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この異世界は悪意しかない!  作者: 浅見青松
第2章 トンディーク編
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20


「なっ……」


ケージは起きた状況に驚愕(きょうがく)した。

「何が起こった?」


ヨキがほくそ笑んだ。

「さて、なんででしょう?」


ヨキはケージを(にら)み付ける。


「お前がホロッホ国王に悪意を感染させた張本人か?」


今度はケージが冷ややかに笑う。


「だからどうした? 素晴らしい世界ではないか。殺し合い、強い者だけが生き残る。本来、生物とはそういうものだ」


ヨキは鼻で笑い返す。


「荒唐無稽な理論だな。悪意は自然界に元からあるものじゃない。誰かが植え付ける余計な添加物だ」


「ふっ、お前こそ()れ言を。あの者たちも悪意に侵されていたほうが幸せだったろうに」


正気に戻ったトリ族たちは、(いま)だに丘の下から迫り来る悪意の者たちの群れになす(すべ)なく、たじろいでいる。


「もう一度快楽を与えよう」


ケージは両手のひらに黒い塊を作り上げ、それを(つか)んで投げた。

ヨキはそれの前に立ちはだかり、体で受け止めた。塊はヨキの体に触れて消滅した。


ケージは目を見張った。


「その能力は……」


ヨキは拳を固め、ケージを睨んだ。


「もしこの世界が悪意を望んでいるのなら、僕にこんな力は発動しない」


ヨキは力を込めて叫んだ。


「この世界は悪意を消したがっている!」




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