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この異世界は悪意しかない!  作者: 浅見青松
第3章 ミャーザ・ワッケンジー国編
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ひとまずミャーサとケージを置いて旅立つことになった。方角は分かっているし、細かい地形は分からないが、海を目指せばお目当ての物にもありつけるだろう。


サントーリオが上空から視察し、ブヒゾウとブヒタロウが荷台を押してゆく。

前は力持ちのブヒゾウが()き、後ろからブヒタロウが押している。


「ところでこの剣の効力は試されたのですか?」とブヒゾウが尋ねた。


ヨキが荷車に添って歩きながら答えた。


「もちろんだ。ブヒタロウの魔法で。ちゃんと魔法を無効化したから効果は実証済みだ」


「……ブヒタロウの魔法の威力だからでは?」


ブヒゾウの言い草がブヒタロウは気に食わなかったようで声を張った。


「オイラの魔法だってちゃんと威力はあるべ!」


ブヒゾウは荷車を止めて振り返った。


「火を()けたり、ジュース冷やしたりばかりだろ?」


「それも立派な魔法だべ」


「なら、オイラにかけてみろ。あんな小さい火なんて鼻息で吹き消してやる」


「なにを!」


2人をカナが(なだ)めた。

「ほら、ケンカしないの!」


ヨキは意に介していなかった。

「ほっときな。悪意あるケンカじゃないみたいだから」


2人には紫オーラがないので単なるケンカだ。

無邪気なケンカはただのじゃれ合いみたいなものである。ヨキは別段心配していなかった。




2人はその後しばらく口をきかずに黙々と荷車を牽いた。意外とケンカは尾を引いているようだ。


カナがブヒゾウに添って歩いていた。

「2人は仲良いんだね」


ブヒゾウはカナに言われて不機嫌な表情を少し和らげた。


「…………すんません、みっともないものを見せちまって」


「ううん、微笑ましく見てたよ。2人はずっと一緒だったんでしょ?」


ブヒゾウは前を向いたまま答えた。


「……小さい頃からの腐れ縁です」


「ブヒゾウがお兄ちゃんで、ブヒタロウが弟って感じたよね」


「なら、あいつは出来の悪い弟です」


「そんなこと言ったらブヒタロウがかわいそうだよ」


カナに言われても、ブヒゾウは態度を変えなかった。


「あいつは何も考えず行動して、失敗して。それをオイラがいつも助けてやってた」


「ブヒゾウを頼っているんだよ」


「頼る必要なんてないのに」


「なんで? 突き放すことないでしょ」


ブヒゾウはゆっくりと首を振った。


「いや、違うんです。あいつは……、あいつはオイラに頼る必要なんてないんです」


「なんだ、心ではちゃんと一人前って認めてるんだね」


ブヒゾウはゆっくりと首を振った。


「いや、そうではなくて。あいつには誰にも真似できない才覚があるんです」


「才覚?」


ブヒゾウは目の前の景色を見ながら答えた。


「そう、見ただけで人の能力を一瞬で盗んでしまうという特異な才能が」


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