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サントーリオが何度も旋回していたせいで、上空には雲が発生し、激しい雨が降り出した。
サントーリオは思いがけないことに自分でも驚いていた。
ブヒタロウに懸命に突っ込んでいたら、体に熱を帯びていたようだ。
「おお、まさか私ひとりで上昇気流を起こせるとは!
これは明日は雪が降るな。なんて小粋なジョークを言いまして……」
ブヒタロウはそんなサントーリオの言葉は耳に届いておらず、何度も旋回したせいでフラフラになっていた。
「サ、サントーリオさん、ちょっと休憩するでがす。降ろしてほしいべ……」
目を回して地上へ戻ることを要請した。
「諦めるんですか?」
「と、とにかく、一度降りて、うぷっ」
喉の奥から込み上げる不快感に襲われ、ブヒタロウは地上に降り、善意の剣を置いて四つん這いになった。
「うげぇぇ」
カナとミャーサはその姿に呆然としていた。
「なにやってるミャ?」
「さ、さあ……」
ブヒゾウはブヒタロウの魔法、というかビールやデミグラスソースを浴びたことによってベタベタになった体を雨で落として体を震わせた。水しぶきが辺りに飛んだ。
そして目の前に蹲ったブヒタロウと背中を擦って介抱するサントーリオを見つけ、槍を構えて突進した。
ネコ族大将ノモンは体勢を立て直し、カナとミャーサへ再び照準を定め、四つん這いになって後ろ足で地面を蹴り、ものすごいスピードで体当たりしようと突進した。
ケージと話をしていたヨキはノモンの猛進に気付いて叫んだ。
「カナぁ! 危ない!」
サントーリオに背中を擦られ、ブヒタロウは息も絶え絶えに呟いた。
「き、気持ち悪い……」
「大丈夫ですか?」
その時にブヒタロウはブヒゾウが迫って来ているのが目に入った。咄嗟に善意の剣を掴もうとしたが、雨で滑って手から落とした。
「サ、サントーリオさん! ひとまず逃げるべ!」
ブヒゾウは槍を2人に振りかざした。
「は、早く! 一時退散だべ!」
ブヒタロウが叫んだが、ブヒゾウの槍がいち早く襲いかかり、ブヒタロウは抵抗出来ずに思わず目を閉じた。
と、
その時、眩い閃光がバチッという音を立てて地上一体を走り抜けた。
その光は一瞬で地上全体を覆い、そこにいるすべての人間の体を突き刺した。
ノモンもブヒゾウも、ミャーサ、ブヒタロウやサントーリオ、ネコ族に至るまでその閃光に体を撃ち抜かれた。そしてその場に次々に倒れ込んだ。
「な、何が起きたんだ?」
何も感じなかったヨキは状況を把握出来ていなかった。
ケージは冷静に今の閃光の出所を分析した。
「今のは、ブヒタロウちゃんの魔法サンダーだねぇ」




