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この異世界は悪意しかない!  作者: 浅見青松
第3章 ミャーザ・ワッケンジー国編
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かくしてヨキの善意の力を含んだ魔法を閉じ込めておく武器、シカの角製の剣の製作が進められた。


鍛冶屋の力を借り、試行錯誤を繰り返す。

削っては失敗し、掘っては砕ける。

ブタ族の鍛冶屋は力が強いが、繊細な加工は苦手なようで、力の入れ具合に苦労していた。


そしてまた砕けた。

「うおおお、また折れたぁ!」


そもそもシカの角はブーメランや小刀に使われる素材のようで、剣を作るのには向いていなかった。

ヨキも削る加工を手伝い、少しずつ剣は理想の形になっていった。



幾度かの失敗ののち、遂に試作品が完成した。


けれど実際に使えるものは3本。


角の強度には個体差があり、穴を空けると(もろ)さが増し、少しの衝撃で砕けてしまうものもあった。


その中で、(ようや)くうまくいった、なけなしの3本であった。




「これが『善意の剣』ですか」


ブヒゾウはその試作品の1本を手にして、振ってみた。

(つか)から刃に当たる部分まで一本の角を削って作られている。


「随分と軽いですね。斬れ味は?」


ブヒゾウは試しに足元の雑草を切ってみた。雑草は剣の勢いで(しな)うだけで、切れることはおろか、傷ついてもいない。


「…………」


「まぁ、『なまくら』だけどね」

とヨキは笑った。


「これで戦えるんですか?」


そう()くブヒゾウにヨキは(さと)すように言った。


「ブヒゾウ、これは相手を傷つけるためのものじゃない。治すためのものなんだよ」


ブヒゾウは心構えを正され、目を見開いた。


「この剣を持つ以上、そのことは肝に銘じておいてくれたまえ」


ヨキは刀を伝授する師範のように偉ぶってみせると、ブヒゾウは(かしこ)まって敬礼した。


「分かりました!」


ブヒゾウの表情に決意と奮起が湧き上がっていた。




「それで次の目的地はどこでしょうか?」


ブヒゾウが尋ねると、ヨキは親指を立てた。


「隣国、ネコ族の国、ミャーザ・ワッケンジー国だ」


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