表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この異世界は悪意しかない!  作者: 浅見青松
第3章 ミャーザ・ワッケンジー国編
70/161

15


一行は荷車を置いて、ブヒゾウが連れ去られた方角へ急いでいった。

普段は遅れがちなブヒタロウも、この時ばかりは弱音を吐かずに懸命に駆けていく。


ヨキはブヒタロウを試すような発言をしたことに若干胸を痛めていた。

けれどケンカ別れしたようなまま助けに行っても、ブヒタロウは無駄な強がりを引きずってしまうかもしれない。


はっきりとした決意を芽生えさせるためにも、(とげ)の含んだ言い方をせねばならなかった。


互いが大切な存在であることを思い出してほしい。

腐れ縁とはいつまでも続く強固な絆である。

腐れ縁は腐らない。



(さら)われた状況を目撃したサントーリオと、ミャーサを筆頭としたネコ族が先導して、ブヒゾウが連れ去られた場所に目星をつける。


「この方角だと西にある土の古城かニャ」

「あそこに連れていくのはなんでミャ?」

「あそこはブタ族の根城ニャ」

「ブタ族を集めているのかミャ」

「そうニャ、おそらくブタ族の部隊に入れるつもりニャ」


「どうしてブタ族を集めている?」

ヨキはネコ族に加わって尋ねた。


「知らないミャ。きっと他の国を侵略するためじゃないかミャ」


トリ族の国では内乱が起こっていたが、確かに国によっては他国へ矛先を向けることは大いに考えられる。

それにブヒゾウは参加させられたのだろうか。


心配が募る。

しかし有力な情報は得られた。


「よし、ミャーサ。隠密(おんみつ)でその古城を目指そう。案内してくれ」


「了解ミャ」




潜入は闇に(まぎ)れるのが鉄則だが、目の()くネコ族が相手では、夜間は分が悪い。

他の種族が足を引っ張ることになる。


しかし既に夕暮れ時に差し掛かっていた。

夜を避けて朝まで待つか、強行突破するか、判断が迫られる。


常にそわそわしているブヒタロウ、早くブヒゾウを助けたいヨキ。朝まで待つ選択をするつもりはなかった。

こちらも夜に強いネコ族がいる。向こうにも夜に弱いブタ族がいる。


ネコ族を先頭にぬき足さし足、暗がりを進み、このまま襲撃することに決めた。



「ここを通れば手薄ミャ」


窪地(くぼち)になった草むらが続いている。陽が落ちて冷たい風がその溝に集まっている。

寒さの苦手なネコ族なら夜半はここを通らないと、ミャーサ含めネコ達はこの道を薦めた。


ネコ族一行は薄目で歩いていた。集団で目を細めていると今にも寝てしまいそうな頼りない顔に見える。


「……なにしてんの?」とヨキはその細目集団に尋ねた。


ミャーサは目を細めたまま答えた。


「目が光っちゃうミャ」


なるほど、こちらが相手を発見しやすいと同様に、向こうも見つけやすいということか。


「みなさんどこですか? 見えないんですけど!」

サントーリオは歩きながらキョロキョロしている。


「しっ! 騒ぐんじゃない、サントーリオ」


「その声はヨキ様。私、鳥目に加えて、元々近眼で、更に乱視でして……」


「だから静かに!」


「モゴモゴ……」


ヨキはサントーリオの(くちばし)(ふさ)いだ。




一行は慎重にこそこそと進んでゆく。

ここを進めば古城の堀まで一直線だ。


「誰ニャ!」


窪地の上から突然声がした。そこには紫のオーラを(まと)ったネコ族だった。


「たまたま通ってみたら、不審者発見ニャ」


警戒を充分していたつもりでもイレギュラーは対応できない。


ヨキは深くため息をついた。


「たまたま通るなよ……。ネコ族は本当に気まぐれで困る……」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ