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「騒がしいと思ったら何事ですか? ……まぁ、一番うるさいのはノモンですけど」
ノモンの横で塞いでいた耳から手を放し、ビョウブは後ろに手を回した。
「おや、なぜ悪意が消えているんでしょうか?」
ビョウブは倒れた門番のブタ族に紫のオーラを纏った玉を投げつけた。ブタ族の体に再び悪意が植え付けられた。
そして頭を抱えるブヒゾウにも紫の玉を投げつけた。ブヒゾウの体は新たな悪意を吸収した。
「ぐおおおお!」
ブヒゾウは苦しみの声をあげて体を震わせた。いや、それは恍惚から来るものかもしれない。
ブヒゾウの体がより引き締まり、強靭さを帯びている。
ビョウブは四方に倒れ込んでいたヨキ達に気付いた。
「亜人とトリ族、ブタ族……。何の団体ですか? しかも悪意がありませんねぇ」
ビョウブには悪意のオーラが見えている。悪意をばら撒く側、そして長には見えるようだ。
異例なのはヨキと、ブヒタロウだけだ。
ビョウブはブヒゾウへと近づいた。
「早く仕留めしなさい。あなたの役目ですよ」
ブヒゾウは洗脳されたように無言で槍を拾うと、ヨキ達に向けて身構えた。
「ブヒゾウ!」
ブヒタロウが思わず叫んだ。
ビョウブはその呼びかけを聞いて関係性を察知する。
「なるほど、仲間、ということですか」
ビョウブは隣に佇むノモンの腰を叩いた。
「ノモン、あの者たちを叩きのめしなさい」
ノモンは言われるがまま拳をぶつけ合わせ、巨体を前へと進ませた。
ヨキはカナの体を起こし、近づくノモンを見据えた。
「カナ、あいつに頼むぞ」
カナはノモンに向けてヒールを放った。
しかしノモンは反応早く四つ足になって駆け出し、魔法を躱した。
「うそ、あの体で!?」
獣ならではの驚異的なスピードで駆け、身動きの出来ないカナとヨキに突進した。




