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この異世界は悪意しかない!  作者: 浅見青松
第2章 トンディーク編
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21


ケージはヨキの熱弁にまるで動じることなく、丘を登る感染者の群れに目を向けた。


「お前の意志に(かか)わらず、悪意はこうして次々とお前たちに襲いかかるぞ。その全てを払いのけることなど不可能であろう」


ヨキはケージから目を放すことなく叫んだ。


「ブヒゾウ! ブヒタロウ!」


トリ族の介抱に勤しんでいた2人はヨキに呼ばれて走ってきた。


「はいな、ヨキ様」

「どうなさいました?」


「正気に戻ったトリ族を集めてくれ。僕の後ろ側、あいつの魔法に当たらないところに全員だ。クックル王子も含めて」


「何をするんでがす?」


ヨキは2人に耳打ちした。


「それで大丈夫なんですか?」

「よくわからねぇでがす」


「大丈夫なはずだ。今は周りから感染者に来られたくないから」


「わかったです!」

(かしこ)まりました!」


ブヒゾウとブヒタロウはトリ族の群れへと駆け出した。


「よし、これであいつに集中できる」


ケージは眉をひそめて口先を緩めた。


「私を倒す気か?」


ヨキも口先で笑う。


「当たり前だ。魔法なんて何の価値もない」


それを聞いていたカナが急にヨキの横で声を荒げた。

「ちょっとぉ! 何の価値もないってどういうこと?」


ヨキはカナに突然大声で叫ばれてたじろいだ。

「い、いや、今怒る所じゃないだろ」


「価値ある魔法だってあるんだから! わたしの魔法が役に立ってないみたいに」


「そ、そんなことないよ。『あいつの魔法は』って意味だよ」

ヨキは焦って弁明した。


「そうは聞こえなかった。魔法全般価値ないみたいに言ってた」


「悪かったよ! 今は言い争ってる場合じゃないだろ」


2人が言い争っている姿をケージは眺めながら、両手にエネルギーを溜め出した。


それは今までの比ではないほどにどす黒く、禍々(まがまが)しい渦がその中で巻き起こっている。

ケージの周りを取り巻く大気がそこへと吸われ、巨大な塊となった。


ケージはその塊を言い争っている2人に解き放った。


ゴオゴオと不快な音を立てて2人に飛んでゆく。


ヨキはカナを懸命に(なだ)めながら、その迫り来る塊に右手をかざし、いとも容易(たやす)くそれを()き消した。


「ちょっと! 話の邪魔しないでくれる?」


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