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ブヒタロウはサントーリオの体に跨がって空中に逃れて旋回していた。
闇を飛び、最初はフラフラしていた鳥目のサントーリオであったが、城前は松明が焚かれているため、地上を望む視界は保てているようだ。
「ここからどうするべ……」
ブヒタロウは地上を見下ろしながら、策を練っていた。サントーリオは提案した。
「善意の剣を持っていますよね? ブヒタロウ殿の魔法を使えば、おひとりでも悪意を取り除けるのでは?」
「……そうだけんど、もし攻撃魔法の威力が強ければブヒゾウを傷つけちまうべ。オイラ、まだ強さの調節が出来ないべ」
「カナ様のようにヒールは使えないのですか?」
「…………やったことはないべ」
「しかしやってみないことにはブヒゾウ殿を救えませんぞ?」
ブヒタロウは地上のブヒゾウを見つめた。
「…………そうだべな」
決意を固め、ブヒタロウはサントーリオに告げた。
「よし、ブヒゾウの頭上付近まで下降するべ」
「畏まりました!」
サントーリオは羽ばたきを止め、体に畳むように翼を閉じた。そしてブヒゾウの頭上まで落下するように急降下した。
地上のブヒゾウは襲うべき相手を探すようにうろうろしている。
ブヒタロウは左手に善意の剣を持ち、右手をかざした。ブヒゾウの頭頂部が近づく。
「ブヒゾウ、今、治してやるべ」
右手をかざし、ブヒゾウに放った。
「ヒール!」
その瞬間、ブヒタロウの右手から液体がドバドバと溢れ出て、ブヒゾウの頭を濡らした。シュワシュワと地面が泡立ち、ホップの香りが立ちこめる。
サントーリオは思わず突っ込んだ。
「それ、ビールじゃないですか!」
「あ、あれ?」とブヒタロウはあたふたと動揺した。
サントーリオは一度上空へと飛び直し、再び急降下した。
「今度は頼みますよ!」
「わ、わかってるべ」
ブヒゾウの頭に右手をかざした。
「ヒール!」
ブヒタロウの右手から、くねくねした物体が大量に出て、ブヒゾウの頭に落ちていった。
「いや、それ、蛭じゃないですか!」
カナとミャーサはブヒゾウの頭上でくるくる回っているサントーリオを見つめていた。
「なにやってるミャ?」
「さ、さぁ」
そののちもサントーリオの声が何度も空に響いていた。
「それ、シールじゃないですか!」
「いや、それはショーツ!」
「それはデミグラスソース! ……って原型ないじゃないですか!」




