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この異世界は悪意しかない!  作者: 浅見青松
第2章 トンディーク編
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28


「オ、オイラが魔法を?」


ブヒタロウは自分の手を見つめた。


ブヒゾウは驚愕(きょうがく)のあまり激しくヨキに反論した。


「まさか! ブヒタロウが魔法なんて! 今まで使ったことありませんし、そもそもブタ族が魔法を使えるなど聞いたことがないですよ!」


「でもブヒゾウも今の見ただろ?」


「し、しかし……」


「まぁ、僕も半信半疑だったけど。トリ族に囲まれた際も突然炎が起こった。カナもブヒゾウもファイアを使えないだろ?」


「使えないってば」

「もちろん使えません」


「ならばブヒタロウがファイアを放っていたと考えると辻褄(つじつま)が合う。

今はコントロール出来ていないようだが、危機的状況で魔法を放てるようだ」


ブヒゾウはそれでも納得のいかない様子で、ブヒタロウの顔を横目で見つめた。


「ブヒタロウ、魔法習ったことある?」

カナが尋ねた。


「な、ないでがす。あるはずないべ」


「習いもしないのに出来るなんて」

カナは素直に感心した。


ヨキはブヒタロウを見つめながら考察を始めた。


「カナは攻撃魔法が使えない。それは悪意を失ったからだ。けれどブヒタロウはファイアを出せる。ブヒタロウの体に悪意がないのにも(かか)わらず、だ」


ヨキはブヒタロウの肩を叩いた。


「お前は悪意なく攻撃魔法を生み出せる、特殊な存在なのかもしれない」


「特殊な……存在……」


「これからお前の力が重要になってくるかもしれないぞ」


ヨキに期待を掛けられて、ブヒタロウの顔が凛々(りり)しく引き締まった。


「ヨキ様! 任せてくださいでがす!」


ブヒタロウはヨキの力になれることが何より嬉しかった。


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