔法使い、法衣を(まと)っているようである。


ヨキは辺りを見渡し、体勢を整えた。


「とにかく今がチャンスだ。そうだ、今の要領でサンダーに善意の力を込めれば、地面を魔法が伝ってブヒゾウやノモンをこの位置からでも治せるぞ」


ケージは首を振った。


「わたし、サンダー使えないって。悪意を失ってから攻撃魔法は使えなくなったのぉ」


「あ、そうだった」


カナもケージも攻撃魔法は使えないんだった。


ケージは倒れているブヒタロウを見つめた。


「なぜかブヒタロウちゃんだけは攻撃魔法が使えるんだよねぇ。ホント、不思議な子」


ヨキはとにかく今の好機を逃さぬべく、カナの元へと走り寄った。

ぬかるみが所々に出来ている。雨は一気に降ったあと、効力を失って止んでいた。


「今のうちにブヒゾウを治そう!」


「う、うん」


2人はブヒゾウへと駆け寄った。地面に倒れているブヒゾウ。

ヨキに肩を支えられ、カナは魔法をブヒゾウへ放った。


「ヒール!」


ブヒゾウへと魔法が届く前に、目の前に立つ者がそれを制した。


「何する気ですか?」


立ちはだかったのはビョウブであった。


善意の力を含んだ魔法はビョウブの体に触れる前に、首から提げられた石によって吸収された。


その光景を見ていたケージが溝のなかから(にわか)に叫んだ。


「あれは、魔法石!」


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