表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この異世界は悪意しかない!  作者: 浅見青松
第3章 ミャーザ・ワッケンジー国編
56/161


ブヒタロウは魔法の鍛練に勤しんだおかげで、魔法をコントロール出来るようになっていた。


「ブヒタロウさん、お願い」


都の者に言われ、ブヒタロウは得意気に手をかざした。


「ファイア!」


手から炎が飛び出し、(たきぎ)が燃え上がる。(かまど)に火がついた。


「ありがとう。これで食事が作れるよ。お礼に食べていってよ」


「ふっ、どういたしましてでがす。いただきますです」


ちょっと火をつけることくらいしか出来ないけれど。




修復作業が進められている電波塔の丘で、ブヒゾウは腰を下ろし風に吹かれていた。ブヒゾウもトンディーク国の復興を手伝い、力作業に日々勤しんでいる。


「お疲れさま、はい、オレンジジュース。もらってきたの」


「カナ殿。ありがとうございます」


カナは隣に座った。ブヒゾウはもらったジュースで喉を潤した。


「だいぶ直ってきたね」


ブヒゾウは忙しなく働くトリ族たちを眺めた。


「みんな早く直そうと息巻いてます」


「ブヒゾウは力持ちだからどこでも引っ張りだこだね」


ブヒゾウは木製のコップで揺れるオレンジジュースの水面を眺めた。


「ブタ族は力仕事くらいしか出来ないですから」

ブヒゾウは自嘲(じちょう)するように(つぶや)いた。


「そんなことないよ。他にもたくさん活躍してるよ」


ブヒゾウはカナにそう言われても表情に陰を落としていた。


「…………そうでしょうか」


語気の弱いブヒゾウがカナは気に掛かる。


「どうしたの、ブヒゾウ」


ブヒゾウは同じ一点を見つめたままだ。


「……オイラは何も役に立てていません」


「なに、急に」


「トリ族と対した森の時も、この丘の上でも、ヨキ様やカナ殿のお力になりたいと思っているのに、何も出来ない。

悪意ある者に触れることが出来ないから逃げてばかりで。オイラは足手まといでしかない」


「そんなことないよ。トリ族を介抱してくれたじゃない」


「介抱は誰でも出来ます!」


思わずブヒゾウは声を荒げた。


「ブヒゾウ……」

カナが眉を下げたので、ブヒゾウは後悔と共に感情を落ち着かせた。


「すみません……。カナ殿にこんなこと……」


ブヒゾウは思い詰めてため息をついた。


「ブヒタロウは魔法が使えるようになって、これから役に立っていくでしょう。ヨキ様もブヒタロウに期待していました。でもオイラは……」


「縁の下の力持ちも大事だよ」


ブヒゾウはカナの励ましに納得していない様子だった。


「オイラは自分の力でカナ殿を守りたい」


ブヒゾウの強い想いがカナに伝わった。けれどそれを素直に喜べない(しこ)りをカナは抱えていた。


「どうして?」


「どうしてって……」


「だってわたしはブヒゾウの村にヒドいことをしたんだよ?」


ブヒゾウはそれに対して首を振った。


「それはカナ殿が悪意に侵されていただけです」


「そうだとしても……許されることではないよ」


「許すも許さないも、あなたを恨む者などいません」


「ブヒゾウ……」


「あなたはブヒノスケに悪意を感染させたかもしれません。けど、村の者を傷つけたり、いたぶったりしなかった。

それはきっとカナ殿の本来の優しさですよ。オイラはそんなカナ殿の優しさを、ただ守りたいんですよ」


カナは温かいブヒゾウの言葉が素直に嬉しかった。


「ありがとう」


「あ、いや……」


カナに笑顔を投げ掛けられ、ブヒゾウは額を指で()いた。


「わたしもね、もっとみんなの力になりたい。これからは正直、わたしの魔法だけじゃ無理だと思うし、それじゃ体が持たない。だからヨキは次善策をケージと話に行くって言ってたよ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ