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ブヒゾウは呆気にとられて少年を見つめた。
「い、いったい何を?」
「ブヒゾウの時と同じだよ。体から悪意のオーラを取り除いたんだ」
「あ、悪意のオーラ?」
「そ。体から出ている紫のもやもやだよ」
「もやもや?」
ブヒゾウは不可解な表情を浮かべている。
「まさか、見えなかったのか?」
「オ、オイラには何も……」
他の者には見えない……?
あれだけ特徴的に発せられているのに?
「とにかく、ブヒタロウ……だっけ? しばらくすれば起き上がるよ」
ブヒゾウは安堵の溜め息をついて再び少年に頭を下げた。
「ありがとうございます!」
「いやいや、ブヒゾウが彼を止めてくれたから、簡単に触ることが出来たんだ」
「触る?」
ブヒゾウは不思議そうに尋ねた。
「そう、その悪意のオーラを纏う者の体に触ると、邪気が祓われるみたいだ」
少年は右手のひらをブヒゾウに見せた。
「触れると?」
「そうみたい。そういう力を持ってるらしい」
「なんと!」と ブヒゾウは目を見開いて驚いた。
少年は説明しながらもブヒゾウの反応に共感した。
そりゃ驚くよな。
僕だって、なんでこんな力を持っているか分からないんだから。
「うーん……」
倒れていたブタ族が起き上がった。
「ブヒタロウ!」
ブヒゾウは近寄って、体を支えた。
「大丈夫か?」
ブヒタロウは目を擦ってブヒゾウに気付いた。
「あれ、ブヒゾウ。おはよう」
「おはようじゃない。今は昼だ」
「そっか。じゃ、こんにちは」
「そういうことじゃない」
……なに、この会話。
少年は2人のやり取りに心で突っ込んだ。
「オイラ達は森に来てたんだ、覚えてるか?」
そう言われてブヒタロウは、ようやく先ほどまでのことを思い出した。
「あ、そうだった」
「そしたらこのお方に助けていただいたんだ」
ブヒゾウが僕のほうへ目を向けると、ブヒタロウは慌てて正座した。
「あ、それはそれはご苦労様でがす」
「バカ! 『ありがとうございます』だろ!」
「ありがとうございますです」
なんか、間の抜けたタイプだな……。
でも……悪意は完全に抜けたのが伝わる。
少年は自分の力を再確認した。
「オイラはブヒタロウと言うでがす。助けてくださって感謝しておるです」
「……うん……まぁ、語尾はおかしいけど、気にしないでくれたまえ」
少年が笑っていると、ブヒゾウが間に入って説明した。
「この方が悪意のオーラというものを我々から追い払ってくれたそうだ」
「悪意のオーラ?」
ブヒタロウは頭を傾げた。
このブヒタロウに説明するのは難しそうだと少年は頭を捻った。
どう理解させようか。
けれどブヒタロウはブヒゾウの一度の説明を受けてポンと手を叩いた。
「ああ、あの紫のモクモクしたやつだべ?」




