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この異世界は悪意しかない!  作者: 浅見青松
第3章 ミャーザ・ワッケンジー国編
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22


ブヒタロウはサントーリオの体に(また)がって空中に逃れて旋回していた。


闇を飛び、最初はフラフラしていた鳥目のサントーリオであったが、城前は松明(たいまつ)()かれているため、地上を望む視界は保てているようだ。


「ここからどうするべ……」


ブヒタロウは地上を見下ろしながら、策を練っていた。サントーリオは提案した。


「善意の剣を持っていますよね? ブヒタロウ殿の魔法を使えば、おひとりでも悪意を取り除けるのでは?」


「……そうだけんど、もし攻撃魔法の威力が強ければブヒゾウを傷つけちまうべ。オイラ、まだ強さの調節が出来ないべ」


「カナ様のようにヒールは使えないのですか?」


「…………やったことはないべ」


「しかしやってみないことにはブヒゾウ殿を救えませんぞ?」


ブヒタロウは地上のブヒゾウを見つめた。


「…………そうだべな」


決意を固め、ブヒタロウはサントーリオに告げた。


「よし、ブヒゾウの頭上付近まで下降するべ」


(かしこ)まりました!」


サントーリオは羽ばたきを止め、体に畳むように翼を閉じた。そしてブヒゾウの頭上まで落下するように急降下した。


地上のブヒゾウは襲うべき相手を探すようにうろうろしている。


ブヒタロウは左手に善意の剣を持ち、右手をかざした。ブヒゾウの頭頂部が近づく。


「ブヒゾウ、今、治してやるべ」


右手をかざし、ブヒゾウに放った。


「ヒール!」


その瞬間、ブヒタロウの右手から液体がドバドバと(あふ)れ出て、ブヒゾウの頭を濡らした。シュワシュワと地面が泡立ち、ホップの香りが立ちこめる。


サントーリオは思わず突っ込んだ。


「それ、ビールじゃないですか!」


「あ、あれ?」とブヒタロウはあたふたと動揺した。


サントーリオは一度上空へと飛び直し、再び急降下した。


「今度は頼みますよ!」


「わ、わかってるべ」


ブヒゾウの頭に右手をかざした。


「ヒール!」


ブヒタロウの右手から、くねくねした物体が大量に出て、ブヒゾウの頭に落ちていった。


「いや、それ、(ヒル)じゃないですか!」



カナとミャーサはブヒゾウの頭上でくるくる回っているサントーリオを見つめていた。


「なにやってるミャ?」

「さ、さぁ」


そののちもサントーリオの声が何度も空に響いていた。


「それ、シールじゃないですか!」


「いや、それはショーツ!」


「それはデミグラスソース! ……って原型ないじゃないですか!」


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