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復興に伴って、都の鍛冶屋が再開していた。
元々武器は争いのために作られたわけではなく、狩猟の道具としてこの国では作られていた。
その鍛冶屋をヨキとケージが訪れていた。
「魔法石?」
「そう。魔法を閉じ込めておける鉱石」
ケージが作業場に並べられた宝石に目を奪われながら説明した。
「それがあれば魔法を閉じ込めた武器が作れる?」
「作れるよ。でもぉ、魔法石ってめっちゃ希少なんだよねぇ。どこにあるか一部の人しか知らないし、一部の上級魔法使いだけしか持ってないのぉ」
「ケージは上級じゃないの?」
「わたし? 上級だけど持ってない」
ケージは赤い法衣を翻してみせた。位によって法衣の色が違うらしい。
見習いは白、上級は赤ということのようだ。
「そっか……」
ヨキは期待していたものが得られず落ち込んでいた。自分の能力を魔法に付与して、それを閉じ込めた武器を作れれば、誰でも簡単に悪意を取り除けると踏んでいた。
しかし実際にはそう簡単にはいかないらしい。
能力を封じ込める……。
その時、急に頭の中に閃いたことがあった。
「ちょっとブヒタロウを呼んでこよう」
ブヒタロウを訪ねると、炊事場で陶器のコップを手にして座っていた。
腹が膨れ、口の周りに何やらソースのようなものがついている。
「ヨキ様、どうしたでげすか?」
「探したぞ。またごちそうになったのか?」
「断るのは逆に失礼でげすから」
「ったく、調子いいこと言って」
都の人々にとってはブヒタロウは重宝されている。魔法を使えるブタ族という稀有な存在であり、ブヒタロウも人に頼られることが嬉しくて、どこにでも手を貸しに出向いている。
人懐っこい性格も相まって、ブヒタロウはちょっとした人気者となっていた。
ブヒタロウは食事の後の一服をしているようだ。
「何飲んでるんだ?」
ブヒタロウはコップを口にした。
「トリ族特製のミミズジュースです。結構ウマいでがすよ。飲みますですか?」
「い、いや、やめとく」
ヨキはすぐさま遠慮した。
「そんなことよりヨキ様、見ていてくださいです」
ブヒタロウはコップに右手を掲げた。
「ブリザード!」
コップの中に氷が出来た。
「ほら、これで冷たく飲めるです」
「…………良かったな」
魔法の使い方がどうもおかしい。
「それでオイラに聞きたいことって?」
「ああ、そうだった。ちょっとナイフを見せてくれ」
「オイラの?」
「そう。なんか他の人のものと違うよな」
ブヒタロウは急に目を輝かせた。
「さすがヨキ様、お目がデカい」
「『高い』な」
「高い。これはでげすな、オイラが作った自慢のナイフなんでがす」
そう言って、ナイフを取り出してヨキに見せびらかせた。
「ちょっと見せてくれ。これは何で出来てるんだ?」
ブヒタロウは鼻を膨らませた。
「シカの角でげす」




