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トンディーク国の都は賑わいをみせていた。
悪意に侵された国民が元に戻り、荒れ果てた町の復興に力を入れている。
ケージとの戦いを終え、その後、クックルによって都全土に改めて王位継承が伝えられた。
それによって都から悪意は取り除かれ、混乱と混沌の脅威に終止符が打たれた。
そして国全土を視察し、残っている国民、主に他種族の国民を探し当てては、ひとりひとり悪意を消していった。
1人でも残っていては意味がない。ローラー作戦で虱潰しに消してゆくしかない。それだけでも骨の折れる作業であった。
それでもトリ族に跨がって上空を飛んでいるヨキの表情は明るい。
上空から見える大地は相変わらず美しい。この地に紫のオーラは似つかわしくない。
悪意が減り、本来の美しさを取り戻してゆくことが何より心地良かった。
一緒にカナとブヒゾウ、ブヒタロウが付いて来ている。
休憩がてら地上へ降りて、4人で森を歩いた。
和気藹々と笑顔が溢れていた。
たった4人で旅立って、よくこの国をここまで浄化できたものだと互いに労いの言葉を交わした。
ヨキはブヒタロウの肩を叩いた。
「そういえば、ありがとな」
「えっ、何がでげすか?」
「ゴーレム戦の時、落下する僕のために火を焚いてくれただろ?」
ブヒタロウは驚いて声を上ずらせた。
「へっ? オ、オイラ、そんなことしてないでげすよ?」
カナはその時意識を失っていたので、素直に感心して目を丸めた。
「へぇ、そんなことがあったんだ」
けれど一部始終を見ていたブヒゾウは、ヨキの言葉に異を唱えた。
「いや、ヨキ様! お言葉ですが、ブヒタロウは我々と共にトリ族の背中に乗っていましたよ」
ブヒタロウも頷く。
「そうでがす。急に燃えてビックリしたんでがすよ」
ヨキは突然、ブヒタロウの後ろを指差した。
「ブヒタロウ! 後ろに紫のヘビが!」
ブヒタロウは体を痙攣させて飛び上がった。
「ひゃあ! ヘビ、イヤ! こわい!」
ブヒタロウの右手から炎が飛び出し、それを地面に投げつけた。
ブヒタロウは燃える地面を見つめ、ヘビを探した。
「あ、あれ、何もいないでげすよ?」
そしてヨキを恨めしそうに睨んだ。
「ひどいでげすよ、ヨキ様! オイラ、あれから普通のヘビも苦手になって……」
ヨキは笑っていたが、ブヒゾウとカナは呆然としていた。
「な、なんでブヒタロウが炎を?」
「へっ?」
ブヒタロウは言われても、何のことか分からなかった。
ヨキは今の光景を見て、ようやく確信した。
「やはりブヒタロウ、お前、魔法使えるんだな?」




