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ゴーレムは地鳴りのような奇声を発して悶えながら頭を抱えた。体からは悪意のオーラがどんどんと消えてゆく。
「よし!」
ヨキは舞いながら表情を緩めた。
その瞬間、地面の炎が消え、ヨキの体から浮力が消えた。
「うわっ」
ヨキは空中で平泳ぎの格好で留まろうとしたが、重力には逆らえず自由落下した。
急激に加速して落下するヨキの体。
地面に叩きつけられる寸前にサントーリオがヨキを拾って飛び立った。
「怖っ!」とヨキは身震いした。
「大丈夫ですか?」
「危ないところだった……。ありがとう、サントリーオ」
「いやいや。お見事でしたぞ、ヨキ様!」
サントーリオは喜んでいつも以上に羽根をばたつかせた。
ヨキは上空からゴーレムを眺めた。ゴーレムは悪意を取り除かれ、体がみるみる縮み出した。
「デカブツがチビブツになったぞ」
ゴーレムの体は亜人やトリ族よりも小さくなり、少し大きめの岩程度になって地面に転がった。
ヨキ達は颯爽と着地し、ケージと相対した。
「もう観念しろ!」
悉くヨキに攻撃を封じられ、ケージは歯軋りを繰り返した。
「お、おのれ……」
ケージは体全体を大きく広げると、怒りに震えて顔を紅潮させた。
「かくなる上は……」
ケージは体から悪意のオーラを吹き出させると、両手を天に向けた。
「まだあるのか……」
ヨキはため息をついた。
「まだ何かするつもりか? 魔法は効かないって言っただろ?」
それでもケージは両手を掲げながら冷たく笑みをこぼした。
「……これで最後だ」
そして天に向かって黒い波動が間欠泉のように吹き上がった。
「イレース!」
ケージは魔法を放った。
巨大な黒い塊は垂直に上がり、勢いを留めぬままに垂直に降下した。
ケージは天を見上げながら笑った。そして自ら放った魔法が自らに迫り来る軌道を眺めながら静かに目を閉じた。
衝撃がケージの体に伝わる。
「そんなこと誰も望んじゃいないよ」
目の前から声がして、ケージは目を開いた。
ヨキが天に手をかざし、その魔法を無効化している。
「な……何を……」
ヨキは魔法を祓い、手を掲げたままにケージを憐れみの目で見つめた。
「君もまた悪意の犠牲者なんだ」
ヨキはケージの体に触れた。
「や、やめ……」
その瞬間、紫のオーラはケージの体から煙のように抜けていき、ケージはその場に倒れ込んだ。




