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「オ、オイラが魔法を?」
ブヒタロウは自分の手を見つめた。
ブヒゾウは驚愕のあまり激しくヨキに反論した。
「まさか! ブヒタロウが魔法なんて! 今まで使ったことありませんし、そもそもブタ族が魔法を使えるなど聞いたことがないですよ!」
「でもブヒゾウも今の見ただろ?」
「し、しかし……」
「まぁ、僕も半信半疑だったけど。トリ族に囲まれた際も突然炎が起こった。カナもブヒゾウもファイアを使えないだろ?」
「使えないってば」
「もちろん使えません」
「ならばブヒタロウがファイアを放っていたと考えると辻褄が合う。
今はコントロール出来ていないようだが、危機的状況で魔法を放てるようだ」
ブヒゾウはそれでも納得のいかない様子で、ブヒタロウの顔を横目で見つめた。
「ブヒタロウ、魔法習ったことある?」
カナが尋ねた。
「な、ないでがす。あるはずないべ」
「習いもしないのに出来るなんて」
カナは素直に感心した。
ヨキはブヒタロウを見つめながら考察を始めた。
「カナは攻撃魔法が使えない。それは悪意を失ったからだ。けれどブヒタロウはファイアを出せる。ブヒタロウの体に悪意がないのにも拘わらず、だ」
ヨキはブヒタロウの肩を叩いた。
「お前は悪意なく攻撃魔法を生み出せる、特殊な存在なのかもしれない」
「特殊な……存在……」
「これからお前の力が重要になってくるかもしれないぞ」
ヨキに期待を掛けられて、ブヒタロウの顔が凛々しく引き締まった。
「ヨキ様! 任せてくださいでがす!」
ブヒタロウはヨキの力になれることが何より嬉しかった。




