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この異世界は悪意しかない!  作者: 浅見青松
第3章 ミャーザ・ワッケンジー国編
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復興に(ともな)って、都の鍛冶屋が再開していた。

元々武器は争いのために作られたわけではなく、狩猟の道具としてこの国では作られていた。


その鍛冶屋をヨキとケージが訪れていた。


「魔法石?」


「そう。魔法を閉じ込めておける鉱石」

ケージが作業場に並べられた宝石に目を奪われながら説明した。


「それがあれば魔法を閉じ込めた武器が作れる?」


「作れるよ。でもぉ、魔法石ってめっちゃ希少なんだよねぇ。どこにあるか一部の人しか知らないし、一部の上級魔法使いだけしか持ってないのぉ」


「ケージは上級じゃないの?」


「わたし? 上級だけど持ってない」


ケージは赤い法衣を(ひるがえ)してみせた。位によって法衣の色が違うらしい。

見習いは白、上級は赤ということのようだ。


「そっか……」


ヨキは期待していたものが得られず落ち込んでいた。自分の能力を魔法に付与して、それを閉じ込めた武器を作れれば、誰でも簡単に悪意を取り除けると踏んでいた。


しかし実際にはそう簡単にはいかないらしい。


能力を封じ込める……。


その時、急に頭の中に(ひらめ)いたことがあった。


「ちょっとブヒタロウを呼んでこよう」



ブヒタロウを訪ねると、炊事場で陶器のコップを手にして座っていた。

腹が膨れ、口の周りに何やらソースのようなものがついている。


「ヨキ様、どうしたでげすか?」


「探したぞ。またごちそうになったのか?」


「断るのは逆に失礼でげすから」


「ったく、調子いいこと言って」


都の人々にとってはブヒタロウは重宝されている。魔法を使えるブタ族という稀有(けう)な存在であり、ブヒタロウも人に頼られることが嬉しくて、どこにでも手を貸しに出向いている。


人懐っこい性格も相まって、ブヒタロウはちょっとした人気者となっていた。


ブヒタロウは食事の後の一服をしているようだ。


「何飲んでるんだ?」


ブヒタロウはコップを口にした。


「トリ族特製のミミズジュースです。結構ウマいでがすよ。飲みますですか?」


「い、いや、やめとく」

ヨキはすぐさま遠慮した。


「そんなことよりヨキ様、見ていてくださいです」


ブヒタロウはコップに右手を掲げた。


「ブリザード!」


コップの中に氷が出来た。


「ほら、これで冷たく飲めるです」


「…………良かったな」


魔法の使い方がどうもおかしい。


「それでオイラに聞きたいことって?」


「ああ、そうだった。ちょっとナイフを見せてくれ」


「オイラの?」


「そう。なんか他の人のものと違うよな」


ブヒタロウは急に目を輝かせた。


「さすがヨキ様、お目がデカい」


「『高い』な」


「高い。これはでげすな、オイラが作った自慢のナイフなんでがす」


そう言って、ナイフを取り出してヨキに見せびらかせた。


「ちょっと見せてくれ。これは(なに)で出来てるんだ?」


ブヒタロウは鼻を膨らませた。


「シカの角でげす」


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