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この異世界は悪意しかない!  作者: 浅見青松
第2章 トンディーク編
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27


トンディーク国の都は(にぎ)わいをみせていた。

悪意に侵された国民が元に戻り、荒れ果てた町の復興に力を入れている。



ケージとの戦いを終え、その後、クックルによって都全土に改めて王位継承が伝えられた。

それによって都から悪意は取り除かれ、混乱と混沌(こんとん)の脅威に終止符が打たれた。


そして国全土を視察し、残っている国民、主に他種族の国民を探し当てては、ひとりひとり悪意を消していった。


1人でも残っていては意味がない。ローラー作戦で(しらみ)潰しに消してゆくしかない。それだけでも骨の折れる作業であった。


それでもトリ族に(また)がって上空を飛んでいるヨキの表情は明るい。

上空から見える大地は相変わらず美しい。この地に紫のオーラは似つかわしくない。


悪意が減り、本来の美しさを取り戻してゆくことが何より心地良かった。


一緒にカナとブヒゾウ、ブヒタロウが付いて来ている。





休憩がてら地上へ降りて、4人で森を歩いた。

和気藹々(あいあい)と笑顔が(こぼ)れていた。


たった4人で旅立って、よくこの国をここまで浄化できたものだと互いに(ねぎら)いの言葉を交わした。


ヨキはブヒタロウの肩を叩いた。

「そういえば、ありがとな」


「えっ、何がでげすか?」


「ゴーレム戦の時、落下する僕のために火を()いてくれただろ?」


ブヒタロウは驚いて声を上ずらせた。

「へっ? オ、オイラ、そんなことしてないでげすよ?」


カナはその時意識を失っていたので、素直に感心して目を丸めた。

「へぇ、そんなことがあったんだ」


けれど一部始終を見ていたブヒゾウは、ヨキの言葉に異を唱えた。


「いや、ヨキ様! お言葉ですが、ブヒタロウは我々と共にトリ族の背中に乗っていましたよ」


ブヒタロウも(うなず)く。


「そうでがす。急に燃えてビックリしたんでがすよ」


ヨキは突然、ブヒタロウの後ろを指差した。


「ブヒタロウ! 後ろに紫のヘビが!」


ブヒタロウは体を痙攣(けいれん)させて飛び上がった。


「ひゃあ! ヘビ、イヤ! こわい!」


ブヒタロウの右手から炎が飛び出し、それを地面に投げつけた。

ブヒタロウは燃える地面を見つめ、ヘビを探した。


「あ、あれ、何もいないでげすよ?」


そしてヨキを恨めしそうに(にら)んだ。


「ひどいでげすよ、ヨキ様! オイラ、あれから普通のヘビも苦手になって……」


ヨキは笑っていたが、ブヒゾウとカナは呆然としていた。


「な、なんでブヒタロウが炎を?」


「へっ?」


ブヒタロウは言われても、何のことか分からなかった。


ヨキは今の光景を見て、ようやく確信した。



「やはりブヒタロウ、お前、魔法使えるんだな?」


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